PS 3 肺がん症例 | 「あとは緩和」といわれたら

「あとは緩和」といわれたら

少量抗がん剤治療(がん休眠療法)で
元気に長生きを目指す ー


PS(ピーエス)が良い・悪い・・・
といった使い方をする.

PSとは,我々医療業界の言葉で
Performance Status(パフォーマンス・ステイタス)
の略である.

全身状態の指標の1つで0~4に分類される.

ちなみに以下のごとく.


PS0: まったく問題なく活動できる.
     発症前と同じ日常生活が制限なく行える.

PS1: 肉体的に激しい活動は制限されるが,歩行可能で,
     軽作業や座っての作業は行う ことができる.

PS2: 歩行可能で、自分の身のまわりのことはすべて可能だが,
   作業はできない.日中の50%以上はベッド外で過ごす.

PS3: 限られた自分の身のまわりのことしかできない.
   日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす.

PS4: まったく動けない.
   自分の身のまわりのことはまったくできない.
   完全にベッドか椅子で過ごす.



さて,
遠方からの肺がん・多発脳転移の患者さん.

はじめは,ご家族のみが治療の相談にお見えになる.

話を聞く限り,PS 3 の状態.

遠方故に,
“通院が難しいだろうし,これは厳しいな・・・”
と思っていたが,

ご家族の強い希望もあり,

“やれる範囲でやってみましょう” と治療開始.




転移性脳腫瘍を伴う固形癌の
治療戦略はいつものごとく.

首から上はガンマナイフ.
首からから下は低用量抗がん剤治療.

治療開始からの反応は早かった.


腫瘍マーカーはグンと下がり,
PSは3から1へと著明に改善した.

画像上,肺がん原発巣も落ち着いているよう.


現在,元気に通院中.


“案ずるより,産むがなんとやら・・・”

やってみるものだと
改めて感じさせてくれた患者さんである.