「天皇の料理番」というドラマが始まった。

なかなか面白い、と思いながら観ていて思い出したのがこの映画。

フランス、ミッテラン大統領の専属料理人として選任された女性シェフの物語。

大統領は無駄な装飾や技巧に走った料理が嫌い。

それを知ったオルタンスは、多忙を極める老齢の大統領のため、真心のこもった素朴でシンプルな、大統領出身地の家庭料理を供する。

料理の様々な工程を、リズミカルな音楽に乗せて鮮やかに切り取った映像が美しい。
幾品ものフランス料理をのせた皿も、息を呑む程美しい。




何より、サブタイトルに流れる料理の名を観ているだけで楽しい。

例えば・・・


・サーモンのファルシ  スコットランド産サーモンにロワール産ニンジンを添えて
・ポルチーニのスクランブル・エッグ
・メメ・クリームのサントノレ
・アスパラガスのポタージュ
・牛ヒレ肉のパイ包みとシロール茸の煮込み(フリカッセ)
・ベリータルトとピスタチオのヌガティーヌ
・仔牛の背肉の香菜焼きとジュリアポテト
・フォアグラと白ワインのジュレ フーガス添え
・ナント産エスカルゴのカソレット
・シャラント風スープ(イカと舌平目のスープ)
・ローヌ風牛肉のマリニエール
・ベドノンヌ 尼さんのおなら
・ルーアンの仔鴨のサプライズ
・鴨の甘酢仕立てとサルラ風ポテト


とにかく、お腹が空いてくることは間違いなしだから、夜中に観るのは避けた方がいい。

日本人向けにアレンジされたものではない、こってこてのフランス料理が食べたくなってしまった。

大統領が、苦境に置かれたオルタンスにつぶやく言葉がこころに沁みる。

逆境だからこそ、私は頑張れる。人生のトウガラシだ。分かるかね?

映像美だけではない。
人生のあらゆるスパイスが詰まった映画だ。