いやー楽しかった。「uncle-jamのuki-uki☆music club vol.1」と題した初のワンマン・イベント。カバー曲ありオリジナル曲ありだけなら普通のライブと同じだが、僕らのこのイベントにはいくつか独自の売りがあって、まさに「なんでも音楽プロジェクト宣言」ともいえる内容なのだ。セットリストは次のとおり。

01) Baby It's You(ビートルズのカバー)
02) Take a Message To Mary(エバリーブラザーズのカバー)
03) Crying All Night Long(竹内まりやさんのカバー)

即興の作曲コーナー:仮)ストロベリー・ワイン

04) 哀しみのサンデーアフタヌーン / uncle-jamオリジナル
05) Burn~Highway star (ディープ・パープルのカバー:インスト)

   休憩:アナログレコード自慢コーナー(?)

06) 風になれるなら / 銀次弾き語り
07) こぬか雨 / 銀次弾き語り
08) 散歩 / 黒沢弾き語り
09) 焼いた魚の晩ごはん / 黒沢弾き語り
10) Heroes / uncle-jamオリジナル
11) I Will / uncle-jamオリジナル
12) ゆめの続き / uncle-jamオリジナル
13) ウキウキmusic / uncle-jamオリジナル

<アンコール>
14) ウキウキwatching


この日一番の売りは「即興の作曲コーナー」。僕もアイデアには自信があるほうだが、黒沢君はぼくに輪をかけたアイデアマンだ。「ライブ中にお客さんからテーマをもらって、それをお題に即興で曲を作るっておもしろくないですか?」そりゃ、おもしろいけど、そんなことやったヤツはいないだろう。と思いつつも「いいねえ、やろうやろう。」と言ってしまう自分の軽さにもあきれたが ... 。
それで去年の12月23日の僕のライブに黒沢君が出てくれたとき、ためしにやってみた。その時はお題をいただけなくて、ちょうど日曜だったから「日曜日」をテーマにと作ったのが「哀しみのサンデーアフタヌーン」だ。未完成だが途中経過報告の意味でこの日演奏して見た。発展途上曲を人前で演奏するなんて、まあ僕らぐらいだろう。

この日のお客さんからのリクエストは「お酒をテーマにした曲」。お酒の歌といわれすぐに思い浮かんだのは、杉真理君が作った「ウイスキーはお好きでしょ」。なんという偶然だ。杉君が見にきてくれているのだ。ここで大人系ジャズ・ヴォーカルの曲調へ行くのは、すでに杉君を前にしてありえへんやろ。(いきなり大阪弁になるほど、そんなおおげさなものでもないが...)
こりゃ弱ったな、でもさぐってみるかと、Aのコードを押さえながら僕の無意識領域を別ジャンルで検索したら、突然閃いたのが「ストロベリー・ワイン」という言葉とメロ。マクギネス・フリント、中期キンクスあたりのイメージなのだが、なぜこれが浮かんできたのかは僕にもわからない。潜在意識のなせる技。曲のできるメカニズムはミステリアスだ。
ライヴが終わったらやっぱりすっかり忘れていてあせったが、スタッフがビデオをまわしてくれてたので助かった。あとは短歌みたいに、僕の上の句を受けて、黒沢君に下の句を作ってもらおう。この企画は続けて行きたいね。だってそのお客さんのお題がなければ絶対にこの世に存在しない一期一会の曲なんて素敵だもの。しかもそのメロディが生まれる瞬間を目撃している人たちもその場にいて、その瞬間をみんなで共有できるんだから。

もうひとつのハイライトは、ディープ・パープルの十八番をジャンゴ・ラインハルト風にアレンジしたインストだ。大村憲司さんとユニットをやってた頃、かってロックに夢中になった僕らぐらいの世代が、休日の昼下がり、ビールでも飲みながらアンプラグドな感じで、ロックの名曲達を聞けたらという発想で生まれたアイデアだ。「Acoustic Summer Of Love」というタイトルで、他にも「Purple Haze」や「White Roomなど、アコギ2本によるデモテープをひとりで作った。大村さんがリード、僕がリズム・ギターでCDを作るつもりでいたら、大村さんが突然亡くなりこの企画はオクラ入りしていた。黒沢君にこの話をしてデモを聞かせたらすごくノッてくれて、ついに日の目を見ることになったのだ。黒沢君、ありがとう。

みなさんの休憩の間、持参してきた秘蔵のアナログレコードをかけながらのコーナーについては「uncle-jamのR&R Diary」の「レディ・ガガが気になって ...。」でふれているのでそちらを見てほしい。

http://ameblo.jp/unclejammusic

と、ここまで読んできて、ライブに来れなかった人たちは、いいかげんにしてくれと思っていることだろう。話ばっかりで見ることができないわけだから不完全燃焼になってしまう。
そんな声に答えて、uncle-jamの10/03風知空知のライブから、2曲の映像をYouTubeに上げることにした。まずはそのディープ・パープルのuncle-jamヴァージョンだ。





原曲を知っているほど面白さが増してくる。予想以上に受けて僕らも楽しめた。
続いては、僕らのヒーロー、エヴァリー・ブラザースのカバー、Take A Message To Maryのuncle-jamヴァージョンだ。





生涯でこれほどべったりと誰かとハモり続けるなんてのは初めてのこと。まるで二人乗りのボートを漕いでいるよう。二人の呼吸が合わないと始まらない。でも響きが共鳴しあったときの気持ちよさは言葉にあらわせないものがある。なんだか最初から不思議と声が合ったしね。
uncle-jamのライブ映像いかがだったでしょう?もし感想があったらぜひコメントしてきてね。

この日は僕のアイデアで、それぞれのファンに向けて自分の曲を弾き語りで歌うことにした。特に黒沢君のファンには、ひさびさの彼の歌を聞いてほしかった。「かもめ児童合唱団」に提供した「焼いた魚の晩ごはん」の黒沢ヴァージョンにはジーンときたね。

見に来てくれたみなさん、そして風知空知のスタッフ、そしてこのイベントを提案してくれたmoriheyさんどうもありがとう!ぜひシリーズ化したいのでよろしくお願いします。
次のuncle-jamのライブは、11月3日「ようこそ夢街名曲堂へ!」の公開録音だ。

今日のタイトルは、僕が解説を書かせていただいた小路幸也さん著「うたうひと」の中の一編「唇に愛を」のエンディングからの引用である。10月8日、ついにその小路さんと会うことができた。今月東京にいらっしゃることを聞いて、offstage talk「伊藤銀次・杉真理のtalkへ行きたい」の対談をお願いしたら快く引き受けてくださったのだ。まじかに見る小路さん、とても深く響く声、風格があっておちついた方のように見受けた。あとでブログをチェックしたら実はウキウキドキドキだったようだ。緊張しないよう無理やり『私は作家』と自分に言い聞かせ、はしゃぎたい気持ちを抑えて話されていたそうだ。
わかるなあ、その気持ち。僕もロスで憧れのフル・ムーンのバジー・フェイトンと食事したとき、心の中はうれしくてうれしくて超ミーハーになりたかったけれど、プロデューサーとして彼に紹介されたので、心とはうらはら、堂々とふるまってたことを思い出した。話上手な方で、とても興味深いエピソードがわかりやすく聞けた。くわしい内容はまもなくoffstage talkにアップされるのそちらを見ていただきたい。

http://offstagetalk.com/

不思議なことに初対面な感じがしない。まるで学生時代の友達と話しているような錯覚におちいっていた。 どこか目にみえないポップスの水脈でつながっているところがあるのだろう。
ちょうど終わる頃、黒沢君と土橋一夫さんも訪ねてきて、終了するやいなや、堰をきったようにサインの交換会になった。さきほどまでとはうって変わってみんなミーハー気分。記念写真をパチパチ、いつのまにか僕なんかピースマークまで出していた。
その日はまだスケジュールびっちりの小路さん。次回東京にいらっしゃるときは食事をしましょうと提案してくださった。僕ももっとお話したいことがあったので実にうれしい提案をしていただいた。これがuncle-jamと小路幸也さんの3ショットです。


$伊藤銀次 オフィシャルブログ 「SUNDAY GINJI」 Powered by Ameba


東芝EMI時代、ライブの打ち上げで酔っぱらった拍子に、僕のバンドのメンバーもみんな落語家のように、伊藤銀次一門ということにして、ドラム、伊藤小銀次、ベースは伊藤銀平、キーボード伊藤銀楽と名付けてもいいかとオバカな提案したら、即座に全員に却下されたことがあった。武蔵小山Againの石川さんにいただいた、「志の輔らくごのおもちかえりDVD① 歓喜の歌2007」を見ていたらふとそんなことを思い出した。止めておいてよかった。もうすぐ「話出したら止まらナイト」だ。