郵便のバイクの音で目が覚めた。



そして眠い目をこすりながら郵便受けに何か入れていく音も聞こえた。テレビをつけて、昼のバラエティをBGMにしながら水で顔を洗う。春といえども水は刺すように冷たい・・・。

郵便受けに詰まった数日分の郵便の束を引っこ抜いてベッドの上に無造作に放り投げる。窓を開け、タバコに火をつけ、ベッドに腰を下ろして、窓の外をぼんやりと見つめる。春の穏やかな風が顔にあたり、体の中に眠っているエネルギーが少しずつ目を覚ましていくような気持ちのいい感覚にしばらく浸っていた。

ふと、郵便物の束を手に取り、一つずつ目を通していく。予想通りといえばそうだが、どれもくだらないチラシやあやしい団体の勧誘ばかり。まとめてゴミ箱に放り投げようと思ったが、最後の一枚のハガキがその手を止めた。

「キャサリンからだ・・・」

キャサリンは大学時代の友人だった。そして、一緒に汗を流したドッヂボール部の仲間だった。そのキャサリンから結婚の報告のハガキが届いたのだった。発送先はニューヨーク・・・。

俺はベランダに立ち、タバコの煙を深く吸い込んで吐いた。所在なく、おぼろげに揺れる煙の向こう側に大学時代の青春の日々が目に浮かぶ。あの時の仲間たちはみんな今も元気にしているだろうか?

あんなに何かに夢中になれたのはあの時が初めてだった。みんな夢中だった、ドッヂボールに、そして一人の女性に・・・。そう、みんなキャサリンに恋をしていたんだ。



俺はバイクにまたがり、卒業してから一度も行っていなかった大学の母校へと向かった。そこに行っても当時の仲間に会えるわけではないが、感傷的になりすぎた心を落ち着かせるために他にどうすることもできなかった

(続く)


ワイルドサイド石井の自由帳-春の日ざし