書籍「吉田肉腫」② | 「あとは緩和」といわれたら

「あとは緩和」といわれたら

少量抗がん剤治療(がん休眠療法)で
元気に長生きを目指す ー

吉田富三博士の著書

「吉田肉腫(1949年初版,寧楽書房)」

 

個人的に,目を引きつけられ,

反芻して読み込んでしまう部分が多々あり.

 

 

 

メモ代わりに抜粋しておこうかと・・・

 

抜粋内容に対して,私の野暮ったいコメントは無し.

 

読み手個々が,感じるものがあれば,それで十分かと.

(旧字体は新字体になおしてあります)

 

『日常我々が遭遇する悪性腫瘍は,多くの場合,ある種の組織学的構造を示して居るが,それは果てして悪性細胞の生活にとって,必然の秩序とみなされるべきかどうか.

  癌の理解にとって最後的に重要な点は,癌細胞その者の生活様式,生活条件を知ることである.この点に関する今日までの研究は,主として生理学的或いは生化学的方面から進められて来たが,形態学的研究も,結局はここに寄与するのでなくてはならない.

  癌の組織学的構造に関する研究は,いわゆる形態発生,分類等に於いて多大の成果を挙げたのに比較して,この方向に関する研究所得は,今日までのところ乏しかった.大勢からいって,意識的にこの問題を指向した研究も乏しい.

  癌を構成する細胞の一つ一つをとつてみた場合に,その生活環境,生活の場は,形態学的にどんなものとして見出されるか.これは,上記の如き考察とはまた別にも,今なお我々病理形態学者の思想の底流をいなしている解剖的思索,或いは細胞病理学的思考方法の傳承が,必然的に我々を導いて行く問題の帰着点でもある.細胞の形態をみることは,その細胞の住むその時の環境を無視しては,なり立たない.』