当時、それまで振られたことがなかった。
「振られるより、振る方が辛いよ。
だって相手を傷つけないように上手くタイミングを見計らって、
別れ話を切り出さないといけないから・・」なんて、
今、思えば、とんでも無いことを言っていた。
彼とは5年程付き合っていた。
そのうち、私と結婚する為に、マンションを買った。
その頃のマンションにしては珍しく、
キッチンも部屋の間取りも、自分たちで設計できた。
彼は、お金はなくても服だけは沢山持っていた私の為に、
特別に、クローゼットの部屋を作ってくれた。
端から見たら、幸せそうに見えたかもしれない。
でも私にしたら、流されるまま結婚するようなモノだった・・。
「このまま結婚していいのかしら・・」と、いつも思っていた。
ある日、彼に相談した。
「本当にアナタの事を好きなのか解らない・・。
暫く、逢うのは止めましょう。
半年位して、お互いが必要だと改めて思えば、
また、続ければいいのだから・・。」・・と。
その頃、いつも休みに遊んでいる学生時代からの親友がいた。
彼女には、今までのことを全て話していた・・。
マンションの事も、
「私、彼の為に早くお料理を覚えたいの・・。
要領が悪いから、ガスコンロを6つも付けたんよ」
「キッチンは明るい方がいいと思って壁紙を明るめの暖色系にしたの」
「クローゼットの部屋でも、充分寝泊まりできるくらい広いんよ。」
「少しでも光が沢山射し込むように、窓を大きくしたの・・」
・・何でも話した。
ある日、親友から、
「一度、彼に会わせてよ・・」と頼まれ会う事になった。
後から、
「銀河には勿体ないよ!」と言われた・・。
他の日に、また親友に会った。
いつも、お互いのスケジュールを合わせ、遊ぶ為の予定を立てていた。
当日も、スケジュールブックを見ながら相談していた。
途中、席を立った私が戻ってくると、
バッグに入れた私のスケジュールブックが開いたままになっていた・・。
一瞬「?」と思ったが気にも留めなかった。
それから、お互い忙しく、余り連絡も取れなくなっていた。
頼まれていた件もあり、久しぶりに親友に電話した。
お母さんが電話口に出られ、
「あら~。銀河ちゃん!
どうして娘の結婚式に出てくれんかったの?」と言われた。
私は、
「えっ!結婚したの?全然知らなかったんよ。
じゃあ、新居の電話番号を教えて!電話してみるわ」と言うと、
お母さんが電話番号を教えて下さった。
「・・・・・・
・・そんなん。電話なんか、出来る訳ないやん・・」
暫く、何も出来なかった・・。
教えてくれた電話番号は、
彼と結婚して一緒に住むはずのマンションの電話番号だった。
それから間もなく、荷物が届いた。
親友の名前が書いてあった。
荷物を開けると、それまで彼にプレゼントしたモノが入っていた。
5年間も付き合っていたので、それ相応の数のプレゼントが・・。
見覚えのあるお気に入りだったネクタイ、Yシャツ・・etc
全部、ハサミで切られていた。
二人並んで写した写真・・。
真ん中から切られ、笑顔の私の写真の方だけ送られてきた。
私の心まで、切り刻まれた気がした・・。辛かった・・。
どれ位か、忘れてしまったけど何もしたくなかった。
笑うことも出来なかった。
抜け殻のような毎日だった・・。
それから、暫くして彼から電話があった。
「もう一度会いたいから、いつもの所で待っている・・」・・と。
今更、会いたくなかった。
言い訳なんて聞きたくなかった。
・・・行かなかった。
彼は、何が言いたかったんだろう・・。
もう、そんな事どうでもよかった。
それで、吹っ切れた。
元々、少し距離を置こうと言い出したのは私。
お互い、信用出来なかったのだと思う。
無くした物の代わりに、沢山のことを学んだ気がした。
それから、主人と出会い一年で結婚した。
勢いとタイミング・・。
どんなに永く付き合っても、
きっと、結婚するタイミングが合わなかったのだろう。
何年も前の古い話・・。
もう思い出す事もない苦い話は、このまま封印しておこう・・。