知らないうちに継承されているサタニズム
アリ・アスターという監督はとんでもない監督だ。
『ミッドサマー』で一躍有名になったアリ・アスター監督はこの『ヘレディタリー/継承』で鮮烈に監督デビューしたんだけど、その強烈な演出手腕で心理的に恐怖のどん底に叩き落してくれるのだ。
ある日、グラハム家を支配してきた祖母が死んだ。
生前より母とは微妙な関係にあったエリー(トニ・コレット)は夫・2人の子供と淡々と葬儀を執り行う。
祖母が死んだ喪失感に包まれるグラハム家だったが、奇妙な出来事が頻発するようになる。
じつはグラハム家には代々受け継がれていた秘密があったのだ・・・
マジ怖い。
血が流れたり残虐シーンがあるわけじゃないけど、心理的にぐったりする。
チャーリー(ミリー・シャピロ)がピーナッツアレルギーを起こすことによる悲劇はほんとに怖かった。
その後の悲劇はトラウマ級の衝撃だった。
明かりを消したら誰かいるような気がするという感覚は、誰でも経験したことがあるんじゃないかと思う。
得体のしれない“感覚”こそが恐怖なのだ。
そういえば子供の頃、箪笥の木目の模様がやたらと怖かった。
監督の演出旬に加えて、出てる人たちがみんな上手すぎるんだよ。
長男ピーター役のアレックス・ウォルフが恐怖で泣いちゃうシーンは恐怖がダイレクトに伝わってくるんだよ。
とにかく観終わった後ぐったりしてしまう、場合によっては寝込んでしまうかもしれない一本なのだ。
よくホラー映画なんかでは絶叫クイーンなんて呼ばれる女優がいる。
今回はトニ・コレット。
ところで長男ピーター役のアレックス・ウォルフは誰かに似てると思ったら・・・
アリ・アスターの新作『ミッドサマー』も強烈だった。
アリ・アスターは今までにないタイプの演出をする、いま最も注目される監督のひとりだけど、心が弱ってるときに観たら間違いなく精神が破壊されるので注意が必要だ。
とにかく危険な作品を作る監督だ。
だからおれがみんなに伝えたことはただ一言だ。
「アリ・アスターだ!逃げろ!!!」
鑑賞メモ:NETFLIX