並行宇宙より家族の危機、LGBTよりお下劣なギャグ
※画像はお借りしているものです。
楽しみにしてたやつなんだ。
A24の作品、おれの感覚では最近もっともぶっ飛んだ作品を提供してくれるスタジオなんだよ。
10年ぐらい前に設立されたインディペンデント系のスタジオで、どちらかというとサスペンス系、ホラー系の作品が多いかな。
A24スタジオ作品で今まで見たやつは
・『ルーム』
・『ムーンライト』
・『へレディタリー/継承』
・『エクス・マキナ』
・『ミッドサマー』
・『LAMB/ラム』
・『X エックス』
・『MEN 同じ顔の男たち』 ・・・
観ているジャンルはかなり偏っているような気がするが、とにかく今まであまり見たことがない作風の作品が多いのだ。
そんなA24が今回題材とするのは今流行りの“マルチバース”。
えっ?マジ??
A24までマルチバース?
正直、ちょっと戸惑ってしまったんだけどこの作品かなり評判がいいらしい。
本年度のアカデミー賞でも11部門でノミネートされてるというから期待せずにはいられない。
というわけでで観てきた、この手の映画にしてはでっかいキャパの劇場でしかも7割ぐらいの座席が埋まってたんだよ。
こんなに活気のある劇場は久しぶりだな。
主人公は経営するコインランドリーは破産寸前、父親ゴンゴン(ジェムズ・ホン)はボケているが頑固一徹、娘ジョイ(ステファニー・スー)はいつまでも反抗期、優しいが全く頼りにならない夫ウェイモンド(キー・ホイ・クヮン)に囲まれ、いっぱいいっぱいの日々を送っているエヴリン(ミシェル・ヨー)。
そんな中、ウェイモンドに乗り移った“別の宇宙の夫”から、「全宇宙にカオスをもたらす強大な敵を倒せるのは君だけだ」と命運を託される。
混乱するエヴリンだが、悪の手先に襲われてマルチバース(並行宇宙)にジャンプ、そこでカンフーマスターばりの身体能力を手に入れ救世主として覚醒する。
かくしてエブリンは全人類の命運をかけた壮大な戦いに身を投じることになる・・・
“マルチバース”・・・
最近流行りで、困ったときはマルチバースという設定にしておけばもやもやしながらもとりあえずは何とかなるというちょっと困ったちゃんの題材なのだ。
しかし正直驚いた、マルチバースにはこういう解釈があるんだ。
基本的にアベンジャーズとは同じ内容を描いているんだけど、なんだか希望が感じられる内容だった。
実は思わず涙が出たんだよ、まさかこの映画で感動しまくるとは思わなかった。
“マルチバース”とともに現代の重要なキーワードである“LGBT”、このデリケートなキーワードへもA24ならではの勇気あるアプローチをやってるんだよ。
マルチバースへ飛ぶためのきっかけとなる動作も想像のはるかななめ上を行くもので声を出して笑わずにはいられなかった、映画館なのに・・・
出演陣もすばらしい。
主演ミシェル・ヨーは日常に忙殺されるおばちゃんからマルチバースでのさまざまな役柄を見事なまでに演じていたし、
夫ウェイモンド役のキー・ホイ・クヮンを観たのはホント久しぶり。
おれのイメージの中では『グーニーズ』のリッキーのままなんだけど、風貌がすっかりジャッキー・チェンになってた(笑)
ぷぷっ
そして、IRS捜査官ディアドラ役のジェイミー・リー・カーティス。
ローリー・ストロードもすっかり貫禄ついちゃって(笑)
(特におなかが・・・)
毎日に忙殺されてて違う人生もあるんじゃないかと思っている人には心に刺さるはず。
今年のアカデミー賞に絡みそうだし、最近では珍しくなったタイプの映画なんでお勧めしとくよ、意外にいい映画なんで。
鑑賞メモ:劇場