「せっかく採用したのに、3か月で辞めてしまった……」

小さな会社の社長なら、一度はこんな経験があるのではないでしょうか。私もそうでした。人手が足りなくて焦って採用した結果、お互いにとって不幸なミスマッチになってしまったことが、何度かあります。

先に結論を言います。零細企業の採用で大切なのは、「できる人」を探すことより、「合う人」を見つけることです。そのために今の私は、面接で必ず聞く3つの質問を決めています。

今日は、採用で失敗した経験と、そこから生まれた「3つの質問」について書いてみます。これから人を雇おうとしている社長さんの参考になれば嬉しいです。

焦って採用して、失敗した話

数年前、大きな仕事が決まり、急いで人を増やす必要がありました。求人を出したところ、経験も資格も申し分ない方が応募してくれました。面接での受け答えもしっかりしていて、「この人なら大丈夫」とすぐに採用を決めました。

ところが、働き始めて1か月ほどで、少しずつ違和感が出てきました。前の職場は大きな会社で、仕事が細かく分担されていたそうです。うちのような小さな会社では、ひとりが何役もこなすのが当たり前。電話も取るし、掃除もするし、お客様のところへ行くこともあります。

その方にとっては、それが大きなストレスだったのでしょう。3か月後、「思っていた仕事と違った」と言って辞めていきました。

振り返ると、悪かったのはその方ではありません。会社のことをちゃんと伝えず、相手のこともちゃんと聞かなかった私の問題でした。

小さな会社の採用が難しい理由

大きな会社と違って、零細企業の採用には特有の難しさがあります。

  • 1人の影響がとても大きい(社員5人の会社なら、1人で2割)
  • 研修の仕組みが整っていないことが多い
  • 仕事の範囲がはっきり決まっていない
  • 社長との距離が近く、相性がそのまま職場の雰囲気になる

だからこそ、経歴やスキルだけで判断すると、失敗しやすいのです。大切なのは、この会社で、このメンバーと、気持ちよく働けるかどうか。それを面接で確かめる必要があります。

質問1:「前の職場で、一番やりがいを感じたのはどんなときですか?」

1つ目の質問は、その人が何に喜びを感じるかを知るためのものです。

「大きなプロジェクトをやり遂げたとき」と答える人もいれば、「お客様に直接ありがとうと言われたとき」と答える人もいます。どちらが良い悪いではありません。大切なのは、うちの会社でその喜びを感じてもらえるかです。

うちの会社は、お客様との距離が近いのが特徴です。だから、人から直接感謝されることにやりがいを感じる方は、長く楽しく働いてくれることが多いと感じています。

逆に、この質問にうまく答えられない方もいます。そんなときは、「前の職場で、楽しかった日のことを思い出してみてください」と言い方を変えると、ぽつぽつと話してくれることが多いですよ。

質問2:「うちの会社で、どんな1日を過ごすと思いますか?」

2つ目の質問は、相手が思い描いている仕事のイメージを確かめるためのものです。

私が失敗したのは、まさにここでした。相手が思っている仕事と、実際の仕事がずれていたのです。

この質問をすると、「パソコンで資料を作る仕事が中心だと思っています」「外回りが多いと聞いています」など、相手のイメージがはっきりします。そこで、実際の1日の流れを正直に伝えるようにしています。

「朝は全員で掃除をして、電話は手が空いている人が取ります。忙しいときは現場の手伝いもお願いします」

ここまで具体的に伝えると、「それでも働きたい」と思ってくれる人だけが残ります。応募者が減ることもありますが、入社してからのミスマッチはぐっと減りました。

質問3:「困ったとき、周りにどうやって相談しますか?」

3つ目の質問は、その人の困りごととの向き合い方を知るためのものです。

小さな会社では、マニュアルが整っていないことも多く、わからないことが毎日のように出てきます。そんなとき、自分から聞ける人かどうかで、仕事の進み方は大きく変わります。

「まず自分で調べてから、わからなければ聞きます」「すぐに先輩に聞くようにしています」など、答えはさまざまです。私が気にしているのは、「ひとりで抱え込まないか」という点です。

以前、経営者の孤独について書いたことがありますが、社員も同じです。困ったときに声を上げられる人、そして声を上げやすい職場をつくることが、長く働いてもらうための一番の近道だと思っています。

面接は「選ぶ場」ではなく「確かめ合う場」

3つの質問を決めてから、面接に対する考え方も変わりました。

以前は、面接を「こちらが相手を選ぶ場」だと思っていました。でも今は、お互いが「この会社で合うかどうか」を確かめ合う場だと考えています。

だから、面接の最後には必ず「何か気になっていることはありますか?」と聞くようにしています。給料や休みのことなど、聞きにくいことこそ、この場で話してもらった方がいい。入社してから「聞いていなかった」となる方が、お互いにとってつらいからです。

できれば、面接のあとに職場を見学してもらったり、一緒に働く社員と少し話してもらったりするのもおすすめです。社長ひとりの印象より、現場の雰囲気の方が、働くイメージをつかみやすいですからね。

求人の出し方も変えてみた

面接の質問と同じくらい効果があったのが、求人の書き方を変えたことです。

以前の求人票には、仕事内容や給料、勤務時間など、最低限のことしか書いていませんでした。でもそれでは、うちの会社がどんな雰囲気で、どんな人が働いているのかは伝わりません。

そこで、次のようなことも書くようにしました。

  • 社員が何人いて、どんな年代の人が働いているか
  • 1日の仕事の流れ(掃除や電話番も含めて正直に)
  • 忙しい時期と、比較的落ち着いている時期
  • 社長がどんな考えで会社をやっているか

「小さな会社なので、いろいろな仕事をお願いすることがあります」と正直に書いたところ、応募の数は少し減りました。でも、それを読んだうえで応募してくれる人は、最初から小さな会社で働くイメージを持ってくれているので、面接でも話がとてもスムーズになりました。

採用したあとも大切なこと

採用はゴールではなく、スタートです。入社してからの最初の1か月は、特に気にかけるようにしています。

  • 最初の1週間は、毎日5分だけでも話す時間をつくる
  • 「わからないことは、何回聞いてもいい」と伝えておく
  • 1か月後に「思っていた仕事と違うところはある?」と聞く

特に3つ目の質問は大切です。小さなずれのうちに気づければ、仕事の割り振りを変えたり、教え方を工夫したりと、手を打つことができます。

まとめ:「合う人」と出会うために

零細企業の採用で、私が面接で必ず聞く3つの質問をまとめておきます。

  • 前の職場で、一番やりがいを感じたのはどんなときですか?
  • うちの会社で、どんな1日を過ごすと思いますか?
  • 困ったとき、周りにどうやって相談しますか?

そして、求人票には会社の良いところだけでなく、大変なところも正直に書くこと。どれも、特別な質問ではありません。でも、この3つを聞くようになってから、長く一緒に働いてくれる仲間が増えました。

人を雇うことは、会社にとっても、働く人にとっても、大きな決断です。焦らず、お互いが納得できる出会いを大切にしていきたいと思っています。同じように採用で悩んでいる社長さんの、ちょっとしたヒントになれば嬉しいです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。