現実を直視しない恐ろしさ、直視してもどうしようもない恐ろしさ・・・
ネトフリで観たの笑うに笑えないブラック・コメディ。
ちょっと前にひっそりと劇場で上映していたらしい。
なんとレオナルド・ディカプリオにジェニファーローレンス、メリル・ストリープにケイト・ブランシェットまで、なんとも豪華な出演陣出だ。
ミシガン大の天文学者ミンディ(レオナルド・ディカプリオ)の教え子の大学院生ケイト(ジェニファー・ローレンス)は天体の観察中、巨大な彗星を発見する。
しかしその彗星の軌道を計算すると約6か月後地球に衝突することが分かった。
彗星の大きさからすると、地球は壊滅状態になる。
ミンディとケイトは世界中の人にその事実を知らせようと躍起になる。
仲間の協力を得て大統領オーリアン(メリル・ストリープ)に面会したり、テレビ番組に出演して危機を訴えるが誰も真剣に聞こうとはしない。
それどころか、真剣になればなるほど空回りし、滑稽さが際立ってしまう。
現実から目を背ける民衆、思考停止する民衆・・・、不都合な事実に直面したとき、人々の思考・行動はどこに向かうのか・・・?
不都合な真実に対峙したとき、人間はどういう行動に出る?
茶化してバカなことだと笑い飛ばす?相手にせず意図的に無視する?その事柄をきっかけに陰謀を捏造する?どのパターンも現代の世の中に起こっていることだ。
おれのまわりにもけっこういるぞ。
もうすぐ富士山が噴火する、そうすれば日本は沈没し、それを救ってくださるのは神だけだ、と駅前でチラシを配ってる人たちがいる。
政治で語られることは別のことに置き換えて本質から目を背けさせようとしているようにも感じる。
どうせ最悪の結末になるなら今を思いっきり楽しもうと自分本位でしか動かないひとがいる・・・
すべてに当てはまるように感じてまったく笑えない。
何ともシニカルな映画だ。
人間って信じたいものしか信じないし、それ以外は意図的に視界から外そうとするじゃない。
そして自分の考えを他人に押し付けようとするじゃない。
これは自分の考えがすべて正しいと考えているからこその心理なんだよな。
しかも情報が溢れているこの社会で、新しい情報が入るとそれが正しく、しかも自分の考えだと信じてしまう。
それが極端になると左や右に寄りすぎてしまう。
まったくその通りだと思う。
ひょっとしたらとんでもない陰謀が裏にあるのかもしれない。
大衆心理をとことん揶揄したふざけた内容だけど、たぶんこれが世界の姿なんだ。
実はふざけているようでとことん考えさせられる作品なのだ。
もし、絶望が目の前にある時、おれならどうする?
今の世の中が続くと信じて疑わない俺はきっと正しく理解できないだろう。
仮に理解できたとして、それがどうしようもないと分かった時、自分はどういう行動をとるだろう?
ラストもとことんふざけて絶望を描いている。
なんとなく観始めた映画だけど、軽いノリだけど実は大切な問題提起をしている驚きに満ちた作品だった。
鼻ピのジェニファー・ローレンスがイカス。
ブチ切れのジェニファー・ローレンスが最高だ。
レオ様もすっかり演技派でちょっと頼りない役も自然にこなせちゃうんだな。
鑑賞メモ:NETFLIX