ネットの書き込みに「指定校推薦はお得」とか「指定校推薦合格者は一般入試では到底受からないとんでもなくレベルが低い」といった指定校推薦を揶揄する趣旨のものをよく見かけます。
花子の中高在学中にはこのような書き込みにとても違和感を感じていました。
花子の高校で指定校推薦の枠はかなりの数ありますが、実際に使用しているのは例年早慶のみ3-4人で早慶も含め大量に枠が余っていました。
しかも早慶指定校推薦をとっている生徒の成績は超絶優秀で東大合格者と遜色ありません。
例えば、慶應法学部の評定基準は4.3以上となっていますが、そもそも評定4.3以上をもらえるのは学年上位1割程度です。
しかも希望者が複数いた場合に評定が高い生徒が優先されるため実際推薦されている生徒は例年4.6以上と学年トップレベルでした。
模試の偏差値も東大合格者と遜色ないので、実際に一般入試を受けたとしても東大、一橋、早慶のどこかには合格しているはずです。
そのようなイメージを持っていたので、私の中には指定校推薦は優秀でちょっと勿体ない選択というように思っていました。
ところが、
奏の高校の指定校推薦について知ったとき、このイメージが大きく変わりました。
まず、評定が全体的に甘いのです。
花子の学校では下3分の1は平均評定3.4以下になりますが、奏の学校では評定3.4以下の人はほぼいない感じです。
また、花子の学校では指定校推薦は誰でも利用できるので東大レベルの学年トップが利用してしまう実態がありましたが、奏の学校では難関国立志望者が指定校推薦を利用することは許されない暗黙のルールがありました。
つまり、奏の学校では指定校推薦をもらう生徒が学年トップクラスということは絶対にないわけです。
それどころか。。。
奏の学校から早慶に推薦された生徒の実力は花子の学校の指定校推薦者とはだいぶ違いました。
指定校推薦者の中には、駿台模試偏差値50未満の者が複数います(文系ならまだしも、早慶理工学部でも)し、一般入試で合格している者より明確に成績が悪いです。
ネットの記事等を見る限り、おそらく、花子の学校がマイノリティーで奏の学校がマジョリティーのような気がします。
子ども達の学校だけではサンプル数が少なすぎるので、最も説得力のあるものとして、2015年に東京理科大学が公表したデータを紹介します。
これは、東京理科大が入学者に対し、共通の実力テストを実施し、「推薦入学者」「一般入試入学者」「センター利用入学者」ごとに得点を公開したのですが、結果が衝撃過ぎて、当時話題になりました。
下記の通りの結果ですが、
端的に言えば
センター利用入学者>一般入試入学者>>>指定校推薦入学者
といった感じで想像以上の学力格差となっていました。
ただし、指定校推薦は10月頃に決まってしまうため受験生が人生で一番勉強する二次試験直前期の3-4ヶ月勉強しませんので、学力差があるのは当然で、その分は割り引いて考える必要はあると思います。
話を元に戻します。
2人の子どもの実態から、以下のことが分かりました。
・評定は絶対評価でも相対評価でもなく、学校の裁量で決定される。
・大学から求められる評定基準はどの学校でもほぼ同じ(超難関校だろうが、中堅校だろうが4.3という基準は同じ)。
ということです。
花子の学校のように評定を厳格につけている学校もあれば、平均が4を超えるようなインフレ評定を付けている学校もあると思われます。
実際、大学合格実績を高く見せたいという理由からか、一般入試で合格できそうな生徒より合格できそうもない生徒のほうが推薦で優遇されるような運用がされている学校がたくさんあるのだと思っています。
評定が厳しい超難関校で獲得した「4.3」の生徒と殆ど全員が4以上をもらえる中堅校の「4.3」を獲得した生徒の学習レベル差は雲泥の差と思いますが、推薦入試基準上は同一に扱われるということになります。
例えば、花子の学校で英語の評定5は英検1級レベルか英検準1級レベルの上位層でないとほぼもらえませんが、奏の学校なら英検2級でも提出物をちゃんと出していれば多分取れますし、非進学校であれば英検準2級~3級レベルでも5をもらえる可能性はあると思っています。
近年、一般入試枠を減らし推薦枠を増やす私学が多い傾向にありますが、このような理由から不公平かつ不公正な制度だと感じます。
逆に言えば、逆転合格が一番簡単なルートと言えると思います。
※記事に記載したとおり、指定校推薦を揶揄する目的ではありません。
花子の学校のように指定校推薦を取ることがとても大変で凄い努力が必要な学校も少なくないと思っています。
フェアでないことが問題という趣旨です。
なお、文中の花子、奏の学校の指定校推薦データは学校から配られる先輩方の進路実績冊子に掲載された先輩方の実績データなので少し古い情報です。傾向は変わらないのではと思っています。