高齢者の場合,体力の低下や認知症(ボケ)の問題,
腎機能や肝機能の低下,その他併存疾患の存在が理由で,
治療に対するリスク(危険度)が上がるために,
抗がん剤治療の対象から外されることがある.
以下,紹介する患者さんも
そういった高齢者“がん難民”の1人.
右肺腺癌と胸膜播種を指摘されたものの
主治医は,体力的に標準抗がん剤治療は無理と判断した.
その主治医の判断・見立ては,OKだと思った.
この患者さんの“元気度”に対して
標準抗がん剤治療を導入となると,
あっという間にADL,QOLが損なわれるであろうから.
地元の主治医から「あとは緩和」といわれるも,
何か治療はないかという本人の想いを汲んで
当院で低用量抗がん剤治療を行うことになった.
遠方からの通院だったが,
“リハビリテーション”になるし・・・とも考えた..
結果,予想以上に病態コントロールに寄与し,
気がつけば当院への通院を始めて3年以上が過ぎた.
今も元気に通院してる.
公共機関を乗り継ぎ,JR有楽町駅から時間はかかるも
シルバーカーを使用しながら徒歩で来院される.
「あとは緩和」といわれてから
地元の主治医から
「あと半年」だの
「正月は越せない」だの
「来年の桜は見れない」だの,いろいろ言われたと.
最近はなにも言われなくなった.
地元の主治医も予測が外れすぎて,
“先”が読めなくなってきたのだろう.
低用量抗がん剤治療は治療がないと言われた
高齢者“がん難民”の福音になると思っている.
★φ(-_- 。)・・・
※当院での低用量抗がん剤治療症例が
2012年4月の時点で総数400症例を超えました.
その中からの経験症例を少しずつ紹介していきたいと
思います.
※低容量抗がん剤治療・・・
細かいことをいうと微妙な定義の違いはあるようですが,
当院ではがん休眠療法,メトロノミック療法と呼ばれて
いるものとコンセプトは同じと捉えています.
本ブログでは低用量抗がん剤治療の呼称を使用します.
※当院の治療は,同一がん種においても使用する抗がん剤の
内容・投与量は個々の患者さんの病態・治療歴・その他の
諸条件により様々です.
そのため,提示した患者さんに行っている薬剤使用法が,
ブログをご覧頂いている患者様にそのまま適用できるという ものではありません.
読者の皆様に,そういった誤解を与えないために本文中では
使用薬剤についての記載を省いてありますことをご了承くだ
さい.
2012年4月
銀座並木通りクリニック
http://www.ginzanamiki-clinic.com/