認知症治療薬について | ニュー研のブログ『ニュー研へようこそ、ゆっくりしていってね!』

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呼吸器疾患と認知症を専門分野とする看護師のブログです!

かなり久しくなりましたが、ブログを書いてみようと思いました。

これから時々更新していきたいと思っています。

 

さて、今回は認知症治療薬について私なりの思いや今後の展望などをお話ししていきたいと思います。

日本では令和5年12月より、認知症治療薬レカネマブの使用が認められました。薬品名は「レケンビ®」という名前で、エーザイとバイオジェンという会社が共同開発した薬品です。

今までの認知症に使われている薬と言えば、ドネペジル(アリセプト)やガランタミン(レミニール)、リバスチグミン(リバスタッチ)、メマンチン(メマリー)といった薬があります。これらの薬は認知症という病気に直接効くわけではなく、認知症により悪さをしている症状を取り除くという効果のある薬でした。脳の動きを活性化したり、反対に興奮しすぎている脳の働きを抑えるような作用をしたりといった根本的な解決には繋がっていなかったので、今回の治療薬にはかなり期待してしまいます。実際に使用する患者さんやその家族さんにもお会いしましたが、かなり期待を寄せていました。(実際には、患者さんより家族さんの方が期待が大きいような印象です。)治療に関する基準や副作用についてお話していきたいと思います。

 

まずはじめに、使用できる方はアルツハイマー型認知症の“軽度認知障害”の方と“軽度認知症”の方です。これはいわゆる認知症「前段階」や「初期」の方です。それ以上に進行している方は脳の萎縮が進行してしまっているため、それらには効果が期待できません。なので、治療を開始したいという方はできるだけ早く受診をしてください。受診が早ければ早い方が治療は長くできます。

早期に開始した方が治療が長くできると言いましたが、治療にはできる期間があります。治療を開始しても認知症の進行を遅らせる効果がある薬ですので完全に止めることはできません。(中には進行が止まっているかのように緩徐な進行になる方もいるかもしれませんが。)なので、治療を開始したとしても中等度の認知症に移行してしまった時点で効果は期待できないという判断で治療中断となります。なので、治療は早く開始した方がよいということです。

治療は点滴による治療になります。2週間に1回外来受診し、点滴を行います。時間は1時間程度かかります。その他に、5回目と12回目の外来受診時にMRIで脳の異常がないか検査をします。約半年おきにMMSEとCDRの検査をします。点滴による副作用は、治療開始時のアナフィラキシーショックや、治療によるARIAという障害がないか確認します。ARIAとは脳出血や脳浮腫のことを指します。なので、日常生活をしていて頭痛や吐き気、歩行障害や呂律が回らないなどの症状があれば早急に受診してください。

 

以上が認知症治療薬の適応や治療、副作用についてになります。色々話しましたが、認知症治療薬の効果により認知症の方が少しでも楽しく、何気ない日常生活を過ごせることを期待しています。