肺癌術後再発症例 | 「あとは緩和」といわれたら

「あとは緩和」といわれたら

少量抗がん剤治療(がん休眠療法)で
元気に長生きを目指す ー

 

当院は肺癌の患者さんが比較的多い.

そして,どういうわけか,
肺癌と低用量抗がん剤治療は比較的相性がいいように

感じている.

お見せするのは,右中葉肺腺癌術後に再発してきた症例.

患者さんはがん専門病院でずっと治療を続けてきた.

主治医の先生は治療に熱心で,

いろんな抗がん剤を使用してきた.

 

 

 

いままで,標準抗がん剤治療を受けてきたが,
副作用もさほど酷いのは経験せず,
治療とはうまくおつき合いしてきた感じがする.


いままでの臨床経過を見る限り,

肺癌はいい感じで制御されていた.
 

ここで,患者さんの心情の変化だろう.
 

そろそろ年齢も年齢だし・・・
少量の抗がん剤での治療に切り替えたい,と
主治医に低容量抗がん剤治療の導入を申し出た.


主治医は,
「良いですよ,定期的に顔を見せに来てください」
と快く許容してくれた.

 

サラリと書いたが,実はスゴイことなのだ.
普通,ありえないことである.

 

がん専門病院の腫瘍内科医が,エビデンスの乏しい
低容量抗がん剤治療の導入を快諾してくれて,
しかも,
その後も定期的に経過観察を引き受けてくれるなんてことは
まず,殆どない.

 

経験的に希有だと断言していい.

 

がん専門病院で治療を受けていた患者さんが
当院の低用量抗がん剤治療を受けるときは,
まず,新たに,緊急時対応医療機関を確保し,
病診連携の環境を整えた上で治療の導入をすることになる.

 

なぜなら,
「へんな治療をするなら,もう来なくていいです.」となり,
がん専門病院との縁は切れることになるから.

 

大病院のような大きな組織の中では,
自由度が少なく,個々の医師の考え方やポリシーは
組織運営の中に埋もれてしまう.


大きな組織の在り方を批判しているのではない.
組織はそれぞれの大きさ・目的に準じて
長所・短所があることは十分理解・承知しているつもり.


そうした中で,このような柔軟な対応してくれる
腫瘍内科医を知り得たことにどこか気持ちが嬉しくなる.

 

こういう先生方とは,一杯酌み交わしてみたいものだ.

 

 

★φ(-_- 。)・・・
※当院での低用量抗がん剤治療症例が
 2012年4月の時点で総数400症例を超えました. 
 その中からの経験症例を少しずつ紹介していきたいと

 思います.
 
※低容量抗がん剤治療・・・
 細かいことをいうと微妙な定義の違いはあるようですが,
 当院ではがん休眠療法,メトロノミック療法と呼ばれて

 いるものとコンセプトは同じと捉えています.
 本ブログでは低用量抗がん剤治療の呼称を使用します.

※当院の治療は,同一がん種においても使用する抗がん剤の

 内容・投与量は個々の患者さんの病態・治療歴・その他の

 諸条件により様々です.
 そのため,提示した患者さんに行っている薬剤使用法が,

 ブログをご覧頂いている患者様にそのまま適用できるという  ものではありません.
 読者の皆様に,そういった誤解を与えないために本文中では
 使用薬剤についての
記載を省いてありますことをご了承くだ

 さい.


2012年4月
銀座並木通りクリニック 
http://www.ginzanamiki-clinic.com/