獲得賞金は「最強」の証か?
昨日、私たちは歴史の目撃者となりました。
フォーエバーヤングのサウジカップ2連覇。
獲得賞金総額は45億円とブッチギリの日本史上最高額。
イクイノックスの生涯獲得賞金額の2倍を超えました。
しかし、フォーエバーヤングが成し遂げたこの偉業は、世界的には評価されるものの、
日本競馬の「最強」論争に加わったという声は殆ど聞こえません。
何しろ、JRAのレースに出走したのは、デビュー戦となった2歳新馬戦(11月)の1戦のみ(4馬身差の圧勝)。
過去に日本最強馬論争の中心にあったイクイノックスやディープインパクト、オルフェーブルなどと同じ土俵で語られる雰囲気はありません。
そこで今日は、日本史上最強馬との呼び声が高いイクイノックスと、
世界に羽ばたき砂の絶対王者となったフォーエバーヤングを、
あえて比較してみたいと思います。
1. 両馬の戦績
まずは、フォーエバーヤングとイクイノックスの全成績を比較します。
フォーエバーヤング 生涯全成績(14戦11勝3着3回)
| 開催年 | 日付 | レース名(格) | 競馬場 | 結果 | 着差・備考 |
| 2023 | 10/14 | 2歳新馬 | 日本・京都 | 1着 | 4馬身 |
| 11/03 | JBC2歳優駿 (Jpn3) | 日本・門別 | 1着 | 1.1/2馬身 | |
| 12/13 | 全日本2歳優駿 (Jpn1) | 日本・川崎 | 1着 | 7馬身 | |
| 2024 | 02/24 | サウジダービー (G3) | サウジ | 1着 | アタマ差 |
| 03/30 | UAEダービー (G2) | ドバイ | 1着 | 2馬身 | |
| 05/04 | ケンタッキーダービー (G1) | 米国 | 3着 | (負け①) 鼻+ハナ差 | |
| 10/02 | ジャパンダートクラシック (Jpn1) | 日本・大井 | 1着 | 1.1/4馬身 | |
| 11/02 | BCクラシック (G1) | 米国 | 3着 | (負け②) 2.3/4馬身 | |
| 12/29 | 東京大賞典 (G1) | 日本・大井 | 1着 | 2馬身 (国内5勝目) | |
| 2025 | 02/22 | サウジカップ (G1) | サウジ | 1着 | 1/2馬身 (初制覇) ロマンティックウォーリアーを倒す |
| 04/05 | ドバイワールドC (G1) | ドバイ | 3着 | (負け③) 2馬身 | |
| 09/23 | 日本テレビ盃 (Jpn2) | 日本・船橋 | 1着 | 2.1/2馬身 | |
| 11/01 | BCクラシック (G1) | 米国 | 1着 | 1.1/2馬身 (日本馬初) | |
| 2026 | 02/14 | サウジカップ (G1) | サウジ | 1着 | 連覇達成 |
イクイノックス 生涯全成績(10戦8勝2着2回)
| 開催日 | レース名(格付け) | 競馬場 | 結果 | 着差・備考 |
| 2021年 | ||||
| 08/28 | 2歳新馬 | 新潟 | 1着 | 6馬身 (衝撃のデビュー) |
| 11/20 | 東スポ杯2歳S (G2) | 東京 | 1着 | 2.1/2馬身 |
| 2022年 | ||||
| 04/17 | 皐月賞 (G1) | 中山 | 2着 | (負け①) 1馬身差 (大外枠の不利) |
| 05/29 | 日本ダービー (G1) | 東京 | 2着 | (負け②) クビ差 (上がり最速も届かず) |
| 10/30 | 天皇賞・秋 (G1) | 東京 | 1着 | 1馬身 (大逃げパンサラッサを激走で捕らえる) |
| 12/25 | 有馬記念 (G1) | 中山 | 1着 | 2.1/2馬身 (現役最強を証明) |
| 2023年 | ||||
| 03/25 | ドバイシーマC (G1) | メイダン | 1着 | 3.1/2馬身 (持ったままのレコード) |
| 06/25 | 宝塚記念 (G1) | 阪神 | 1着 | クビ差 (大外強襲、着差以上の強さ) |
| 10/29 | 天皇賞・秋 (G1) | 東京 | 1着 | 2.1/2馬身 (1:55.2の異次元レコード) |
| 11/26 | ジャパンカップ (G1) | 東京 | 1着 | 4馬身 (総決算。完璧な引退レース) |
フォーエバーヤングは、初戦JRAの新馬を圧勝後、米国ケンタッキーダービーを目指してクラッシック路線ではなく地方競馬からサウジ→ケンタッキーダービーという前代未聞のローテーションを取りました。
そのため、同世代のジャスティンミラノ、ダノンデサイル、レガレイラといったスターホースと全く対戦がありません。
世界最高賞金のサウジカップ2連覇、米国最高峰のBCクラシックなど14戦11勝(3着3回)と素晴らしい実績。
負けた3戦は、僅差で負けたケンタッキーダービー、3歳時のBCクラシック、4歳時のドバイWCです。
ロマンティックウォーリアを倒したサウジカップと米国最高峰レースBCクラシックの日本馬として初制覇は特筆に値します。
対するイクイノックスは、成長途中だった皐月賞、ダービーこそ2着に敗れましたが、本格化してからは危なげない横綱相撲で勝ち続けました。GⅠ6勝の内容も、東京、中山、阪神、メイダンと4つの競馬場、距離も2000-2500mと万能ぶりを見せつけ、ドゥデュース、リバティアイランド、タイトルホルダー、ジャスティンパレス、スターズオンアースなどGⅠ馬を子ども扱いしています。
2. 「最強」はどちらか?
世代の違うこの2頭が同じレースで走ることはありません。
あくまで、タラレバの世界です。最強馬論争というのは「もしもの世界」です。
両馬の基礎データを比較します。
フォーエバーヤング14戦11勝(3着3回)
GⅠ(Jpn1含む)6勝:ダート1800~2000m(サウジカップ2勝、BCクラシック、東京大賞典、ジャパンダートクラシック、全日本2歳優駿)
獲得賞金45億円
公式レーティング128(日本ダート史上最高)
イクイノックス10戦8勝(2着2回)
GI6勝:芝2000~2500m(ドバイシーマ、天皇賞秋2勝、ジャパンカップ、有馬記念、宝塚記念)
獲得賞金22億円
公式レーティング135(日本歴代最高)
公式レーティングこそ差が開いていますが、ダートは数字が低くなることを考えるといい勝負にみえます。
(ただし、世界最強、怪物フライトラインは強豪ライバルに対して圧倒的な着差をつけて勝ち続けたため、ダートにもかかわらず140がついています)
しかし、フォーエバーヤングは史上最強馬ではないか、という声は殆ど聞きません。
理由は2つあると思います。
1つは、
やはりダートしか走っていない事。
日本は3歳クラシックも古馬クラシックも「芝」中心のレース体系となっていて、有力馬は「芝」のレースを走ります。
そのため、ミュージアムマイル、マスカレードボール、レガレイラといった現役日本有力馬との対戦はなく、現役日本最強馬であることすら証明されていません。
2つ目は、勝ち方が圧倒的に見えない事。
フォーエバーヤングのレースは、他馬を寄せ付けない横綱相撲というよりも、競り合って絶対に負けない勝負強い印象の勝ち方です。2着の着差はせいぜい2馬身程度で、圧倒的な強さを感じづらいところがあると思います。
しかし、冷静に考えてみると、
昨年のサウジカップではあのロマンティックウォーリアを倒し、米国最高峰BCクラシックで前年チャンピオンのシエラレオーネを倒し、今年のサウジカップではナイソスを倒しています。
間違いなく世界最強クラスの馬にマッチレースで勝っており、3着以下に着けた差を考えれば圧倒的な強さと言っても良いかなと思います。
イクイノックスは、相手を諦めさせる圧倒的な強さがありましたが、フォーエバーヤングは最強クラスの相手には接戦に持ち込まれるが絶対に抜かせない圧倒的な勝負根性を感じます。
また、世界的な評価という点で言えば、海外有力馬を倒し続けているフォーエバーヤングに軍配が上がります。
3.フォーエバーヤング今後の展開と夢
次戦、昨年3着に敗れたドバイWCに向かうことが確定しています。
勝って種牡馬入りする可能性もありますが、ファンとしては最後の夢を見たい。
BCクラシック連覇、サウジカップ3連覇も十分魅力的な挑戦ではありますが、もっと見たいもの。
それは、芝への挑戦です。
同期最強のジャスティンミラノは引退しましたが、ダノンデサイル、レガレイラ、1つ下のミュージアムマイル、マスカレードボール、クロワデュノールらと有馬記念での対戦が観てみたい。
これは、競馬ファン全員の夢ですが、実現は難しいとは思います。
しかし、馬主の藤田晋氏は、先月のインタビューでこのように語っています。
「今年はサウジCをおかわりして、その後に去年取り損ねたドバイWCを勝ちたい。
そして最後は芝ですね。おそらくは有馬記念だと思いますけど、
もっと早く芝を使えば良かったなという風に後悔するような好走を見せてくれて、
無事に引退するというのが2026年の目標です」
また、
昨日レース後のインタビューで矢作調教師も
「フォーエバーヤングの芝での走りをみてみたい。」
と前向きなコメントをしていました。
夢は夢のままにしておきたい気持ちと見てみたい気持ち、競馬ファンとしても複雑ですが、
有馬記念を勝つようなことがあれば、間違いなく日本史上最強馬の称号を得ることになると思います。
今後のフォーエバーヤング、ますます楽しみです。

