私の心の中では、驚愕、羞恥、平静が入り組んだ感情が渦巻いていました。
なんとなくお気付きの方もいらっしゃると思います。
私はいつもの様にサルサをウォークマンで聴きながらエレベーターを待っていました。
不思議なもので、なにもない時はエレベーターが来るのが少しでも遅いとイライラするのに、サルサの好きな曲を聴いている時は、その場で軽くステップを踏みながら聴いていたくなるのでエレベーターがすぐに来ない方がいいと思うぐらいです。
しかし、そんな時に限ってエレベーターはすぐ来るものです。
ちょうど好きな曲が始まり、サビの部分をいい気分で聴きながらエレベーターに乗り込みました。
幸いエレベーターには誰も乗っておらず、待っているのも私だけでした。
エレベーターに乗り込みボタンを押してドアを閉め、そのまま奥の鏡に向かって曲の一番気持ちいいサビの部分を思っきり体を揺らしながら目をつぶって聴いていました。
実に心地よい至福のひとときです。
...が、次の瞬間...何か違和感を感じて振り返ると閉めたはずのエレベーターの扉が開いており、小学生低学年らしき女の子二人が顔を見合わせて後ずさりしてエレベーターに乗るのをためらっているかのような風景が見えました。
その瞬間、私は全てを悟りました...
そして、平静を装いまるで彼女達と入れ替わりにエレベーターに乗り込んだごとく、自然な仕草で目的階のボタンを押し、ドアを閉めました。
...ごめんね
少女たち