20年以上前になるだろうか?
どこかの学会だったか・・・αガラクトシルセラミドという
物質を使用して,NKT細胞を活性してがんを攻撃する
理化学研究所発の免疫療法の動物実験の講演を聴いたことが
あった.
実験細胞を使用した動物実験と,実際の人間のがんでは,
実際の効果には,非常に大きな隔たりがあると承知はしつつも,良好ながん制御効果とその理論が,聴講後も珍しく頭に残る
内容であった.
そして,人への応用が2018年頃から始まっているとのことで,
今回当院でも導入の方向である.
簡単にRIKEN‐NKT細胞標的療法についてまとめると
以下のよう.
NKT細胞は体内の免疫細胞に0.05%に過ぎないが,
そのNKTを活性化
RIKEN‐NKT細胞標的療法は, 人工的にNKT細胞をαガラクト
シルセラミド(特許取得)で活性化させてやる.
そして,NKT細胞を活性化する方法はこれ以外に存在しない.
【RIKEN‐NKT細胞標的療法の6つの働き】
① 樹状細胞を成熟させる
樹状細胞は,成熟していないと抗原提示細胞として機能しない.
により本来の獲得免疫能力を取り戻す.
② アジュバント作用
注目はNKT細胞によるIFN−γによるアジュバント効果.
キラーT細胞,NK細胞,マクロファージの活性化.
③ がん細胞を直接攻撃
MHC発現していないがん細胞も攻撃可能.つまり,抗原提示
細胞による抗原提示がなくてもがん細胞を攻撃できる.
さらには,ネオアンチゲンも認識して攻撃している.
④ 免疫抑制を解除する
NKT細胞には,がん細胞が作る免疫を抑制する物質をキャッチ
する受容体がない.がんの産生する免疫抑制マクロファージ(M−reg)を抑制する.がんを助けている免役を抑えることに
なるので,がん制御として機能する.
⑤ 血管新生阻害
活性化したNKT細胞は,VEGF放出を抑制して血管新生阻害を
行う.
⑥ 免疫記憶作用
NKT細胞が産生するIFN−γの作用で,長期の免疫記憶が形成
される.
いずれにしても,NKT細胞が活性化されて初めて
①〜⑥の機能は発揮
RIKEN‐NKT細胞標的療法は,自家がんワクチン療法と同様に,
免疫記憶が形成されるので,1コース(4回の投与)でOKと
いうのも魅力だ.
詳細が決まり次第,ホームページでお知らせします.