腎盂がん,多発肺転移症例 | 「あとは緩和」といわれたら

「あとは緩和」といわれたら

少量抗がん剤治療(がん休眠療法)で
元気に長生きを目指す ー

しばらく休んでいた(サボっていた?)ブログを

再開しようと思う.
 

当院で行っている低用量抗がん剤治療・・・
 

細かいことをいうと微妙な定義の違いはあるようだが,
がん休眠療法,メトロノミック療法と呼ばれているものと
コンセプトは同じと捉えている..

 

当院での施行総症例数が開院以来400症例を

超えることとなった.
 

その中から,経験症例を少しずつ提示していく.

 

医師の学会・研究会感覚のプレゼンをするとなると
同業者に医学的にスキをつかれないように
いろいろ気を配らなくてはならない.

 

ところが,そういったプレゼンにすると逆に読者の皆さんには
難しく感じるところになるのではないか?

 

それに,毎回ソレでは当方も肩が凝ってイヤになるので

続かない.

 

だから,「効いた」・「効かない」という感じで
あっさり・シンプルに症例を提示していく.


それでは,最初の症例.

56歳,男性,血尿を契機に発見された腎盂がんの患者さん.
 

がんが見つかったときには,すでに両肺にたくさん

転移していた.
 

 


 

主治医から,抗がん剤治療は副作用の割には効きは

今一つといわれたため,治療を先延ばしにしているうちに,

呼吸苦・血痰・癌性咳嗽出現.

 

胸部X線写真で両側多発肺転移,両側癌性胸水.

 

しかも進行は早い.

 

「これは,やばい・・・」と

まず緊急時対応病院の確保と在宅酸素療法の導入を行った.
主治医不在の状態だったから,診療環境を整えながら,

低用量抗がん剤治療導入.
 

治療の反応は早かった.
 

1ヶ月後には,胸部レントゲンはビックリするくらい

よくなり(図),肺転移巣,胸水はレントゲン上は消失した.
もちろん呼吸苦,血痰,咳嗽といった症状も認めなくなった..

 

当院には,腎盂がんの患者さんは多くはないが,
抗がん剤が効きにくいといわれる
腎盂がんでもこういう症例があるのだなぁ・・

 

やっぱり,まずはトライしてみるものだと
改めて感じさせてくれた症例だった.

 

 

 

★φ(-_- 。)・・・
※当院での低用量抗がん剤治療症例が
 2012年4月の時点で総数400症例を超えました. 
 その中からの経験症例を少しずつ紹介していきたいと

 思います.
 
※低容量抗がん剤治療・・・
 細かいことをいうと微妙な定義の違いはあるようですが,
 当院ではがん休眠療法,メトロノミック療法と呼ばれている

 ものとコンセプトは同じと捉えています.
 本ブログでは低用量抗がん剤治療の呼称を使用します.

※当院の治療は,同一がん種においても使用する抗がん剤の

 内容・投与量は個々の患者さんの病態・治療歴・その他の

 諸条件により様々です.
 そのため,提示した患者さんに行っている薬剤使用法が,

 ブログをご覧頂いている患者様にそのまま適用できるという

 ものではありません.
 読者の皆様に,そういった誤解を与えないために本文中では
 使用薬剤についての記載を省いてありますことをご了承くだ

 さい.


2012年4月
銀座並木通りクリニック 
http://www.ginzanamiki-clinic.com/