膀胱癌症例をひとつ.
原発臓器がナンであろうと,
使用抗がん剤が低用量であることは変わらない.
そして,どの臓器でも
何らかの治療効果を確認できる症例が存在する.
もともと,
病巣を小さくするのが目的の治療法ではないので,
治療により病態が安定してくれればヨシとする.
癌が大きくなっていろいろ“悪さ”をしなければいいわけで,
癌を小さくしよう,完治させようと薬剤投与量を増やすと
今度は身体がやられてしまう.
治療開始後,画像上病巣は大きく変化は認めない.
増大傾向は無い.
また,治療開始時高値を示していた
TPA(組織ポリペプチド抗原)という腫瘍マーカーも
画像所見の落ち着きと足並みを揃えるように
減少してきて落ち着いた.
腫瘍マーカーの値だけで病態全体を評価するわけではないが、
細胞レベルでは腫瘍細胞が減少しているのであろうと
好意的に解釈する.
総合評価をとりあえずはヨシとし,現行の治療内容で
継続とする.
さて、一時的に落ち着いていたとしても
どこかで,また敵さん(癌)は蠢き(うごめき)始めるだろう。
ヤツ(癌)らは一定・均一ではなく,
ゆらゆらとその姿を変えてくる.
“がん”の基本は細胞多様性にあり.
http://ameblo.jp/gin-nami/theme-10048699454.html
その多様性の変化(個々の細胞群のpopulationの変化)に
治療はついていかなくてはならない.
エビデンスを盾にガイドライン通りに事を進める
標準抗がん剤治療に癌という“揺らぐ” 相手と
どのように組み合っていくかという
“治療哲学”を感じることは殆ど無いのだが・・・
如何なものか?
★φ(-_- 。)・・・
※当院での低用量抗がん剤治療症例が
2012年4月の時点で総数400症例を超えました.
その中からの経験症例を少しずつ紹介していきたいと
思います.
※低容量抗がん剤治療・・・
細かいことをいうと微妙な定義の違いはあるようですが,
当院ではがん休眠療法,メトロノミック療法と呼ばれて
いるものとコンセプトは同じと捉えています.
本ブログでは低用量抗がん剤治療の呼称を使用します.
※当院の治療は,同一がん種においても使用する抗がん剤の
内容・投与量は個々の患者さんの病態・治療歴・その他の
諸条件により様々です.
そのため,提示した患者さんに行っている薬剤使用法が,
ブログをご覧頂いている患者様にそのまま適用できるという ものではありません.
読者の皆様に,そういった誤解を与えないために本文中では
使用薬剤についての記載を省いてありますことをご了承くだ
さい.
2012年4月
銀座並木通りクリニック
http://www.ginzanamiki-clinic.com/