いよいよ「サンデー銀次」の第1回。「週刊銀次」とちがって、YouTubeや画像も貼ろうとおもえば貼れるけど、ここはストイックに「週刊銀次」の精神を継承して、なるべく読み物として行きたい。
 特に理由はないけれど、貼りはじめると画像と音の説得力についつい頼ってしまいがちだから。
前夜祭ブログでさっそくザ・カーズのLet's Goの映像を使ってしまったが、あれは特別、前夜祭ならではの飛び道具だ。uncle-jamのR&R Diaryとはしっかりちがうブログにして行きたいと思う。

 9月2日は、I Stand Alone秋のツアー初日の名古屋TOKUZOだ。ここに来るといつも原点に帰ってきた気がする。昨年の2月、I Stand Alone 2009はここから始まったのだ。アコギ・スタイルのこけら落とし、あの時のTOKUZOでのライブは、いま思えば見切り発車の感あり。よちよち歩きの幼児のようなライブだったと思う。
 あれから場数も踏み、ギター・アレンジにもいろんな発見があった。
自分でいうのもおかしいがやっと一人ライブの楽しさがわかってきた。そしてまたもや秋のツアーはその名古屋が初日。身がひきしまる。少しでも成長したところを見てもらえただろうか?

いつも客入れ用BGMは銀次自身が編集するのだが、今回はぎりぎりまで、あるミッションに従事していたので、オリジナルなものを作る暇がなかった。9月に入ったというのにあいかわらず酷暑、暑い中ライブ・ハウスまで来てくれたみんなが、涼しい気持ちで開演を待てるようにと、ジョアン・ジルベルト・イン・トーキョーを選んだ。僕が弾き語りスタイルでライブをやってみようという気にさせてくれた人でもあるしね。ライブ終了後にかけたのは、ジミー・ウェッブの最新アルバム、Just Across The River。これ名盤。お薦めだよ。


Just Across the River/Jimmy Webb

¥1,627
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 去年かなりな数ライブハウスを回って、試行錯誤の末いろんなことに気づいた。それに加えて、黒沢君との出会い、武蔵小山アゲインでのトーク・イベント、小松久さんとの出会い、最近心境著しい村田和人君との対談などから、いろいろなヒントや刺激を受けたことから、ただ必死にやってた去年のライブから脱皮して、もっと僕らしい、僕にしか出せないフィーリングの「しなやかで、すきとおるような力強さ」のライブをめざしたいと思った。
 初日の名古屋、自分でも驚いたが演奏上のアクシデントや力みにもうろたえなくなった。
自分の実年齢を意識し過ぎたり、目標とするジョアンやライ・クーダーみたいにというような気持ちがあるうちは、ただの雑念。音楽の中に無心でインしている時間が増えてきた気がする。
バックバンドがいる時はこんなに苦労しなくても良かったんだけどね。それがいい勉強になってるよ。

 翌3日は神戸チキンジョージ。G.A.P.のシンモ君が忙しい中ありがたいことに顔を出してくれた。
せっかくだから何かジャム(?)ろうよと話していたが、お互い時間がなかったんで次回に。
 待ち時間に話してくれた、村田和人君の「こうもり傘&カップヌードル秘話」は最高におもしろかった。お返しと言ってはなんだが、杉君の「ヤモリのおばちゃま事件」を教えてあげた。
おかげで本番まで、笑いがたえないリラックスした時間を過ごせた。シンモ君ありがとね。

 名古屋もそうだったが、神戸も今回はなぜか、各曲エンディング後、男性の「ウォー」とか「イェー」とかが返ってくる。去年はそんなに喚声は上がらなかったから、何が変化したんだろうか?
 確かに僕もライブ経験を積んだので、気持ちと体が一体になってきた分、やっと客席に気持ちを飛ばせるようになってきたと思うのだが、やはりそれは、ずっと見たくて聞きたくて、首を長くして待っていてくれたファンの人たちが、正直にうれしさを表現してくれたからなんだろう。とてもうれしくて、僕はみんなの「ウォー」や「イェー」に応えて、思わず「エーイ」と叫んでしまったよ。

 ライブの自己採点はきびしく45点かな。去年の弾き語りを始めたころだったら、もっと甘めな点数をつけていただろう。去年30カ所まわったことで、自信もついたけど、自分のハードルもかなり上げちゃった。どうしても興奮しやすい質なので、腕や指先、のどなどに力が入るのをなんとかしたい。
 特に歌い方では、武蔵小山アゲインで知り合った、小松久さんのなにげない言葉にヒントがあって、それを取り入れ始めたら、声の響きが変った。ただちょっと興奮すると忘れてしまう。まだまだ。

 ギターをピアノのように弾きながら、歌を歌うことはむずかしいけれど、いろいろな発見があって楽しい。還暦前に発展途上。もっと早く気がつけばよかった?いやいや、何事もそういうものだ。

 名古屋のライブでは、いつも静岡県からかけつけてくれる女性ファンが途中で帰って行ったのが、ステージ上からもわかった。きっと最終にまにあわないからなのだろう。後半に用意してあった曲を聞いてもらえなかったなんて残念だ。僕のステージが長過ぎるのだろうか? なんとかならないものかと思ってしまった。

 チキンジョージの打ち上げは、いつも熱々の鍋が出るのだが、さすがにこの猛暑。冷や奴や焼き茄子などさっぱり系の料理が出てきて、なにやらチキンらしくない。チキンジョージというだけあって、鶏肉の冷製仕立てはおいしかったけれど、いつものうどんも食べたかったなー。
 児島さん達スタッフはビールで、僕はグレープ・フルーツジュースで乾杯。いつもライブ後の会話、特に児島さんとのとりとめのない会話が楽しい。児島さんは外見的には、町中で肩と肩があたったりしたら「なにしとんじゃい」とかいわれそうな(笑)、電車の正面に座ってたら絶対に目と目を合わせたくないタイプだが(笑)、中身は心優しいポップス・ファン。Baby Blueのカラーレコードを持っていたりするすごい人なのだ。
 前回はたしか下田逸朗さんの話しに花が咲き、今回は中島らもさんのことで盛り上がった。春一番で、らもさんのライブを一度だけ見たことがあるが、神懸かりとしか表現できないライブだった。なんだか、らもさんのエッセイが読みたくなってきた。
 話しはそれから、横浜と神戸の共通点の話題になり、大江千里君は神戸のアーティスト、そういえば最近神戸からアーティストが出てないなあという話しになった。

 実は90年代、神戸まで僕にライブを見に来させたアーティストがいた。Four Tripsというブループで、当時僕がいた音楽出版社に送られてきた彼らのカセットの「リトル・ヒットラー」という曲に、僕は惹き付けられた。当時SMEの社長だった丸山さんにも興味を持ってもらえたので、二人で神戸のライブ・ハウスまで見にでかけた。
 それからしばらく僕が面倒をみて曲作りなど始めたのだが、僕の力不足でリリースまでたどり着けず、結果、ソニーではなくフォーライフからデビューすることになった。リーダーの成瀬君はソングライティングにセンスのある人で、グループ解散後ずっと気になっていたが、うれしいことに現在も作曲家として東京で活躍している。ここ何度か僕のライブに来てくれて、チキンのライブも里帰りを兼ねて見に来ることになってたのだが、残念ながら仕事とのこと。横浜のサムズには来てくれるそうだ。
 それにしても成瀬君、僕を師匠と呼ぶのは照れくさいからかんべんだよ。そんなことを思っていたら、ひさびさの神戸なのかいつのまにか、だんだん関西弁になってきている銀次がいた。

 ライブ終了後のサイン会はファンのみんなとお話しができる貴重で大好きな時間。みんなの輝いている目に逢うとやっぱりライブやってよかったなあと心底思う。前回来てた人が来てなかったり。きっと平日で都合がつかなかったのかな。ペンを動かしながら考える。かと思えば、昔FM大阪の番組収録のときにいつも来てくれてたファンのひとりが、ひさしぶりに来てくれて驚いた。
 「私のこと覚えてる?」もちろん。僕は名前と歌詞はなかなか覚えられないが(苦笑)、お顔だけは、まるで写真でとったように覚えてるんだよ。並んでいる他のファンの人たちを待たせて、しばし同じくファンの彼女の友達たちの話しで盛り上がってしまった。列に並んでいたみなさん、すみませんでした。

 忙しいなか、来てくれたファンのみなさんと楽しい時間が共有できてうれしかった! どうもありがとう。そしてTOKUZOとチキンジョージのスタッフのみなさん、どうもお世話になりました。とても気持ちよく演れました。またよろしくお願いします。
 セットリストを載せようと思ったけど、まだ京都RAGがある。もしRAGに来る人がわかっちゃったら、面白みが半減してしまうもんね。ここはあえて我慢の子。来週の「サンデー銀次」で報告します。とはいえ京都公演にきてくれるひとの好奇心をくすぐる意味で、ちょっぴりセットリストのヒントを。(笑)

その1 : Deadly Driveから「風になれるなら」「こぬか雨」以外の曲が!
その2 : 今はカリフォルニア州知事
   その3 : 僕にはおてあげ
   その4 : 急にコーラが飲みたくなる
   その5 : I wanna believe in love again
その6 : Cry Cry Cry
その7 : エレクトリック・ライト・オーケストラ

さあ、もう丸わかりだね。カバー曲もやるよ。日替わりで、名古屋ではニック・ロウのCruel To Be Kind、神戸ではディーン・マーティンの誰かが誰かを愛してる。さて5日(日)の京都は.....?

そしてアンコールはとっておきの最終兵器を用意してあるので、いまどうしようか迷っている人も、ぜひ京都RAGまで銀次を見にきてくださいね。


$伊藤銀次 オフィシャルブログ 「SUNDAY GINJI」 Powered by Ameba


 4日は空き日で実家に。写真はコステロがアルバムタイトルに名前を取り上げた、インスタントラーメン生みの親、安藤百福像。右手にはチキンラーメンが。いまやラーメンの町池田のシンボル。インスタントラーメン発明記念館の前にて。