ジャナカ王という王様には
アシュタバクラという家来がいました。

アシュタバクラは

いつも『これでいいのだ』と言っていて

王はそんなアシュタバクラを信頼し
そばに置いていました。



王が手にけがを負ったときのことです。


アシュタバはいつものように
『これでいいのだ』と言うと

王は怒ってアシュタバクラを
牢屋に入れてしまいました。


その後、王はほかの家来を連れて
狩りに出かけ
森の奥深くまで入り
別の部族に捕らえられてしまいます。


そして、その部族の儀式で
『いけにえ』にされそうになったのです。

ところが彼らは
王の手のけがに気づきました。

傷があっては
いけにえとしての価値はないということで
王は放免されました。


王は城に帰ると
アシュタバクラのもとへ行き

『おまえの言うとおりこのけがは
これでよかったのだ』と言って
牢屋に入れたことを謝りました。


アシュタバクラはこう言いました。


『王様、これでよかったのです。

もし私が牢屋に入っていなかったら
私はあなたと狩に行き一緒に捕まり

けがをしていない私は
いけにえになるところでした。

ですから、牢屋に入れられたことが
最高だったのです』と。





インドの叙事詩
『ラーマーヤナ』のお話です