魔法のことば、「うま〜くい〜く」

明日の糧になること間違いなしの滋養強壮映画だ

 

 

映画が好きでよく観るというと必ず聞かれることがある。

「いままで何本ぐらい映画観た?」

そんな時、いつも心の中で思う。

「キミはいままで食べた食パンの枚数覚えているのかい?」

 

そして次には、

「一番よかった映画はなに?」 と聞かれる。

そんな時、いつも心の中で思う。

「じゃあ、一番好きな食べ物ひとつだけ挙げれるかい?」

 

 

そうなんだよ、なんでも優劣をつけてひとつを選ぶってむっちゃ難しいんだよ。

でもね、もし無人島に行くなら絶対持っていきたい映画の1本がこれ。

 

ボリウッド作品も結構観たけどこれは出色、もう何度観たかわからないくらい観たんだけど、何回観ても涙が出るし、観終わったあとの満足感は相当のものがある。

 

超名門の難関大学に入った天才だけど自由人なランチョー(アーミル・カーン)と親友のファラン(R・マドハヴァン)とラージュー(シャルマン・ジョン)。

彼らはバカ騒ぎをしては学長の怒りを買い、いつしか“3バカ”として札付きの問題児となる。

時は流れ10年後、ランチョーは行方不明となりファランとラージューはランチョーを探す旅に出る。

 

インドは世界で一番自殺の多い国らしい。

どんどん豊かになっていくのと裏腹に新たな問題も浮き彫りになってくる。

インドでは工学を学びエンジニアになることがエリートへの道筋、親が子に過度の期待を寄せるのは世の常か・・・

急速な発展を遂げ、学歴偏重になっていく社会を強烈な風刺で警鐘を鳴らす物語はかつての日本の姿そのものに映る。

インドはいま、日本の30年後ろを進んでるんだろう。

 

テーマとしては社会派ドラマになるんだろうか、社会派なんていうと堅苦しく感じられるけど青春ドラマにコメディーの味付けをしてる作品なんで、後でよくよく思い起こしてみなければ社会派ドラマとは気づかないかもしれない。

 

インド映画はわりと長尺ぎみで、この作品も3時間近く。

途中、中だるみするほど詰め込み過ぎなかんじもするが、物語りが進みだすと目が離せない。

 

爽やかなだけではなく、甘酸っぱい恋物語やショッキングな出来事、挫折と立ち向かう姿勢、いろんな要素がてんこ盛り。

おまじないのように何度も使われる「うま〜くい〜く」は本当にすばらしい言葉だと思う。

自分の心に居座る不安を抑える、まさに魔法のおまじない。

すてきな言葉として心に止めておきたい。

 

本当にすばらしい映画だと思うんだけど、ちょっとひくような内容もある。

急速な発展を遂げているとはいえ、思わず眉をひそめるようなよくない言葉づかいがあるのは、やはりまだ発展途上なんだろうな。

 

この映画観ていないひといるかな?

ハリウッド作品だけではなく、意外なところに観ておきたい大傑作がけっこう転がってるもんだよ。

 

 

  鑑賞データ:BD