案内された部室の戸をあけると、中にいた4人の男たちが一斉にこちらに顔を向けた。
「みんな!!goodニュースよ!!今日から私たちに新しい仲間ができたの!!みんな自己紹介よろしくねー」
「部員はこれで全員なの?」
「ええ、人数は少ないけど、みんな熱いハートを持っているわ。そういえば私の自己紹介がまだだったね。マネージャーのキャサリンです。よろしくね!」
すると一番手前に座っている男が勢いよく立ち上がった。背の高いひょろっとした男だ。
「俺は田代!!これからよろしくな!」
田代が座ると、次は眼鏡をかけたインテリ風の男が立った。しかし、背は座っている田代ほどしかない。
「僕は小西!!君のおかげでやっと試合ができるようになったよ!ありがとう!!」
続いて立ち上がった男の服装はランニングシャツに短パン。手にはおにぎりを持っていた。
「おいどんは牛川でごんす!新しい部員は本当うれしいでごんす!!」
最後に立ち上がった男は高価そうなシャツに赤いマフラー。髪を横に流したキザそうな男だったが、容姿が悪くてお世辞でも似合っているとは言えず、カエルがおしゃれしているようだった。
「僕は山田っていいます!!ドッヂボール最高ですよね!さあ、これからは僕たちと一緒にいい汗をかきましょう!!」
俺は、冷ややかに4人の男たちを見渡した。ふん、どいつもこいつもキャサリンにはふさわしくないやつばかりだぜ。こりゃあ楽勝だな・・・。
「僕は石井っていいます!!ドッヂボールが大好きでたまりません!!みなさんこれからよろしくお願いしますぅ!!」
みんなが自己紹介をしている様子をキャサリンは目に涙を浮かべて見つめていた。
「うんうん。よし!これからみんなで力を合わせてがんばるために、円陣を組んで気合を入れましょう!!」
みんなはキャサリンに賛同し、円陣を組んで手を真ん中であわせた。
「さあ、いくわよ!秋葉系ドッヂボール部ファイトー!!」
「オー!!!」
キャサリンはドッヂボールへの情熱と仲間たちの熱い決断力を前に感動しきっているようだった。
「さあ、人数もそろったことだし、これから本格的に秋葉系ドッヂボール部の始動ね!そうだ、顧問の先生にこのこと知らせてこなきゃ!」
そしてキャサリンは部室を出ていった。するとどういうわけか、今までの雰囲気ががらりと変わり、冷たく重苦しい空気が流れ始めた。
「ちょっと汚い手でさわらないでくださいよ先輩。僕の手が腐ったらどうするんですか?」
と山田。
「あっ?おまえの心のほうがよっぽど腐っているんだよ」
と田代。
「まったく、どいつもこいつも生ゴミくさいでごんす!」
と牛川は言っておにぎりをほおばる。
さっきまでの仲むつまじい感じは一体どこへ行ってしまったのか、みんなみにくい悪態をつき始め、舌打ちをしたり、円陣であわせた手をまるで汚いものを触ったかのように拭き始めたりしていた。歓迎のムードもまったく感じられず、部員たちの突然の変化に呆然とするしかなかった。
ただ、この先このドッヂボール部でキャサリンと楽しいキャンパスライフを送るという甘い期待にはさまざまな困難が立ちはだかっているのだと感じずにはいられなかった。
(つづく)
