先週、西山女流が白玲のタイトルを防衛し、ついに「プロ棋士」になる資格を得ました。
西山女流自身はプロ入りについて明言を避けていますが、将棋界初の女性棋士誕生がほぼ確実になったと言ってよい状況です。
しかし、この歴史的快挙が全面的に喜ばれているかというと、実はかなり微妙で、世間では賛否両論、
いや、むしろ「否」の意見の方が目立っているような状況なのです。
いわゆる「女子枠」批判です。
その典型的な例が、ひろゆき氏のこちらのツイートです。
今回の特例は、女流棋士だけが参加する最高峰タイトル「白玲」を5期獲得したことでプロ棋士資格が得られるというもの。
正規ルートではないため、批判派からは「実力は全く足りていないのに、女性であるために下駄を履かせてプロにするのか」という声が上がっているのです。
しかし、こうした批判をしている方の多くは、将棋界の構造や彼女の歩んできた歴史をあまりご存じないように感じます。
西山女流のこれまでの経緯を振り返ると、以下の通りです。
-
子供のころから男性に交じり、プロ養成機関である「奨励会」で腕を磨いてきた。
-
奨励会ではプロ一歩手前の「三段」まで昇段し、現在プロとして活躍している棋士たちと互角以上に渡り合っていた。
-
三段リーグでは、通常ならプロになれるレベルの好成績(14勝4敗)を残しながらも、運悪く惜しくも次点でプロ入りを逃し、その後、年齢制限により退会した。
-
退会後も公式戦で男性プロ棋士を次々と倒し、プロ編入試験の受験資格を獲得。試験に挑戦したものの、あと1勝という紙一重のところでプロ入りを逃した。
-
女流棋士として活躍を続け、現在は、白玲を含め女流3冠のタイトルを保持。
つまり、西山女流はこれまでプロになれなかったとはいえ、「限りなくプロに近い実力」を何度も証明してきた棋士なのです。
これを東大受験に例えるなら、「一般入試で合格圏ギリギリのレベルにいる女子学生を、これまでの圧倒的な実績を評価し、推薦入試で東大に合格させた」という状況に非常に近いと言えます。
決して「実力不足の人が制度で救われた」わけではありません。
西山女流自身も、本来の正規ルートである奨励会、あるいは敗者復活ルートである編入試験で、正々堂々とプロの扉をこじ開けたかったはずです。
しかし、これまでの目覚ましい活躍と実績が認められた結果、将棋連盟や女流棋戦スポンサーなどの様々な思惑・期待によって、今回の特例制度が作られる形となりました。
彼女自身が欲したわけではなく、将棋連盟やスポンサーからプロ入りを熱望されたという形です。
当事者である彼女自身、きっととても複雑な思いを抱えていることでしょう。
だからこそ私は、彼女には堂々とこのプロ入りを受け入れてほしいと思っています。
そして、プロの盤上で圧巻の結果を残すことで外野の雑音を吹き飛ばしてほしいですし、「西山女流ならそれが必ずできる」と信じています。

