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□2010年07月25日号□

ううむ。今週の「週刊銀次」はいきなり冒頭からうなってしまった。
なぜならついさっきまで、武蔵小山のLive Cafe Againでトーク・イベントをやっていたからだ。
終わったあとも来てくださった小松さんたちと話し込み、店長の石川さんと次回のスケジュール決めなどして家に帰ったらもう日付が変わってしまった。
ううむ。朝を見ないうちに書き上げられるだろうか?

そのイベントは「話し出したら止まらナイト」の第2回目。
前回は自分でCDやレコードをかけ、YouTubeで画像を映しながらしゃべったものだから、段取りに煩わされて、肝心のお話しに集中できなかった。
(後で同録のDVDを見たら、その割にはよくしゃべっていたが...笑。)
今回はその反省から、操作を石川さんにお願いし、看板に偽りなきように、できるだけおしゃべりしようと始めたら、その日のマクラのつもりの話しが思ったより盛り上がり、予定より長くなり前回よりもボリュームのある内容になった。
ほぼ2時間以上のひとりしゃべり。終わったらさすがに疲れたがこんな体験は初めてで心地よい疲れが残った。
黒板と白墨を使って、手塚さんのヒゲオヤジやヒョウタンツギを書いたり、子供の頃はまったボードゲームや野球ゲームの話しもできたので僕は楽しかったけれど、お客さんも楽しんでくれただろうか?
参加してくれた方でこのブログを読んでいる方は、ぜひ率直な感想を、silvertoneまでメールで送っていただけるとありがたい。
参加していない人もぜひ次回は来てね。「話し出したら止まらナイト」だけど歌も歌うのだ。今回はカバーで次の3曲を歌った。

Dean Martin / Everybody Loves Somebody
J. Frank Wilson & The Cavaliers / Last Kiss
The Lovin' Spoonful / You Didn't Have To Be So Nice

基本的に「I Stand Alone」の方では自分のオリジナル曲メインなので、「話し出したら止まらナイト」ではカバーで行くつもりだ。次回は10月17日(日)に決定。
予定ではフォーク・ロックを中心にしゃべろうかと思っているが、なにせまだ2ヶ月先のこと、どうなるかはわからない。
ミッシェル・ルグランになるかも知れないし、ララミー牧場になるかも知れないし、マージー・ビートになるかも、はたまたそれらの合わせ技になるかもしれない。乞うご期待。


その2日前、7月22日アゲインに「話し出したら止まらナイト」の最終打ち合わせに来たときにうれしい再会があった。
その日アゲインでライブを演る本多信介になんと30年ぶりに会った。僕はお店のスケジュールで知っていたのだが、彼は僕が来ることを知らされていなかったようで、驚いていたがとても喜んでくれ、再会の固い握手をかわした。

昔ぼくが「ごまのはえ」という日本語のロック・バンドを組んでいた頃、彼はあの鈴木慶一が在籍した「はちみつぱい」のギタリストだった。
僕たちのマネージャーだった福岡風太が、はっぴいえんどやはちみつぱいが所属していた風都市のスタッフと提携していたこともあって、よく共演することがあり、東京に僕たちが出て来た時は、信介の家によく泊めてもらった。
お互いギタリストということもあったけれど、妙に馬が合った。
割とかっちりフレーズの輪郭を決めて弾かないと気が済まない僕に比べて、彼のギターは一見つかみ所がないようにみえて、その実、構図の大きい独特の浮遊感のあるギターで、僕が大好きだったクイックシルバー・メッセンジャー・サーヴィスのジョン・シポリーナや、グレイトフル・デッドのジェリー・ガルシアみたいな自由さにあふれた感じが、自分になくてとても惹かれた。
80年代に一度、早稲田のアバコ・スタジオだったかで会ったきりになっていたので、とても懐かしかった。
僕にとっては一宿一飯の恩義ある彼なので、この日は石川さんとの打ち合わせが終わった後も、彼に会うために待っていたのである。

話しは唐突に変わるが、僕が一度だけあがた森魚さんのバックでギターを弾いたことがあるのをみなさんご存知だろうか。
それも「赤色エレジー」で彼がブレイクした頃のテレビ出演でだ。
僕の記憶では確か「ハートのクイーン」を演奏したように思うが定かではない。
その頃のあがたさんのバックははちみつぱいがつとめていた。同じ頃僕は「ごまのはえ」でまだ大阪にいた。
ある日福岡風太から電話がかかってきて、はちみつぱいのギタリストの本多信介が急病で(たぶん風邪だったと思う)、今日だか明日だか詳しくは忘れたが、関西テレビでのあがたさんの番組で代わりにギターを弾いてくれないかというめちゃくちゃ急な話しだった。
困ったが迷うわけにも行かなくて、結局はちみつぱいに混じって番組に出ることになったが、後にも先にもこれが唯一のあがた森魚さんのバックでの演奏になった。
信介のおかげで(?)あがたさんとの共演が果たせたのだ。
「話し出したら止まらナイト」の準備があったので、残念ながら、アゲインでの再会のその日は、リハーサルを見ただけで、僕は帰らなければならなかった。
別れ際に、「クイックシルバーみたいのやろうよ」って声をかけたけど、あれは半分本気だったのだよ、信介。
いつか近いうちにクイックシルバーみたいのやろう。ジャミーなのを、自由に。


Off Stage Talkの「伊藤銀次・杉真理のTalkへ行きたい vol.8 山下久美子X伊藤銀次」(全4回)の第一回が更新された。
女性ゲストはEPOさん以来ひさびさ。そして山下久美子さんと会うのは、実になんとほぼ30年ぶり。
1981年に僕がプロデュースさせてもらった、「雨の日は家にいて」のレコーディング以来。ここにも、もうひとつのうれしい再会だ。
あれから彼女にもいろんなことがあって、今10歳になる双子の娘さんのお母さんだなんて信じられないほど、若々しい容姿に驚かされた。
ひさびさのアルバム「手をつなごう」を聞いたときも思ったが、目の前で話す彼女の声が、また全然変わっていないのにもうれしかった。
あのキュートでおきゃんな(ちょと表現が古いか?)ロック・ヴォイスがそのまま健在なのだ。ぜひチェキラ。

Off Stage Talk http://offstagetalk.com/

星新一さんのエッセイ集、「きまぐれ星のメモ」をネットで手に入れて読み始めた。
星新一展を見に行ってそこに掲示してあった、星さんのいくつかの言葉が、とても含蓄のあるものだったので、そして特にこの本からの出典が多いような気がしたので、おもわず注文した。
簡潔だがしっかりと余韻が残る、ただのシンプルではかたづけられない文章だ。
ただ1991年発行の文庫本なので、文字が小さいこと小さいこと。
そういえばいつのまにか文庫本も新聞も、文字が大きくなっていたんだと実感させられた。

いよいよ黒沢秀樹君とのなんでも音楽ユニットuncle-jamのライブ・デビューが決まった。
8月9日渋谷「SONGLINES」でのアコースティック・ライブに、青山陽一君、若林マリ子さんと共に出演することが急遽決定したのだ。(パチパチパチパチ....)

open : 18:30/start : 19:00
前売り \2300 当日\2800 (Drink \500)
お問い合わせ : SONGLINES 03-5784-4186

どんなライブになるのか、僕たちも今からワクワクしている。
uncle-jamの一回しかない初ライブ、初々しい船出にみなさんぜひご参加を。


伊藤銀次
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□2010年07月18日号□

今日は東高根森林公園の近くのオアシスというスタジオで、「I Stand Alone vol.3」のレコーディングをした。
vol.1とvol.2は新宿のレノンハウスというライブハウスで録音したが今回はスタジオ。
やはりライブハウスで録るときより、ぐっとレコーディングだなという気分が高まって最初はちょっと緊張したが、昨年の35本のライブは、自分でいうのも変だが、すこし自分が成長している気がした。
いくつになっても少しでもがんばれば、少しずつでもよくなるものなのだ。
歌とギターの一体化というのは、ただただ実戦あるのみなのだとうれしい痛感。
もちろん歌とギターは同録。どっちかまちがえたらまたやりなおしだ。
今まさに目の前で演奏しているようなシズル感を感じてもらえればうれしいね。
秋のツアー、名古屋、神戸、京都、横浜のライブで販売します。とりあえず選曲はまだ秘密にしとこうかな。
どうかお楽しみに。

渋谷のHMVが8月中旬で閉店するらしい。今や音楽は配信で手に入れるものになってきたという一つの証か。
黒沢君との往復書簡ブログ、R&R Dairy 7月15日更新の「ブライトサイドを歩いていこう」でもふれたけど、このネットの時代だというのに、僕はいまだにCD屋に行くのが好きだ。
やっぱり好きなものがいっぱい置いてあるところにいるのは気持ちがいいのだ。
それもできれば昔のパイド・パイパー・ハウスとか、武蔵小山にあるペットサウンズ・レコードのような、お店のご主人の気配りが感じられる小さなお店だと、なお居心地がいいね。

昔からよく夢の中にでてくるレコード屋さんがある。
実家の近くの駅から電車で4つぐらい行った駅の、駅前の商店街を入って行くと、公設市場があり、その一番奥にある小さな店だ。
店の名前もなく、狭い間口に所狭しと壁いっぱいに、そしてダンボール箱にもたくさんの洋楽のレコード盤がおいてある。
どれも見たことも聞いたこともないアーティストやグループばかりで、わおーっと狂喜乱舞しているうちにいつも目が覚めてしまうのである。
起きているときに(?)一度確認をしに、その駅まで行ったことがあるけれど、商店街も市場も、もちろんレコード屋さんもなかった。
現実に存在しないのだが、何度も夢の中にでてくるので、僕の中では半ば実在するに等しいお店になっている。
最近その夢見なくなったなあ。またあの夢の中のあのレコード屋さんに行きたいものだ。

そういえば家の近所の小さな本屋さんや文房具屋さんがいつのまにかなくなっている。
やがて文字はコンピューター上で読むものになり、いずれXX屋さんという言葉すらなくなってしまうのだろうか?

黒沢君も交えて、初めて石田ショーキチ君と町田の沖縄料理店で呑んだ。 
といってもお酒をやめて一年以上になる僕は、みんなが泡盛だ琉球ハイボールだなどとメートルが上がっている中、うっちん茶とさんぴん茶(むこうの言葉でウコン茶とジャスミン茶のことらしい)を交互に。
同じマネージメント、emcに所属していながら、しかもoff stage talk仲間でありながら、ずっと前に青山陽一君のライブで一度挨拶したくらいで、ゆっくり話す機会がなかった。
いやー、おもしろい男だ。ナイスガイ! 黒沢君もいい友達を持って幸せだなー。
ヒデキングと呼ぶくらい許してやんなよ、なんて無責任にも思ってしまった。(笑)
秀樹・銀次のパブロック観とショーキチ的パブロック観のちがいも面白かったが、僕は彼がストック・エイトキン・ウォーターマンにめちゃくちゃ影響されているのが意外で興味深かった。
まさかリック・アシュトレーの話しをショーキチ君とすることになるとは!うれしい驚き。
さすが「日本グランジ界のナイアガラ系」(?)だけの事はあるね。(笑)。
詳しくはショーキチ君のサイトでチェッキラしてくれい。彼の文章もおもしろいから。

☆SHOKICHI ISHIDA OFFICIAL WEB SITE │ diary   http://scudelia.net/diary/

音楽で大成功しても、ぜひ彼のチャーハン専門店も開いてほしいところだ。開店の日に並んでも食べ行くから。

先週あまりにも書くことが多くて書けなかったが、伊藤銀次のDear Music 「松尾清憲X本秀康X伊藤銀次」の Off stage Talk バージョンがアップされている。

http://offstagetalk.com/commetalkPlayer/play00003619.php

二人の音楽とマンガによるコラボ「チョコレート・ラブ」の制作秘話。16日に2回目がアップされた。
主人公が中学生なのは、カレーを登場させるためというのは面白い発想。
カレー→給食→中学生という連想ゲームなのだそうだ。
そして、今までのアルバムだと、コードがメジャーの曲とマイナーの曲とのバランスをとっていたが、なぜか今回はメジャーの曲ばかりになったという松尾さん。しかも「犬」が主人公の歌まである。
本さんの「ヴィジュアルな説明があると歌も冒険できるのでは」という言葉になるほどとうなづけた。
歌が密室の中でただ歌として存在するよりも、他のカルチャーと共にオープンに存在する方が生き生きしているような気がする。
松尾さんと本さんと同じように、ちょうど20歳離れている僕と黒沢君。
uncle-jamもなんらかの別カルチャーと共存して行ける音楽も作って行きたいと思う。
だって音楽なんでもプロジェクトなんだから。

そして同じく Off Stage Talk 「伊藤銀次・杉真理のTalkへいきたい」高野寛君との対談の第三話がアップされた。

http://offstagetalk.com/commetalkPlayer/play00003505.php

高橋幸広さんを中心とするPupaの2ndの話しから始まり、話しは深くなったり広くなったり。
それにしても高野君は直感的なことや抽象的なことをうまく説明できる人だ。しかも音楽だけでここまで盛り上がれる。
本当にMusic Is My Life なんだな。ポール・マッカートニーの作曲のエピソードと共に語られる、「残ってほしいと思って曲作りしている」という言葉を聞いて、だから高野君のメロディーってあんなに浸透力があるのかと納得させられた。
その彼がさらに詞にめざめ、もっと体にこなれた作品作りを目指してるという。次のアルバムが今から楽しみだ。

8月7日(土)の「Pied Piper Days-ようこそ夢街カフェの指定席へ」の40回記念のイベントにゲストで呼んでいただくことになった。
スペシャルということでWゲスト、もう一人のゲストはなんと、竹内まりや、フリッパーズ・ギター、L⇔Rなどに関わってこられた音楽プロデューサーの牧村憲一さん。
僕も昔一度いっしょにお仕事させていただいたことがある。サーフローラーズという企画もので、残念ながらボツってしまったが...。
数々のすばらしいアーティスト達とのどんなエピソードがまじかで聞けるのか、僕は出演者だというのに、今からそれがとても楽しみでならない。
場所はJVCケンウッド丸の内ショールームで、時間は15:45開場で16:00からたっぷりと。
入場無料だけど、参加には予約が必要です。事前に予約のない方は参加できないとのこと。

予約受付は:JVCケンウッド丸の内ショールーム<TEL:03-3213-8775>までお願いします。

最後にいよいよ来週土曜日、 7月24日にせまった、武蔵小山 LiveCafe Again でのトーク・ライブ、「話し出したら止まらナイト」。
いつもの僕のライブとはちがってしゃべりたいだけしゃべろうと思っています。
もちろん曲も歌うけれど、ここはひとつ「おしゃべり銀次」を楽しみに来てください。
会場は17:00、スタートは18:00から。ワンドリンク付いて2000円。
そんなめちゃくちゃ広いスペースではないので予約していったほうが確実にすわれるよ。

予約とお問い合わせは : LiveCafe Again <TEL : 03-5879-2251 s.ishikawa@cafe-again.co.jp>まで。

当日は来てくれたみなさんからのその場の質問に答える「目安箱」のコーナーもあるので、
ぜひいっしょに楽しく、まったりとした時間を過ごしませんか?


伊藤銀次
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□2010年07月11日号□

あっというまに一週間が立ち、今週のココロになってしまった。
先週の「週刊銀次」の最後に予告していた、来週のココロの話しをしよう。

僕とuncle-jamというユニットを組んでいる黒沢秀樹君がツイッターを始めていることは話したよね。
僕は性格的になにごとにもどっぷりイキやすいので、もう少しどんなものか様子をみてからにしようと、黒沢君や知り合いの on Twitterをここんところ、ちらちらと観察していた。
こう見えても意外と石橋を叩いてみたりするところもあるのです。
ある日、「talkへ行きたい」で対談したばかりの高野寛君 on Twitter を見ていたら、そこに   

うぅむ。「成功について」:内田樹の研究室

というつぶやきがあった。内田樹の研究室? どこかで見たことがあるぞ。なんだこのデジャブは。
はたと思い当たったのは、7月24日に「話し出したら止まらナイト」でまたお世話になる、武蔵小山のLiveCafe Againの店長、石川さんのプライベートHPだ。
その中にあるリンク・ページで、内田樹の研究室なる文字を見たことを思い出した。
しかも、うぅむとあの高野君がうなっているではないか。これはきっとうなるだけの含蓄のあるものにちがいない。
さっそく「内田樹の研究室」のページに飛び、拝見して一度でファンになってしまった。
一つコラムを読んではまた次のコラム、又次というように、その明快な視点に感心し、その夜は止まらなくなってしまうほどだった。

翌日の渋谷の紀伊國屋書店。
前から気になっていた「日本辺境論」が面出ししてあったので手を伸ばしてみると、なんと著者が内田さん。
迷わず買って帰り、読み出すまえに、いったいどんな風貌の方なんだろうと気になり、ネットを開き今度は画像を探してみた。
あった、あった。「内田樹の日常写真館」というページがあったので入ってみたらこれまた驚き。
なんとそこには内田さんとツーショットで、親指を立ててOKサインを出してる僕が映っているではないか!?

日付は2006年12月19日。
そうか、あの芦屋のレフトアローンで紹介された、ワインでほんのり染まったお顔の方が、内田樹さんだったのか。
なにやら大瀧詠一さんに会えたというようなことをおっしゃっていたことを、潜水病になりそうな勢いで海底から浮き上がったときのように思い出した。
無知というのは恐ろしいもので、それはよかったねなんて軽口をたたいたような気がする。
うぅむ、今度は僕が別の意味でうならなきゃならなかった。
まったくもって、不勉強の極みで穴があったら入りたい心境だ。

ちょうど5年前、僕の小中学校の同級生の村主君から、中学卒業以来の突然の電話があった。
彼は兵庫県宝塚市にある中山寺のご住職なのだが、ロックが好きで、芦屋のレフトアローンというライブハウスで、
彼の仲間達とで作っているサンデーズというバンドの発表会というか、ホームパーティーをやるので、遊びにきて歌ってくれないかというのだ。
村主君のことはしっかりと覚えていた。
小学6年のとき、6年生全員の中から3人が選ばれて、学芸会であの狂言「ぶす」を演じる事になった。
その3人のうち、太郎冠者に村主君、次郎冠者に僕が選ばれた。とてもむずかしい芝居で大変だったが、協力し合いなんとか本番にこぎつけ、とても評判がよかった。
その体験は一生忘れられない楽しい記憶となって僕の中に生きていたのだ。
僕はこころよく引き受け、その結果12月19日に村主君達と共演した、美容室を経営する光安さんという方に、内田樹さんを紹介されることになったのだ。詳しくは内田樹の研究室、伊藤銀次@Left Aloneの回を見ていただきたい。
そして今年も7月20日のレフトアローンでの村主君のパーティーにお邪魔させていただく。
もし内田さんが来られたら、前回の無知からの非礼を詫びたい心境だ。

uncle-jamを結成してから、気のせいか出会いがさらなる出会いを生んでいる気がする。
7月7日、武蔵小山アゲインで小松久さんのライブ、「大好きロックンロール・ギター#5」に、黒沢君を誘って行った。
小松さんが自ら制作したオケをバックにテレキャスターを弾きまくる、テレキャス好きにはたまらないライブ。
この日は20曲2時間たっぷりと楽しめた。
小松さんも僕や黒沢君に負けず劣らずの雑学派で、曲にまつわるお話しもへーっと思える話題で楽しめたが、こんなことをいっては失礼かも知れないがヴォーカルがとても素敵だった。
ハンク・ウイリアムスの影響のある節回しに、カントリーに対する深い憧憬を感じた。
第2部はなんとジョニー・リバース特集。僕は生涯で僕以外のジョニー・リバースのファンに会ったのは初めてだ。
ニック・ロウもカバーしている名曲、Poor Side Of Town も聞けてとても幸せな気分だった。
この日はそれだけではすまなかった。なんとザ・サベージのリードギター林廉吉さんがゲスト。
林さんがリード、小松さんがリズム・ギターで、シャドウズの「春がいっぱい」と「ボッサルー 」が聞けたのだ。
ザ・サベージといえば、寺尾聡さんがベーシストとして在籍したグループ・サウンドとして有名だが、僕にはプロ・デビュー以前、「勝ち抜きエレキ合戦」で優勝したザ・サベージという印象が強かった。
ほとんどのバンドがヴェンチャーズのコピー・バンドだったのに、唯一ザ・シャドウズの曲を演奏していた。
僕がシャドウズを好きになったのはザ・サベージの影響が強い。
当時憧れだった林さんのプレイを目の前で見れてお話しができたなんて、こんなに長くプロの音楽家でいるはずの僕なのにいきなりミーハー気分、夢のような出来事だった。

翌日もアゲインで土橋一夫さんホストの「泰安洋行ナイト」。
僕はティンパンではなかったが、細野さんの「トロピカル・ダンディ」でギターを少し弾かせてもらった。
その日のゲストは当時のティンパンのマネージャーだった長門芳郎さん、レーベルのディレクターだった国吉静治さん。
長門君にはよく会っていたが、国吉さんとはひさしぶりだったので会いにでかけることにした。
国吉さんにはDeadly Driveの「あの時はどしゃぶり」でフルートを吹いてもらったしね。
いきなりお客の僕に話しがふられて戸惑ったけど、中身の濃いいいイベントだった。
お客さんの中に黒沢君の知り合いが多くて,終了後もそれでまた盛り上がった。


イベントといえば、今年の秋のツアーで東京が入っていないことがちょっと気になっていたのだが、8月14日にアップルストア銀座の3Fシアターで1時間ほどのライブをやらせてもらうことになった。
「銀座で銀次」ってわけだ。ぜひみなさん見に来てくださいね。
そして昨年ライブ会場でしか買えなかったCD 「I Stand Alone vol.1」と 「I Stand Alone vol.2」が、7月28日から、Amazon、タワーレコード、HMVなどで買えるようになるそうだ。
ぼくのサイトにも事情があってライブに来れない方からCDを買いたいというメールがあった。
これでようやく買えるね。よかった、よかった。

ただくれぐれも誤解なきよう。silvertoneは僕のオフィシャル・サイトの名称であり、「I Stand Alone」シリーズを制作しているレーベルであって、マネージメント・オフィスではない。
現在の僕のマネージメント・オフィスは<emc>といいます。
僕へのファンレターやプロデュースやライブ、出演のご依頼などがありましたら、ぜひこちらまでご連絡お願いいたします。(急にていねいになったりして)
    
<有限会社イーエムシー / emc CO.LTD.>
〒107-0062 東京都港区南青山7-4-14 南青山サンハイム 201
info@ex-music-com.net


伊藤銀次
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□2010年07月04日号□

筋肉少女帯の曲に「日本インド化計画」というのがあった。
その呪文がじわじわ効いてきたのか(?)、どうも日本はインドまでとはいわないが、ますます亜熱帯化してきた気がする。
古来から日本人がなじんできた四季がわかりにくくなれば、もはやどこから梅雨でどこから夏なのかもわからなくなってくるだろう。
僕の「こぬか雨」の歌詞もそのうち、「ここにはスコールさえもない 表はそぼふるこぬか雨」を、
「ここにはしとしと雨もない  表はドカふるゲリラ雨」に変えなければならなくなるのだろうか?。
そうすると曲のタイトルも「ゲリラ雨」か。風情もなにもあったものじゃない。

Off stage Talk 「伊藤銀次・杉真理のTalkへ行きたい」、高野寛君との対談の2回目が土曜日アップした。
前回よりさらにうちとけてきて、話しがくだけて来た感じがする。
高野君のツイッター感がユニークだが実に的を得ていておもしろい。
黒沢君の話題も飛び出し、「僕らトラヴェリング・ウィルベリーズ(?)」の話しにまで発展した。
くわしくは本編で。

http://offstagetalk.com/commetalk/commetalk00003501.php

それにしてもくだけてきたのはいいが銀次、しゃべり過ぎだろ。聞き役にもかかわらず ...。
ザ・コレクターズの加藤君に「銀次さんはひとりでしゃべってるから」といわれたのはこのことか。
ガック然...。
高野君ファンのみなさんごめんなさい。なんせもともと「話し出したら止まらナイト」なもんで...。
反省。

小路幸也さんから新作「僕は長い昼と長い夜を過ごす」を送っていただいた。
なんと全400ページ余りの大作だ。
「東京バンドワゴン」シリーズをまだ読破していないのだが、そちらは楽しみにとっておき、新作の誘惑に負けてさっそく読み始めてしまった。
出足からエッていうちょっと変化球、それでかえって吸い込まれるように話しに入っていってしまう。
小路ペーソスはかわらずの暖かい文章。
どうもありがとうございました。楽しませてもらいます。

昔読んだ小此木啓吾さんの本によると、幼児期、少年期には誰でも全能感というものを持っているらしい。
自分はなんでもできるという気持ちだ。
ドラえもんの「どこでもドア」の存在が信じられるのも、正太郎の操縦器に操縦桿が二つしかついてないのに、鉄人28号がいろんな動きができることに何も疑問を感じないとか、これも幼児期、少年期の全能感のたまものだ。
やがて歳をとるたびにこれは薄れてくる。
現実に直面して、何ができることでできないことかを知って、いやが王でも長嶋でも(古ッ)大人になってくる訳だ。

中学2年の時、ビートルズを知った頃の僕は、まだ80%ぐらいの全能感を持っていたようだ。
ほうきをギター代わりに、大きな音でビートルズをかけながら歌っていると、夢は世界を翔ていた。
マジで。(笑)
いつか妄想は果てしなく頭の中に広がり、まだろくにギターも弾けないくせに、同級生と実体のないバンドを組み、画用紙でレコードのジャケットを作ったりしていた。
学校に持って行って、メンバーである(?)友達に見せるとエライうけたのを覚えている。
まあ妄想というより、ビートルズごっこみたいなものである。

メンバーは5人で、リード・ヴォーカルの宮脇君の頭文字をとって「M & The Fingers」。
宮脇君というのは、僕に「Please Mr. Postman / Money」のシングル盤を貸してくれた、ポップスの世界へ僕を誘ってくれた、いわば導師のような存在だ。
エルビスやクリフ・リチャードを歌わせるとゴキゲン。なのでリード・ヴォーカル。
デビュー・シングルのタイトルは「涙を抱きしめよう Get Hold Of Yourself」。
もちろん曲はまったくできていない。(笑)
辞書を引いて見つけた慣用句がこれで、当時のマージービートの曲のタイトルっぽいのでこれだと(笑)。
ウォーカーブラザースの「Make It Easy On Yourself」の影響もあったかも。
「涙の乗車券 Ticket To Ride」のように、英語の原題と日本語の副題がつけらているところに、そのあたり好きな証拠があらわれている。

完全な曲はなかったものの、なんとなくタイトルの♪Get Hold Of Yourselfのメロディーだけが頭の中に鳴っていたが、如何せん、ギターがまったく弾けなかったどころか、持ってもいなかったので、曲にする術をしらなかった。
でもその当時はそんなことはどうでもよかったのである。(笑)  ごっこだったのだから。 
今から思えばほうきのギターが一番弾きやすかったなー。(笑)

当時、東芝のオデオン・レーベルから発売されていたビートルズのライナー・ノーツは高崎一郎さんが書かかれていた。
その文章を参考にして、ライナーノーツも自分でそれっぽく書いたりした。たぶんこんな感じだったと思う。

  世界中を吹き荒れたビートルズに始まったリバプール・サウンド。彼らに続いて、ついに日本から世界へ飛び立った日本製のリバプール・サウンドの登場です。その名もM&ザ・フィンガーズ。さきごろ全米全英NO.1に輝いたばかりの「涙を抱きしめよう  Get Hold Of Yourself」をご紹介しましょう。     

うーん、かなり恥ずかしい。しかも日本製のリバプール・サウンドって、意味がわからない。(笑)
残念ながら画用紙に書いたジャケットはどこかへいってしまったが、武蔵小山Livecafe Agianでのトークイベント「話し出したら止まらナイト」の第一回で、僕の音楽との出会いの話しをすることになり、小学校、中学校の記憶をたどっているうちに、もうずっと記憶のかなたにあった、そのタイトル部分のメロを突然思い出した。
そこでこの話しを黒沢君にして、その続きを作ってみようと思うんだけどと提案したら、えらくおもしろがってくれ、やりましょうやりましょうってことで、なんとあっというまにできてしまった!
ついに構想(または妄想?)から40年以上たって「Get Hold Of Yourself ~涙を抱きしめよう」が完成を見たのであった。
こんなことってあるんだね。おかげでuncle-jamの、他にないエピソードつきのレパートリーがひとつ増えた。

5月21日 ZEPP東京での岡林さんのライブはすばらしかった。フォーク・ソングという小さな器には入りきらない、岡林さんの幅広い音楽性と長い道のりの頂点をみたような気がした。
アコギのみのセット、そして80年代から続けて来て今円熟期に入った岡林流エンヤトットに加え、今回は徳武博文、六川正彦、浜口茂外也三氏によるひさびさのロック・セット、さらに山下洋輔さんも参加、実にバリエーションに富んだ贅沢なステージだった。
1月に出した美空ひばりさんのカバーアルバムからの曲も演奏された。
僕はその中でも、ひばりさんの詞に岡林さんが補作しメロをつけた「レクイエム」にまたジーンときてしまった。
そのツアーのファイナルがCCレモンホールで7月18日に行われる。
もし「フォークの神様と」いう狭いレッテルをいまだに岡林さんに張り付けている人がいたら、ぜひCCレモンホールへ。
僕は当然見に行くよ。このツアーの集大成をこの目で確認しに行こうと思っているから。

黒沢君との往復書簡ブログ「uncle-jamの R&R Diary」にも書いたが、黒沢君から梅田望夫さんの本などを何冊か貸してもらっていながら、なお読みたい本が多くてせっせと購入したりするもんだから、最近どんどん「つん読状態」になってきている。
その中には、前から気になっていた「日本辺境論」も含まれているのだが、なんと、その著者の内田樹さんと僕がすでに出会っていたという話題については、来週のココロだ!


伊藤銀次
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