大人向けのおとぎ話、オタク監督が作った映画に大喜びのおいらもまちがいなくオタク。
『THE SHAPE OF WATER』、そのまま訳すと“水の形”ってとこだろうか、形のない水だからこそどんな形にもなれる。
目に見える形ではなく、ありのままの本質を見る・・・
いいタイトルだと思う。
冷戦下のアメリカ、口のきけない孤独な女性イライザ(サリー・ホーキンス)は政府の極秘研究機関の清掃員として働いてた。
ある日、研究所に不思議な生き物が秘密裏に運び込まれる。
その生き物は、水槽で厳重に管理された魚人で、アマゾンの奥地で原住民より神と崇められていた生き物だ。
すっかり“彼”に心を奪われたイライザは人目を忍んで“彼”の元に通うようになる。
二人が密かに愛を育んでいく中、イライザは軍人ストリックランド(マイケル・シャノン)が“彼”の生体解剖を実行しようとしていることを知る。
イライザは、徐々に衰弱していく“彼”を救出しようとするが・・・
作品賞をはじめ、本年度のアカデミー賞4部門を受賞した話題作。
白状すると、おれ、実はアカデミー賞作品と相性がよくない。
いい映画であることは間違いないんだけど、楽しい映画かといえば必ずそうではない、史実や伝記、社会問題など小難しい映画が多いような気がする。
だからこの映画もそんなに期待せずに観た。
ギレルモ・デル・トロって面白い監督だ。
『パシフィック・リム』みたいに、これ以上ないぐらい個人的趣味につっ走った映画作ったり、『パンズ・ラビリンス』ではイマジネーション溢れるおとぎ話(すごく難解だった)というまったく違った作ったりもする。
でも、一本筋が通っているのは“オタク魂”、それもふつうのオタクではなくて、ものすごいオタクなのだ。
作品を観れば絶対伝わってくる。
この映画のオタクポイントは、魚人の出来栄えだ。
こういうキャラって一歩間違えるとへんな着ぐるみになっちゃうんだろうけど、グロテスクのような神々しいような、ものすごいキャラクターだ。
ストーリーもいい。
男と女には言葉は要らないなんてフレーズ聞いたことあるけど、これ以上ばっちりハマることってないだろう。
コミュニケーションに言葉は不要というテーマの見せ方がすごく上手い。
なんたって口が利けない女性と、人間じゃない謎の生き物だからな。
相手の本質を見ると愛が芽生える、ものすごくきれいな映画だと思う。
(ところどころグロイのは監督の趣味だな)
イライザの首のアザにはそういう意味があったのかと感心した。
最大の見どころなんで、ぜひ見てほしい。
イライザ役のサリー・ホーキンスの演技がすばらしい。
口が利けない役なのにいろんな感情が伝わってくる。
美人じゃないけど、すごくキュートに見えた。
彼女にもなんか賞をあげたい。
その後ふたりはどうなったんだろう?
幸せに暮らしているんならいいな。
観終わったに想像力が掻き立てられるのも後味がいい。
難解な賞取り映画ではなく、とても分かりやすいストーリーでだけど、人間の本質を考えるいい機会になる映画だと思う。
オススメです。
鑑賞メモ:劇場
