日本版コンパッショネートユースはじまりました! | 銀とはぐはぐ日記〜メラノーマと着物

銀とはぐはぐ日記〜メラノーマと着物

2012年5月メラノーマと診断、リンパに微少転移ありでステージ3。
自分が何をやりたいのか考えた結果『着物』→『着付けの先生』→『着付け師』今は撮影着付けを勉強中。
そんな2016年8月、肺転移発覚。
この先の人生どうしたものかと、絶賛迷走中。。。

ちょっと難しく聞き慣れない言葉ですが
「コンパッショネートユース」
という言葉をご存知ですか?


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生命に関わる疾患や、身体障害を引き起こす恐れのある疾患を有する患者の救済を目的として、
他に治療法がない等の限定的状況において未承認薬の使用を認める制度のことです。

すでにアメリカ、ヨーロッパなどでは導入、活用されています。

その「コンパッショネートユース」がついに日本でも制度として動き出しました!

昨秋に厚労省から本制度の骨子案が発表された時に、少し報道がありましたが、今年度中の運用(平成28年3月まで)と明記はされていましたが、なかなか運用の実態が見えませんでした。

そして年度内ギリギリの3月31日にPMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)のHPに本制度の対象となる主たる治験の一覧が公開されました。


少々難しい制度であり、実際の運用のハードルは高いのかもしれませんが、国内の保険適用の範囲では、もう治療法がないがん患者や、難病患者にとっては、最後の望みとなる可能性も高く、病状や持病から治験の対象外となった患者や治験参加の時期を逸してしまった患者も未承認薬を拡大治験として参加できる可能性があるので、本制度の意義は大変大きいと思います。

まずは「先駆け審査品目」「希少疾病用医薬品指定品目」「未承認薬検討会議での開発要請品目」が対象となり、希少疾病である悪性黒色腫を対象とした治験も公表されたリストには含まれています。

ただ先日承認され薬価収載を待つのみの、ダブラフェニブ・トラメチニブなどはこの制度を利用するより、実際の発売を待った方が早そうですが…

実施にあたっては、主治医と相談の上、主治医から主たる治験を実施した医療機関や治験の実施企業へ拡大治験を打診という形での参加となり、地方の方は東京や治験実施病院への転院が必須となりそうです。

費用においてもすべてが治験と同じく、治験実施者の負担とはいかず、現状は患者の負担となる場合もある(最終的には企業判断)と記載されています。

ただ、最後の望みをかけて、未承認薬を個人輸入と考えていたような患者にとっては、コスト、副作用管理の両面からも負担が軽くなるのではないでしょうか?

もちろんメリットばかりでなくデメリットも覚悟の上の選択となるかとは思いますが、ここで対象とされるのは、他に治療法がないという極めてギリギリな状況の人々…
そうした人たちにとっては、やはり治療の可能性が広がるという意味でも、大きな1歩となるように思います。

安倍政権の「日本再興戦略」のひとつとして制定された本制度ですが、これを制度化することが最終目的では意味がなく、この難しい制度が多くの国民にわかりやすく認知拡大され、実際に希望する患者がスムーズに活用できることがとても大切だと思います。
せっかく作られたこの新たな試みが、ひとつでも多くの命を救う制度となりますように…。

そして先日承認されましたダブラフェニブおよびトラメチニブの早期薬価収載、発売に関する要望書を、本日厚生労働大臣宛に提出しました。

本件にご尽力、ご協力いただきました先生には、本当に心より御礼申し上げます。
この声がどこまで届くかはわかりませんが、私たちに今できることをひとつずつやっていきたいと思っています。

メラノーマの治療はめまぐるしいスピードで新たな時代を迎えています。情報が氾濫している今だからこそOver The Rainbowでは、患者さんやご家族のために、タイムリーかつ正確な情報発信を行っていきたいと思います!

※OTR活動ブログより引用