「あっ!亜莊!!??」
亜莊馨が仁王立ちで仏頂面で立っていた。
「な……なんで亜莊がここに…?」
鳩が豆鉄砲喰らったような俺を一瞥して
「…あんたねぇ…ほっんとに尾行下手くそ!!」
「…は…???」
「まだ分かんないの?あたしはあんたに敢えて尾行させるようにしたの!
でもあんた下っ手くそ!最初っからバレバレだっての!」
まじかよ……
じゃあ俺はコイツに踊らされてたって事か…
ガックリと肩が落ちた…
「…そ、そんなの言い掛かりじゃないのか?!」
せめてもの反撃。
こいつが初めから仕組んでたとか話が出来過ぎだっ!
「…じゃああんたの行動当ててあげようか?私もしっかりチェックしてたのよ?
まずあんたは最初から二番目店、の八百屋に入る前に少し見失った。八百屋であたしがスイカを見ている時に追いついてきた…。どう……??」
ハイ…負けました。完敗です。仰せの通りですよ(泣)
「全く…あんたがこんなみっともない行動されちゃ困るの!
今からこれから尾行のノウハウを叩き込んでやるから、ついて来なさい!」
「は……?あんたが?」
「あたしを誰だと思ってんの?早く、行くわよ」
亜莊はこれぞと言わんばかりにふんぞり返り、スタスタと商店街を再び歩き出した。
「おいっ!」
夕暮れ時の街中で腹が鳴りまくるまでヤツの特訓は続いた…
ちなみに今日の亜莊の行動は全て俺の技術審査と特訓の為にわざわざ仕組んでいたそうだ…
…回りくどい事を…
そしてこの日初めて亜莊馨と一緒に外食をした。
商店街の老舗お好み焼き屋
そこであいつはもんじゃ焼きなんぞ頼むもんだから、俺のもんじゃ焼き邪道意見と真っ向から対立した。
事務所への帰り道
歩きながら初めて仕事以外の話をした。
亜莊は普段の外出は俺が学校へ言ってる間に済ましているそうだ…
何故プライベートを頑なに隠すのか聞くと
「…そのうち分かるわよ…」
と空を見ていた。
そして空を見たまま
「…そういうあんただって、私と共同生活しなくても家に帰ればいいじゃない。」
確かにそうだ…
実家を思い出したがすぐに振り払った。
俺の家は親父が死んだ時に無くなった。
母親はそれまで住んでいたマイホームを引き払い実家に戻ったから名義上俺の家は母の実家だ。
けどその実家内は何でもそこそこ大きな家系のようで親戚同士のイザゴザが耐えない。
俺はその家が嫌になり高校入学と同士に父の事務所に逃げるように入り浸った。
今は完全に事務所で暮らしている。
母親には全く会っていないが、たまに片親違いの妹が遊びに来るから寂しいと思った事はない。
ポツリポツリを俺が話すのを珍しく亜莊は黙って聞いていた。
亜莊の横顔を盗み見ると、何だか物憂げに見えたような気がした。
満月の下で亜莊の横顔が綺麗に見えたような気がした。
