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□2010年04月25日号□

今、武蔵小山アゲインのトーク・イベント「話し出したら止まらナイト」から帰ってきて、この原稿を書いている。

生まれてはじめてのトーク・イベント、今の心境は、あたりまえだが、「やってみたからわかったよ」である。

筋書きどおりにいかないところもあれば、思いもよらぬところで喜んでもらえたり、音楽のライブもそうだが、それよりももっともっと「生(なま)」な世界!

話しの行方が見えなくなって、どうしようかと思ったときもあったけど、いくつになっても、新しい体験をすることは、やっぱり楽しいことだと思った。

特に、お客さんからその日いただいた質問に、その場で答える、「銀次の目安箱」のコーナーで、一番お客さんとの一体感が湧いて、自分もそこからリラックスできたことが、予期せぬ出来事、今回の大収穫だった。

お客さんたちのリアクションからいろいろと学ばせてもらいました。参加してくれたみなさん、どうもありがとう!
次回は、もっともっと面白くなるように、内容を銀味(?)して望みますので、よろしくお願いします!

今回は名刺代わりに、僕が少年時代に出会った、月光仮面などのヒーロー物の音楽から、ビートルズを知った頃に同時に体験した、カンツォーネ、フレンチ・ポップスなど、音楽の入り口のお話をした。

そして、七色仮面の挿入歌「名も知らぬ花」(原曲は中原美沙緒さんが歌っていた、世に知られぬ名曲)と、ボビー・ソロの「ほほにかかる涙」を、弾き語りで歌った。

次回は、「ぼくが最初に買った洋楽3枚のシングル盤」から始め、どうなってポップ・ロックの世界に、ノメっていったのかを話しながら、1964年から1966年あたりの音楽シーンの雰囲気を再現できればと思っている。
何の曲を歌うかはまだ未定である。

終わってから、アゲインの石川さんと、2回目は7月24日(土)にやることにさっそく決定。
(石川さん、すいません、もう告知してしまいました...。)
とりあえずやってみようってことで始めたので、2回目が決まってうれしい!

小路幸也さんの「DOWN TOWN」楽しく読み終えました。なんだか不思議な幸せ感にひたっています。
いつもそのへんにあるのに、見逃してしまっていたような幸せ感。
じんわり心があったかい感じ。
続けて「東京バンドワゴン」を読み始めました。

日曜の今日(25日)NHK-FMの「サウンド・ミュージアム」(19:20-21:30)という番組で、岡林信康さんの特集がある。
なんと聞き手は僕!岡林さん直々のご指名で実現した。なんとも身にあまる光栄である。

とかく初期の、社会現象としての岡林信康ばかりが取り上げられてきたけれど、その後発表してきた多くのアルバムに、ちゃんと音楽的な耳を傾ければ、彼が天性の巧みなソングライターであり、アイデアの宝庫だとわかるのではないかと思う。
この番組、今までに聞けなかった逸話も飛び出す内容なので、ぜひともチェキラ!。


伊藤銀次
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□2010年04月18日号□

11日、渋谷7th Floorの僕のライブに来てくれたみなさん、どうもありがとう!感謝しています!
去年とちょっとメニューを変えてみたのだが、どんな印象だったかな?

まさか、「Audio Video」をアコギ1本で、しかもイントロに、佐野元春の「Back To The Street」のギター・リフを入れて演るとは思わなかったでしょ?

ニック・ロウのカバー「Cruel To Be Kind」は大阪のほうがうまくいったかな?
どうも力むたちなので、うまく言った次の回は、もっとキメてやろうという気持ちが仇になることが多い。平常心!平常心!

今回は、東芝EMI時代の曲も少し入れてみた。
発表当時そんなに反応のなかった「This Love」、意外と評判がよかったのはうれしかった。

アコギへのアレンジは、何か根本的なアイデアがないと、つまんないものになる気がして、今まですべての曲を試してはいるのだが、まだいいアイデアが降りてこない曲は、置いたままにしている。
やっと「This Love」と「Audio Video」は、アレンジの出口が見えたのだ。

ママス&パパスの曲のカバーではなく、僕のアルバム『Dream Arabesque』から、「Monday Monday」を歌った。
この曲は昔、日清カップヌードルのCM、アーノルド・シュワルツェネッガーがボートを漕ぐヴァージョンに使われていた。

今回、春にはぴったりの曲だからと、やりかたをいろいろ試したのだが、なかなかいいアレンジが見つからず、もうやめようと思った大阪AKASOの前々日、なんと突然アイデアが僕に降りてきたのだった。
この曲には、ケルト音楽で使われるDADGADという変則チューニングが合うんじゃないかなと...。

レギュラー・チューニングから、6弦と1弦をDに、2弦をAに下げると、このチューニングになる。
「Monday Monday」はキーがAなので、第7フレットにカポをして、じゃら~~んと弾いてみると、これがなんともいえない幻想的な響きで、ケルトな感じが弾き語りに、音の厚みと雰囲気を作ってくれたのだ。

まだ大きな声ではいえないが、実は小さな声でもいえないのだが(?)、好評だったCD『I Stand Alone』のVol.3を作ろうかと思っている。
今回のライブで初登場の曲達も、すでに選曲候補かなと、そんな気になる出来映えで、とても気に入っている。

今回のサプライズ・ゲストは黒沢秀樹君。黒沢君の「Welcome To Dreamsville」
(僕も出演させていただいた、長門芳郎さん、土橋一夫さんのラジオ番組「ようこそ夢街名曲堂へ」のテーマ曲)と、
エバリー・ブラザースのカバーを2曲。そして、なんと二人で公開作曲を試みた。

いつも僕と黒沢君が、どんな感じで、いっしょに曲作りをしているのかを知ってもらうために(というか、まだ二人の新曲をお聞かせできないので、「その代わりといってはなんだが企画」 )、お客さんから、テーマやお題をいただいて、その場で二人で作曲してしまおうという、大胆素敵(?)なコーナーなのだが、僕の客席へのふりかたが上手じゃなかったせいか、会場からお題がもらえなかった。

しかたがないので「涙のサンデーアフタヌーン」なんて適当な題名をつけて、サビとAメロの途中まで、その場で二人で作ってしまった。
当日のライブは全部録音してあったので、作った曲はちゃっと残っているのだが、僕はどんなメロディーだったか、もうさっぱりおぼえていないのだ。

なんとなく良さげだったような、それほどでもなかったような... 。
近々、その音源をもらえるので、半分こわいものみたさだが、楽しみだ。
秀樹・銀次のユニットは、こういう遊び心も大切にしていきたいと思う。

16日の金曜日、真冬のような寒さに、追い打ちをかけるように、冷たい雨が降り続ける中、キャロル・キング&ジェイムス・テイラーの武道館ライブに行った。

14日の前評判どおり、いや前評判以上のすばらしいライブだった。
こんな至福に満ちたすばらしい時間を過ごしたのは、ひさしぶり、いや、生まれて初めてかもしれない。さまざまな時代の流れにふりまわされることなく、ポップスの王道を、ポップスの我が道を、しっかりとした確実な足取りで歩いてきた二人ならではの芳醇な世界だった。

僕もじゅうぶん、年齢的にはじゅうぶん大人だが、あらためて、あんなステキな「大人」のミュージシャンになりたいと、はずかしげもなく思えた夜だったね。
会場の暖かさは、暖房だけによるものではなかったよ。
当日は黒沢君、杉君、風祭東くんなど顔見知りばかりで、ちょっとした同窓会状態、終了後みんなと食事へ。

来週24日はいよいよ「話し出したら止まらナイト」だ。
なんと、コンサート会場で偶然、、トークライブをやらせてもらう武蔵小山「アゲイン」の石川さんにばったり会った。
ちょうど直前の最終打ち合わせをしようと思っていた時だったから、その偶然の力にちょっと驚き!
なんだか、おもしろいイベントになりそうな予感がする。


伊藤銀次
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□2010年04月11日号□

4月9日、大阪AKASOでライブ、銀次の今年の歌い初めになった。
去年の12月23日の渋谷「7th FLOOR」、12月24日の池袋駅地下で歌って以来なので、実に4ヶ月ぶりのこと。

ひさびさなので、力まないように、力まないようにと、心がけて歌ったら、思いのほか気持ちよく、去年よりリラックスして歌えた。
去年一年かけて、歌とギターがやっと、僕の体と一体化してきたような気がした。

それはよかったのだが、MCのほうがユルユルになってしまって、スベる、スベる。
加えて、第2部の上柴とおるさんとのトーク・コーナー、僕の時間読みが狂って、第3部の僕のシメの歌の時間が短くなり、ちょっとバタついてしまった。
(遠くから来てくれてる人もいるので、終電の時間が心配になっちゃったんだよね。
京都から来てくれた彼は大丈夫だったんだろうか?)

せっかくアンコールに出てもらおうと思っていたSINMO君にも、1曲しか歌ってもらえなくて...。
お客さんにも、上柴さんにも、SINMO君にも、本当にもうしわけなかったです。
次回の大阪のライブは内容を再検討、もうちょっとゆったりやっても、僕の曲がたっぷり聞けるように、顔を洗って出直してきます。

今回からアコギをTOKAIに変えた。
僕のオフィシャル・ウエブサイトの表紙で、僕が右上方にぐっと抱え上げているギターだ。

僕がこの子を購入したのは1985年頃。
以後、僕のアルバムのジャケットに何度か登場しているが、なぜか東芝EMI時代にはYAMAHAの黒いアコギにチェンジ、そして去年まではもっぱらVGというメーカーを使っていた。

またこの子に惚れ直したのは、厚さが普通のアコギの半分から三分の2くらいで、とにかく軽くて弾きやすいことだ。さらに音と形が、今の好みなのだ。
音も形もフォーク・ギターっぽくなくて、どことなくジャジーな雰囲気がいい。
ぐるっと時がめぐって、この子が僕の旬に来たわけだ。
(今まで邪険にしててごめんね。My TOKAI。)

このTOKAIというメーカーは、実にいいギターを作っていたが、残念ながらなくなってしまった。

ライブまでにピックアップを取り替えたりしたが、まだまださらなる調整が必要。
11日渋谷「7th FLOOR」が終わったら、しっかりお手入れして、これからのマイ・ギターにしていこうと思っている。

もちろん、今日の渋谷「7th FLOOR」もこの子でいくぞ!
春めいた選曲に、音がぴったりだと思うよ。

話は戻って梅田AKASOライブが終わってのサイン会。
待ちきれず、はるばる静岡や福岡からきてくれたファンがいることに、大感激した!
ほんとにファンのみなさんには頭が下がる。早急にスケジュールを検討しなくちゃ...。

ファンといえば、「週刊銀次」が始まって、ようやく僕のオフィシャル・サイトに、アクセスしてくれるようになったファンが増えてうれしい。

昔のFMナイト・ストリートを聞いていてくれたリスナーや、ナイアガラ・トライアングルの頃のファンからのお手紙、実になつかしく、楽しく読ませてもらった。
どうもありがとう!

そして驚くことに、「東京バンドワゴン」の著者、小路幸也さんからホームページにメールが届いた。
「週刊銀次」を読んでくれたようで、やっぱりその世代のかただった。
なんと、彼の著作に「Heartbeat」という作品もあるそうだ。
小路さん、ていねいなメールどうもありがとう。
「DOWN TOWN」をさっそく購入して、今読み始めたところです。

そして、4月にはもうひとつ新しい試みを始める。それは、初めてのトーク中心のイベントだ。
その名も「伊藤銀次の話し出したら止まらナイト」!
なんとも恐ろしいネーミングではないか。まるで「朝まで生銀次」みたいな...。
といってももちろん本当に「止まらない」わけではなく、大体2時間ぐらいのサイズで考えている。
(間に休憩を入れてね。)

場所は武蔵小山駅前の「LiveCafe Again」。
去年弾き語りのCD「I Stand Alone Vol.1」のレコ発イベントをやらせてもらった場所だ。
(Againはビルの地下1階、そしてこのビルの1階には「ペットサウンズ」というポップマニアにはよく知られたCD屋さんがある。まさにこのビルは、ポップスの聖地なのである。)
4月24日がその「話し出したら止まらナイト」の1回目である。

まだ実は何をしゃべろうか決めていない。
むしろ、あんまりかっちりした内容にしないで、行き当たりばったり、どのくらい自由にしゃべれるかを、実験してみたいと考えている。
話題はあちこちに飛んで、二度と戻ってこないかもしれない。
とっつきのいいところで、とりあえずは自分と音楽の出会いから始めてみようかな...。

一応ギターは持参の上だが、通常のライブ・イベントではないので、歌は話の箸休め、2曲ぐらいしか歌わないつもりだ。
それも自分の曲でもなく、ロックでもない、たとえば、ディーン・マーティンやナットキングコール、そして映画音楽、シャンソン、カンツォーネなど、めったに歌わない、プライベートに好きな、趣味趣味曲で押して行こうと思う。
そして、会場におこしのみなさんとのやりとりも期待している。
まさに「 The Other Side Of Ginji Ito 」。ぜひご参加あれ。


伊藤銀次
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□2010年04月04日号□

昨年のツアー「I Stand Alone 2009」に来てくれた皆さん、遅くなったけれど、どうもありがとう。
去年はまだ「週刊銀次」を始めてなかったので、今ここであらためて、「ありがとう!」を言わせてください。

間近にみんなを感じてライブができて、しかも終わってから短い時間だったけれどお話ができて、とても有意義だったね。
いろんな場所で、いろんな雰囲気で、今までずっと僕と僕の歌を待っていてくれたファンの人たちの目の前で歌えて、本当にうれしかった。

I Stand Aloneといえば、アル・クーパーのアルバム・タイトルを連想する人が多いと思う。
自由の女神の顔だけがアル・クーパーの顔になっている、あのアルバムだ。
一昨年の10月頃、2009年はギターの弾き語りで全国ツアーを行うと決めたとき、頭の中にビビビっときたのが、あのアルバム・タイトルだった。

もともとバンド編成でアレンジされた僕の曲を、ギター一本にアレンジし直して、ピアノの伴奏のようにして歌ってみるという試みは、最初は無謀で至難の業のように思われたが、この年齢になって、誰にも頼らず自分のギターだけで一回ちゃんと自分の曲達を表現しないと、ちょっとかっこ悪いなという、妙にせっぱつまった気持ちでいたのだ。
シンガー・ソングライターの原点に自分をちゃんと置いてみたい、そこから始めないと、ソロ活動を再開できないようなそんな気持ちになっていた。

ライブの回を追うごとに、曲を増やし、カポタストの位置や、昔から雑多なジャンルのコピーをして得た、さまざまな奏法とアイデアを駆使し、ああでもないこうでもないと試行錯誤するうち、オリジナル・レコーディングのアレンジによる時代性から、メロディーが自由に解き放たれて、それが時間を超えた「銀次メロ」として、自分で再認識できたことが、信じられないほど僕には重要な体験だった。
そして演奏スタイルも、1年立ってみて、知らず知らずのうちに、なんとなく、オリジナルなスタイルになってきたような気がする。なにごともやってみるものだ。

そんな弾き語りのライブを、去年はなんと年間に35公演!
ながらくスタジオの中でのプロデュースばかりで、人前で歌うことがなかった僕の中の、何か激しく駆り立てるものが、ひたすらしゃかりきに曲を演奏させたような一年だった。

そしていよいよ、「I Stand Alone 2010」が始まる。
4月9日の大阪が<梅田AKASO>、4月11日が渋谷の<7th FLOOR>。

何曲かレパートリーを増やしたり入れ替えたりはあるものの、基本的には去年とスタイルが大きく変化するわけではないが、去年よりまた一歩でも二歩でも、「進化」したライブができればいいなと思っている。
(だけど、「進化」しなくちゃしなくちゃと思い過ぎると、またリキんでコケるので気をつけなくちゃ... 。)

逆に、去年より肩の力を抜いた、リラックスした空気感のライブをめざしたいと今思っているところだ。

さあ、いよいよ、もうすぐみんなと会える。

ぜひとも!銀次、今年初の弾き語りライブ、皆さんこぞって、見に来てくださいね!

大阪、東京ともにゲストも来るでよ...。


伊藤銀次
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