部員の男子たちはゲスな悪口でお互いをののしりあっていた。小西だけはその輪に加わらず、一人でノートパソコンに向かっていた。紳士な態度だと感じられたが、画面をのぞいてみると2chに部員の個人名を晒して叩こうとしていた。
田代は冷たい目を俺に向けて言った。
「で、なんていうんだっけ?石井だっけ?まったく余計なことしてくれるよなぁ」
「はい?」
「どうせあんたもキャサリン目当てで入ったんだろ?」
「はぁ、」
なんて答えていいかわからず、よく意味がわからないといった態度を見せるが、わざとらしいその態度に部員たちは舌打ちをした。小西がキーボードを打つ手が早くなっている、きっと俺のスレを立てているのだろう。
山田が髪を横になびかせながら言った。
「やれやれですよ。がんばって練習しているふりさえキャサリンに見せていればそれで良かったんですよ。これで試合しなければいけなくなったじゃないですか、まったく・・・、試合なんてしたって勝てるわけないっていうのに。オー・マイ・ゴッドですよ」
「慣れ慣れしくしないでほしいごんす」
と言って牛川はおにぎりをほおばる。
突然部室のドアが開き、金髪がさらりと見えた瞬間、男どものどろどろとした本心はさわやかな仮面にあっという間に隠された。キャサリンが興奮した様子で駆け込んできた。
「みんな聞いて!さっそく練習試合を組んでもらったの!待ちに待った試合は1週間後よ!!」
キャサリンに調子を合わせた歓喜の声が部室内に沸いた。
「初めての試合で不安はあるかもしれないけど、絶対大丈夫!だって私たちいっぱい練習してきたもの!」
「そのとおりだよ!僕たちの力を合わせれば勝てるに決まっているさ!」
「そうね!さあ試合に向けてがんばるために円陣を組みましょう!」
みんなは輪になって手を真ん中に重ねた。きっと男たちの本心では他の男性部員の手を汚物のように感じているのだろう。本来は力を合わせるはずの部員たちはお互いを憎みしあう敵と思っている。ドッヂボールに対する情熱なんてさらさらないし、チームワークだって皆無。そしてそれを知らないのはキャサリンだけ。
こんな部が1週間後に練習試合をするなんて一体どうなってしまうのだろう・・・。
「さあ、秋葉系ドッヂボール部ファイトー!!」
「オー!!」
(つづく)
