「全然OKですよ」とKさんより
許可を頂いたので先週末の診察室でのやり取りを紹介.
患者K:また,免疫療法の叩き記事がまた週刊誌に出て
ましたよ.
私 :まぁ,あれはあのグループの使命みたいなものですから
今後も定期的にありますよ.内容は,相変わらずの論調
&印象操作ですけどね.このしつこさは,活動家として
ある意味とても優秀です.私は飽きましたがね.
患者K:私のように,免疫療法で救われたがん患者から
見ると気分のいいものではありませんが.
私 :たしかに,免疫療法のプラスの側面を完全に切り捨てた
一方的な偏向報道だと思います.免疫療法の業界も,
今後どのように対応するか検討中と聞いていますから,
いずれ何らかの動きはあるのではないでしょうか.
患者K:でも,考えようによっては,コレって良いことでは
ないですか?
私 :???・・
患者K:ネット社会になって情報が氾濫するようになったから
今は患者もその気になれば,かなりしっかりと情報を
得ることができます.
私 :でもネットの情報は,玉石混淆だから駄目なんだと.
ダメ情報に患者さんは騙されているという強い論調が
あるようですが.
患者K:私達患者はアホじゃありません.
もちろん,玉石混じる中から「玉」を選び出す選別眼は
必要ですが,既存の活字メディア報道が偏向傾向にある
ことを私達患者は気がついていますから,ある意味
同じですよ.
今回の内容もいつもの人のいつもの話じゃないですか.
患者もわかってきていますから.
私: まぁ,そう言われれば確かにwww・・・
患者K:患者が自分で調べ,情報を収集して確認して,最終的に
自分で決める.患者自身が主体的に治療を選択し,人生
を選ぶ時代だと私は思っています.今後は,どんどん
そういう時代になってきますよ.
だから,ネガキャンに乗って距離を取っていく人が
いたら,それはそれでいいじゃないですか.逆にお互いに
トラブル回避になりますから,どんどんネガキャンやって
もらって,どんどん篩(ふるい)にかけてもらえば
いいんです.
私 :なるほど,そういう考え方もありましたか・・・
どうやったって平行線で交わることはありませんから,
ネガキャンを躍起になって否定するより活用することを
考えるということですね.
確かに免疫療法を提供する立場からは,情報の篩
(ふるい)にあらかじめかかったほうが治療の説明も
やりやすくなるし,とても楽にはなりますね.
というより,そういった視点について大変勉強に
なりました.
・・・・・・
・・・・・・
がん診療を長年やってきていて確信することがあるのだが,
がん診療は「最後は人間関係」である.なんやかんやいい
ながら,医師と患者が同じ方向を向いているかどうかなのだ.
非標準治療をやってるお前が言うな,と言われそうだが,
世の中,私から見ても怪しげながん診療をやっている医療機関
は少なからず存在する.正直,誰がこんなところで治療をする
のだろう?と思いきや,多くのがん患者さんがそういった医療
機関を頼っているのも事実なのだ.
つまり,医者もいろいろ,患者もいろいろ,
鍋と蓋の関係のように,合う,合わないの多様なマッチングの
中でがん診療は行われている.
それならば,ネガキャンというフィルターは,それはそれで,
しっかりとマッチングに一役買ってもらおうということだ.
全面敗訴だった事実を曲解・ひた隠しにしながら,都合の
いい切り口や微妙な表現を駆使した作文による印象操作・
偏向報道活動に力を注ぐ姿はどこか人としての残念・哀れを
感じるところもあるが・・・
いや失礼,活動家の鏡である.
また,時代は,患者さんが主体的に治療を選択する時代に
なってきている動きに気づかず,免疫療法を行う患者は
リテラシー(適切に理解・解釈・分析しする能力)が低いと
単一的に断じたがん専門病院の医師がいたと記憶しているが,
なんともまあ,患者さん達を馬鹿にした思い上がった発言では
ないか.
診察の後,今回の話とは全く関連ないのだが,
若かりし頃に振られた女性のことをふと思い出したよ.
しつこかったのかなぁ・・・
しつこいと嫌われるよ.
でも,ネガキャンは「使命」としてしつこく今後も頑張って
ほしい.しつこいほど,人心は離れるからね.
だから,ネガキャンって無いなら無いに越したことないけど,
有るなら有るでそれもよし.
免疫療法の業界は,このグループの論調を司法(公式)の場で
しっかりぶっ叩いて学問的正当性を確保した上で,免疫療法
ネガキャンに対して,免疫療法ネガキャン応援キャンペーンを
展開してはどうか.
一見,不思議なねじれ現象を引き起こして人目をさらに
引いて,どんどん篩にかけてやればいい.活動家の動きを
止めるのではなく,歓迎の上,逆にもっとやれやれと
定期的に尻を叩いてやるのだ.www