オリゴメタスタシス(少数個転移)① | 「あとは緩和」といわれたら

「あとは緩和」といわれたら

少量抗がん剤治療(がん休眠療法)で
元気に長生きを目指す ー

 

オリゴメタスタシス(少数個転移)という

単語があることを知ったのは

恥ずかしながら,最近のことだが,

 

こういった病態の病期IV症例の予後が

期待できることは,既知の話ではある.

 

例えば,

肺転移も,他に転移臓器がなく,

『再発まで3年以上,3個以内,3cm以下』という

3の法則(一般呼称ではない)に合致する患者さんは,

病期IV でありながらも,手術,放射線治療といった

局所療法で根治できる可能性が高くなる.

 

要は,観察期間がある程度確保された中で,

転移巣が増えてこない

つまり,

=時間が経っても,がんが育って見えてこない,

=転移巣は最初から見えているところだけだった,

=転移巣が元々少ないラッキー症例であった,

 

ということを意味する.

 

さらに,病変が対処しやすい大きさであれば,

転移がんの病期IVなれど,局所療法で対応しやすい,

という話で,

 

“腫瘍学”に照らし合わせると,

ある意味,わかりやすい話ではある.

 

 

例えば,

50歳代,子宮頚がんの患者さん.

 

術後補助化学療法と放射線治療を勧められたが

ご本人,希望せず.

 

高濃度ビタミンC療法などの代替医療で経過を見ていたら,

半年後に,PET-CTで傍大動脈リンパ節転移への転移を

指摘された,という経緯.

 

 

 

 

 

縁あり,当院へ.

少量抗がん剤治療を開始する.

 

使用薬剤,

CDDP 5mg/body,イホマイド 0.1mg/body,

イリノテカン 5mg/body 他.週1回投与.

 

治療開始から丸一年.

 

病態は,画像・腫瘍マーカーともに横ばいで変わらず.

 

1年の治療経過で新規病変が現れない

=転移巣はここだけかも・・・

=それなら,ここをガッツリ叩いちまえば

 完治が期待できるのでは?

 

ということで,サイバーナイフ治療を検討した.

 

某医療機関の放射線治療医より,

「病変は限局しており,

 サイバーナイフの好適応と考えます」

のお返事.

 

治療照射日数,3日.

 

OK!グッ

ということで,近日中に照射予定である.

 

全体の治療戦略としては,以前から述べている,

『線と点の治療』

 

ブレることはない,当院の主軸.

 

そして,オリゴメタスタシス症例故,

これで完治するかも,と期待は大きい.

 

 

★φ(-_- 。)・・・
※当院での低用量抗がん剤治療症例を
 少しずつ紹介していきたいと思います.
 
※少量(低用量)抗がん剤治療・・・
 細かいことをいうと微妙な定義の違いはあるようですが,
 当院ではがん休眠療法,メトロノミック療法と

 呼ばれているものと方向性は同じ治療法と捉えています.

 

※当院の少量抗がん剤治療のコンセプトは,

 『少量の抗がん剤を患者さんに投与し,患者さんの身体と

 薬剤の相性を詳細に観察しながら,薬の取捨選択を行い,

 そうして選択されてきた薬剤の少量多剤併用投与で

 がん細胞の多様性に対応しながら,疾患制御を目指す』

 というものです.

 

※当院の治療は,同一がん種においても使用する抗がん剤の
 内容・投与量は個々の患者さんの病態・治療歴・その他の
 諸条件により様々です.
 そのため,提示した患者さんに行っている薬剤使用法が,
 ブログをご覧頂いている患者様にそのまま適用できる
 というものではありません.
 読者の皆様に,そういった誤解を与えないために
 本文中では使用薬剤についての記載を省いてありますことを
 ご了承ください.


銀座並木通りクリニック(文責:三好 立)
http://www.ginzanamiki-clinic.com/