20年以上前になるだろうか?
学会会場で,αガラクトシルセラミドという物質を使用して,
NKT細胞を活性してがんを攻撃する理化学研究所認定
ベンチャーの免疫療法の動物実験の講演が非常に印象的で,
しばらく頭から離れなかった.
そして月日が経ち,2018年頃から人への応用が始まっている
とのことで,治療の選択肢として当院でも導入することとした.
【NKT細胞標的治療の特徴】
1. 全ステージ、ほとんどの種類の腫瘍を対象として
治療が可能.
2.自身の血液を使用するため、副作用はほとんどない
3. 標準治療との併用が可能
4. 手術標本を必要としない
5. 1コース4回の治療で終了する
6. 厚生労働省先進医療Bでの臨床試験が実施されたNKT
細胞標的治療の技術を基礎に開発されおり、この試験
による「効果を示す化学的なデータ」が得られている.
【NKT細胞標的治療の流れ】
①お問い合わせ 当院 03-3562-7773へ
②当院にて事前相談 → 治療前血液検査 →治療申込み
(同意書提出)
③成分採血(連携医療機関にて) → 血液培養(約2週間)
④治療開始(点滴治療・原則2週間ごとに4回施行)
*お問い合わせ、ご相談は、当院へ(03−3562−7773)
*治療の申込みから,治療開始まで3週間〜4週間ほど
かかります.
【NKT細胞標的治療の治療費】
① 事前相談料 |
33,000円(税込) |
② 治療前血液検査(感染症等) |
33,000円(税込) |
③ NKT細胞標的治療:RIKEN-NKT 治療費 |
3,459,500円(税込) |
※消費税率10%
合計金額(①+②+③) 3,525,500円(税込)
*本治療は保険診療の適応外ですので全額自費負担となります。
【NKT標的細胞療法に期待される6つの抗腫瘍効果】
NKT細胞は、NK細胞とT細胞の特徴を併せ持ちます.強⼒な
免疫反応増強作⽤を有し、がん細胞を直接的に殺す働きと
免疫系を間接的に活性化することで抗腫瘍効果を発揮します。NKT細胞の活性化により①〜⑥の抗腫瘍効果が期待されます.
① 樹状細胞を成熟させる
樹状細胞は,成熟していないと抗原提示細胞として機能
しません.がん細胞は樹状細胞の成熟を妨げるので,
NKT細胞標的療法により本来の獲得免疫能力を取り戻します.
② アジュバント作用
IFN−γの活性によりキラーT細胞,NK細胞,マクロファージ
といった種々の免疫細胞を活性化してがんを攻撃します.
③ がん細胞を直接攻撃
NKT細胞は,NK細胞とT細胞の特徴を併せ持ち,極めて強い
抗がん効果を持っています.
また,MHC(主要組織適合性遺伝子複合体)発現していない
がん細胞も攻撃可能です.
つまり,抗原提示細胞による抗原提示がなくてもがん細胞を
攻撃できます.さらには,ネオアンチゲンも認識して攻撃
します.
④ 免疫抑制を解除する
NKT細胞は,制御性マクロファージや制御性T細胞といった,
がんを助けている体内免役を抑えて,がん抑制効果を発揮
します.
⑤ 血管新生阻害
活性化したNKT細胞は,VEGF(血管内皮細胞増殖因子)
放出を抑制して血管新生阻害を行います.
⑥ 免疫記憶作用
NKT細胞が産生するIFN−γの作用で,長期の免疫記憶が形成
されます.NKT標的細胞療法は,免疫記憶が形成されるので,
1コース(4回の投与)で治療が完了するというのも魅力です.