


ごめんなさい
そんなつもりじゃ
あら? いいのよ!
あたしの亭主はね
小説を書いてるの
正確にいうと 書いてたのね
昔はねえ 新人賞なんかとったりして
忙しい時もあったんだけど
それも ほんの2、3年のことだった
あとはダメ
だからいつまでたっても
私たちは自分たちの家は持てなくて
居候したり
お友達の家に転がり込んだり
ふらふらしているのは
お兄さんとおんなじよ
そう…
でも 寅さんはいいわ
こんな温かい家があるし
いい妹さんが いらっしゃるんですもの
幸せよ!
あらいけない
私すっかり話込んじゃって
いいえ
じゃっ
お兄ちゃんっ!行ったわよ!
あれ?
居たのか?さくら
ああ よく寝たなア
なんだか今 耳のそばで
綺麗な音楽が聞こえていたようだけど
誰かいたのかしら?
『男はつらいよ』純情編