先日のブログでも紹介した()が,自家がんワクチンって
効く時は驚くような著効が得られることがあるのは事実なの
だが,誰にでも治療効果が現れるというわけではない.
では,どういった患者さんなら効果を見るのか・・・
となると,ここが今一つわからない.
だから現状は“やってみる”しかないのだが・・・
この度、筑波大・脳神経外科から、初発の膠芽腫で手術後の
自家がんワクチン療法について、条件がそろえば効果の有無が
予測できるという論文が出たので紹介する.(
)

内容要約すると,
対象は,筑波大学・脳神経外科で治療を受けた神経膠芽腫の
患者さん58人,
・標準治療に自家がんワクチン療法を追加した29人
・標準治療を受けた29人
の2群のデータ解析を行ったものだ.
神経膠芽腫(グレードIV)は.非常に悪性度の強い脳腫瘍で,
治療の難しいがん種の代表格だ.
*自家がんワクチンの投与を受けた方のうちでは、
・1)手術で、MRI画像上では膠芽腫が
全部摘出された方 対 全部は摘出できなかった方では、
全生存期間中央値が、36.9ヶ月 対 16.5ヶ月
(p=0.005)
・2)膠芽腫の病理組織標本で、p53分子の免疫染色で
染まる細胞の割合が、
10%未満(陰性と定義)の方
対 10%以上(陽性と定義)の方 の間では、
全生存期間中央値が、65.6ヶ月 対 20.2ヶ月
(p=0.007)
であったと.
*自家がんワクチンの投与を受けなかった方々では、
これら1)、2)の因子は予後に影響しなかった.
この結果から、
・手術で、MRI画像上で膠芽腫を全部摘出、
・その膠芽腫のp53の免疫染色性が陰性ならば、
自家がんワクチン療法の効果が期待できそうだ,となる.
本論文は神経膠芽腫に限った内容ではあるが,
自家がんワクチン(免疫療法)の効果が期待できる患者さんの
“選別”につながる研究ということで評価したい.
