ゴジラvsガメラ

日本のTV画面 
アナウンサー「アイスランド政府は、2日、先月なぞの大爆発が起きた地点か
らガメラが現れ、北大西洋に侵入したと発表しました。それにともない北大西
洋空域及び海域では全面飛行及び航行禁止となっています。
一方、アメリカ政府は、ハワイ沖1000kmの南太平洋上で客船ボイジャー
・オブ・ザ・シーを沈没させたのはゴジラであると発表しました。
乗員乗客1200人が行方不明となっています。米軍により大規模なゴジラ捜
索が行われていますが、ゴジラの現在位置は未だ確認されていません。
この未曽有の事態を受けて日本政府は、鍋総理大臣を本部長とするゴジラ・ガ
メラ緊急災害対策本部を立ち上げました。
鍋総理会見
「我々はこのかってない危機に対して、各国と協力しあらゆる対策を講じ、国
民の安全と財産を守るために全力を注ぐものであります」
 
斎藤事務次官の部屋
机にドサッと大量の資料が置かれる。
うんざり顔の斎藤事務次官。
役人「事務次官、資料は首相の方にも?」
斎藤「いや、いらない。彼は怪獣には疎いし、今彼の頭の中は例の法案で一杯さ。
  怪獣対策はおれに全部丸投げ。まずリストの方々の召集を急いでくれ」
吉田審議官「これが最新の情報です。ガメラが現れた現場にいた日本人3名がア
  イスランド政府により日本に強制送還されました」
斎藤「現場に日本人が?」
吉田「はい、これが名前です。桜井俊夫、桜井翔、草薙浅黄」
斎藤「草薙浅黄?」
吉田「ご存じで?」
斎藤「ああ、よく知ってる。疫病神の一人さ」
吉田「?」
斎藤「こちらから国外追放したいぐらいだ。公安に彼らの監視を要請して」
 
強制送還の飛行機 機内 
桜井と浅黄 一人の警察官が見張っている。翔は二人の間でぐっすり。
桜井「強制送還を食らうなんて人生の汚点ですよ」頬をピクピクさせながらいや
みに笑う。
浅黄「あら、私のせいですか?」
桜井「そりゃ、そうでしょう。特別機まで仕立てて送還ですよ。私たちがガメラ
   ーーと呼ぶとでも思ったのか」
浅黄「あの人たちの怖がりようときたら」クスクス。
釣られて桜井もフフッと笑う。すぐ真顔になって
桜井「笑い事じゃありませんよ。ま、ただ、翔とあなたのご活躍で重大な謎が解
  けました。あの勾玉は、ガメラの発する電磁波を受けると輝く、つまり、
  勾玉からも答えるように特殊な電磁波が発生するのです。それをガメラは
  守る対象、つまりガメラの幼体と認識するのではないか。そして幼体はまだ
  あのような高温には耐えられないので助けようとしたのではないか」
浅黄「勾玉とは何なのですか?」
桜井「おそらくガメラの幼体の一部ではないかな。剥がれおちたか、死んでしま
  ったものの一部か」
浅黄「それでは先生が子供の時、ガメラに助けられた理由は説明できませんね?」
桜井「うん、それについては日本に着いたら少し調べたいことがあります」
急に搭乗員が機内を忙しげに行き来する。
桜井「何かあったのかな?」
 
夜空 ロシア・コラ原子力発電所
夜空の彼方から火を吹きながら回転する円盤=ガメラが飛来する。
ガメラ、凄まじい弾幕の中をびくともせずにゆっくり降りてくる。
原子炉付近に着陸すると、立ち上がり原子炉を叩き壊す。
放射線や炎を吸収している。
上空からロシア軍戦闘機が爆撃を加えるが、食事を止めようともしない。
食べ終わり、回転しながら飛び立つガメラ。
 
灰色の空 ノルウェー海
ロシアの原発から飛び立ったガメラを迎え撃とうとNATO軍の艦船が展開している。
駆逐艦が次々と誘導ミサイルを発射。
飛んでくるガメラ。ミサイルが次々に命中。
灰色の北海の空に赤、青、黄、緑、紫、白の火花が華麗な花火のように飛び散る。
雨あられと降り注ぐミサイル。
ガメラ、堪らず失速して海に落下。
 
艦船 
レーダー画面 ガメラの光点が海底に沈んでいく。
「ガメラ 行動停止 海底に着底」「やったか」「動きません」
We did it][We did it]喝采 大喜び
 
艦船の甲板
乗員、わらわら出てきて歓喜の輪
 
作戦室
レーダー画面を見ている乗員
「うん?」
レーダー画面
ガメラを示す光点が不自然にチカチカする。
乗員「回転している?」
 
甲板
歓喜の輪が続く。
一人が船首から遥かなガメラの落下点を見る。
 
わさわさしている。
 
乗員「?」
 
渦が出来る。あっという間に大きくなる。凄まじい海鳴りが響く。
 
甲板 乗員「おいおい、大変だ」
全員、気づいて大慌て。
 
大渦が更に強大になり、艦隊に近づく。
 
司令官「全速後退」
全力で後進する艦隊をじわじわ引き寄せる巨大渦巻き。直径2km。
先頭の艦船が引き込まれる。次々と渦に引き込まれる艦船。
大渦の底、回転するガメラの甲羅が艦船を粉砕する。
 
国会議事堂 会議場
野党党首「本日未明、ノルウェー海でガメラを迎撃したNATO軍が壊滅しました
  事は、首相も御存じと思いますが脅威はガメラだけではありません。太平
  洋にはゴジラが潜んでおり、いつ何時日本に上陸するか、わかったものじ
  ゃない。かかる脅威に対し、政府は当然具体的な対策を準備されているこ
  とと思いますが、いかがですか」
議長「鍋総理大臣」
鍋総理「空陸海の自衛隊が厳重な警戒に当たり、ガメラ一匹ゴジラ一匹も見逃
  しません。彼らが美しき日本を蹂躙することなど決して許さないのであり
  ます」
拍手が起こる。
鍋総理「今日、コバマ大統領から要請があり、我々はアメリカの対ゴジラ作戦
  にオキシジェン・デストロイヤーを供与することを決定しました。
  かのゴジラを殲滅せしめたこの驚異の装置を駆使して、日米の協力による
  ゴジラ殲滅作戦が行われます」
野党党首「政府がそのような恐ろしい兵器を開発していた?これはとんでもな
  いことだ。どういうことです?」
鍋総理「オキシジェン・デストロイヤーは兵器ではありません。水中の酸素を
  破壊するもので、我々は海の環境を改造する装置と認識しております」
野党党首「誤魔化しだ。兵器にちがいないだろ。何を寝ぼけてんだ」
鍋「この最大の危機に際して未だ寝ぼけているのは野党じゃありませんか」
議長「鍋首相、ヤジは控えて下さい」
野党、口ぐちに「ただちにオキシジェン・デシトロイヤーの供与を止めろ」
大騒ぎに
 
国会の廊下
記者に囲まれた尾形代議士
尾形代議士「オキシジェン・デストロイヤーの発明者・故芹沢博士は私の親友
  でした。ゴジラを倒した時、私も芹沢君と一緒に海底にいたのです。
  彼はこの兵器が二度と使われることがないことを祈りながら死んでいきま
  した。なにがあっても二度とこの悪魔の兵器を使ってはいかんのです。
  必ず国家間の戦争に利用されるからです」
 
ゴジラ・ガメラ緊急災害対策本部
人が激しく出入りしている。
斎藤事務次官「この計画じゃ関東、東海地区の避難が間に合わないぞ。見直し
  てくれ」
役人「しかし、ガメラの侵入経路が不明です」
斎藤「ガメラに携帯で聞いてみるかね?わからないときは、すべての可能性を
   想定しろ」
役人「はい」速足で退室。
書類を審査中の斎藤事務次官、国会中継のTVを横目で見て
  「ハハハ、紛糾してるな」
横から吉田審議官「我々も怪獣対策を進言しましょう」
斎藤「対策?要らんことを考えるな。結局、怪獣は怒らせずに立ち去るのを待
  つのが一番なんだよ。まして捕獲しようだの息の根を止めようだの無駄無
  駄、かえって被害を増やす
吉田「しかし・・例の強制送還の3人。情報によるとガメラを呼び寄せること
  ができるとアイスランド政府が急いで国外追放したとのことです。彼らを
  利用すればなんらかのガメラ対策が可能では?」
斎藤「民間人を直接作戦に参加させることなどできんよ。やめておけ。彼らを
  監視するだけで充分だ」
吉田「いや、しかし」
TVの国会中継 ますます騒ぎが大きくなっている。
斎藤、TVに目を移して「ハハハハ、まだやってる」楽しそう。
吉田、不満げに自分のデスクに戻る。
公安の報告書に目を通す吉田。