その後、我が家の「取らぬ狸」は現実のものとなりました。
大学受験的に言えば、ギリギリA判定だった第1志望校に加え、D-E判定のチャレンジ校だった浦和明の星、豊島岡に奇跡的に合格してしまったのです。
家族会議で志望順位を決めていたので、議論の余地はもうありません。
妻と花子は、第1志望校に合格し大喜びで進学することに1ミリの迷いもありませんでしたが、私は密かに心の葛藤を抱えていました。
「花子は第1志望校に憧れてずっと受験勉強を頑張ってきたんだ、気持ちよく送り出したあげよう」
と頭では分かっていても、
「冷静に考えて、周りのレベルがワンランク上の学校に行かせるべきではないか、子どもの気持ちは一時のもの、父親として説得すべきではないのか」
といった気持ちとせっかく受かったのに勿体無い気持ちが強かったわけです。
心の中で悶々としながら、
表面では「憧れの第1志望校に行くことができて良かったね」
といった態度をとり続けましたが、ひょっとしたら作り笑顔がバレていたかもしれません。