新スピノサウルスの尾とワニの尾
スピノサウルスの尾はワニの尾と比べて神経棘・血道弓が極めて長い。
これで陸上を歩けば、少なくとも血道弓は折れてしまうのではないか。それとももはや海洋動物であって陸上は放棄したのか?
常識的に考えれば尾は水中でも陸上でも上げているはず。
ちょうど一番後ろの腰椎の神経棘が全体で一番長い。これと尾の神経棘と靭帯で結んで尾を吊り橋のように引き上げていたと考えられる。巨大竜脚類と同じ。
スピノサウルスの尾は側偏した深い尾であるので、左右への振りということになるが非常に幅が広いため、水中で振ると大きな水抵抗を受けて、重心を中心として体全体が左右に回転してしまう。
逆に立っている状態ならば、この尾がバランサーになる。
例えば浅い河川に立って尾を左右に振れば、すばやく体を左右に振ることができたはずだ。
後ろ足が駒の軸になり自在に体を捻って、全方位をカヴァーした狩りが可能。
素早く泳ぐ魚にも対応できる。
後ろ足は接地面積を大きくした方が安定するので、スピノサウルスでは第4指まで接地している。
骨密度が高いのもこういった運動に耐えるためだろう。
重量級の動物も水生動物のように骨密度が高くなっている。
http://www.omnh.net/whatsnew/1210ronbun-press%EF%BC%AF%EF%BC%AD%EF%BC%AE%EF%BC%A8.pdf
二足歩行の恐竜にとっては、左右へのブレは可能な限り低減したいもの。
二足歩行の恐竜は歩行時、右足を踏み出すと上体は右に振れる。骨盤の右側が前に出るので同時に尾も右に振れるが、腰辺りの重心を中心としてみれば、この上体と尾の二つの回転は互いに逆回転になって相殺されるので、ブレが解消されて直進できる。
しかしもし左右への振れが大きくなると相殺されるとしても大いなるエネルギーの無駄遣いになってしまう。
スピノサウルスの極端に側偏した幅広い尾は、明らかに左右への強い振りによる運動を示唆するもので真逆の方向になってしまう。
しかし遊泳用にしては水抵抗を受け過ぎるのではないか。
現在の動物でこのような縦に深い尾を持つ例としてはオオアリクイが挙げられる。
オオアリクイでは尾の背腹に棘突起の代わりに剛毛が大量に生えていて、大きなうちわのようになる。それは体の大きさに匹敵するほどの大きさで、この巨大な尾を活用するボディバランスはスピノサウルスと類似性があるかもしれない。
https://www.youtube.com/watch?v=-g38GSowomM