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「あとは緩和」といわれたら

少量抗がん剤治療(がん休眠療法)で
元気に長生きを目指す ー

2024年9月にブログで紹介した,乳がんの切除術から3年後に

出現した皮膚転移症例.下矢印

 

 

 

要約すると,

合っていない薬を外すと効くよ,というお話.

 

 

まずは,2024年(昨年)の治療推移を振り返ってみよう.

 

乳がん術後,皮膚転移.

ベバシズマブ 30mg/body単剤少量投与で治療開始.

          下矢印

 

 

 10日後.

 写真が悪くてわかりにくいが,上の状態より,

 転移巣は縮小してる. 

 つまり,トラスツズマブ 30mg/bodyは効いているので,

 “合っている”薬剤となる.

 

 ここで,パクリタキセル 15mg/bodyを追加併用した.

 

 タキサン+トラスツズマブ・・・

 標準治療の組み合わせだ.

 

          下矢印

 

パクリタキセルを追加してから10日後,転移巣は増大した.

15mg/bodyと通常量の1/20の使用量だが,せっかく

トラスツズマブが効いていたのに,治療効果全体としては,

足を引っ張って増悪させた.

 

パクリタキセルを追加したら増悪したので,

パクリタキセルは,“合っていない”薬剤と判断し,

もとのトラスツズマブ単剤投与に戻す.

 

今回の使用量は,トラスツズマブ小瓶使い切りの

60mg/body.それでも約1.3mg/kgの少量投与.

 

そして,その10日後.

トラスツズマブ単剤使用に戻したところ,

腫瘍は再度縮小し,平坦化した. 下矢印

 

 

 

以上より,この患者さんの場合,トラスツズマブ単剤使用が

がん制御に繋がっているのは明らかだ.

 

標準量の1/20の少量使用にもかかわらず,パクリタキセルは,

この患者さんにとっては,がんを増大させるだけのただの

疫病神(疫病薬剤?)だった.

 

その患者さんのがんを構成するがん細部の多様性に

対応していない薬剤は,ただの“毒”&“アクセル”だ.

 

だから,抗がん剤は個々の患者さんのがん細胞の多様性に

合わせた選択のもとに使用する必要がある.

 

臨床試験での患者さん「全体」の傾向と,眼の前の「個」の

患者さんの治療は必ずしも合致しないので,臨機応変に分けて

検討・修正が必要,

 

というお話でした・・・

 

そして,年は変わって2025年11月現在,どうなったか.

トラスツズマブ少量単剤使用から1年以上が経過した.

 

どこに再発病変があったのかもわからない.

治療効果CR. 下矢印目

 

 

 

 

先日,胸腹部造影CT検査と脳MRI検査を施行した.
No recurrence. 再発なし! OK! OK
 
このままトラスツズマブ少量治療(60mg/body/回
=1.3mg/kg/回)の継続だ.
 
標準治療??
現時点でこの患者さんが標準治療を選択すべき理由はない。
 

 

Think different.  りんご