ゴジラvsガメラ
降るような満天の星空 夜のビキニ環礁
クルーザーが進む。
ロンゲラップ島の役場にいた5人の若者たち。
高い位置にある操縦席に男が3人 舳先のデッキに女が2人
いずれもTシャツ、短パン。
男Bレーダーを見ながら「もう、そろそろビキニ環礁に入ってるぜ。左舷
にブラボークレーターがあるはずだ」
男A「ほーらな、見てみろ、監視なんていないだろ。今宵この海は俺たち
が独占だぜ」
女A「見て、この星空、星たちが私を包んでる」
男A「星も俺たちを羨んで祝福してるのさ、ハハハありがとう」片手の缶
ビールを夜空に掲げる。
女A「ちょっとォ、船を止めて、お星様とお話がしたいのよ」
男B「OK、お姫様」船が停止する。あたりを静寂が包む。
男A「ティーナ、俺はこの星全部、君にあげよう」クスクス笑いが起こる。
女A「ちょっと、だまってて。今、星とお話ししてるんだから」立ち上が
る女A。
男C「ん?あれは?星が海に映ってるのか?」男Cが指さす彼方。
「どれ?」みんなそちらを見る。
暗い海
海中にある光点が、向こうから幾つも蛇行しながらクルーザーにゆっくり
近づいてくる。
それは一対の光点で7,8組はいる。7色にキラキラ輝く楕円形。
男A「なんだろな、反射光かな?」
男B「いや、海の中に光る魚がいるんだよ」
女A「きれい!お星様が海を泳いでいるのよ。私に会いに来た」
女B「なんか、気味悪い」操縦席を振り返り「ねえ、早く行きましょうよ」
女A「お星様、私はここよ、こっちに来て」
舳先に立って両手を上げて呼びかける。
どんどん寄ってくる光点。船の周りにゆらゆら集まってくる。近くで見れ
ば光点は一つ2mもある。
女B「怖い、怖い、怖い、怖い」ヒステリックに怯えだす。
男A「おおおい、どうする?かかかなりでっかい。キキ危険じゃないか?」
男B「よし、脱出する!」
男C「ちょっと待て。撮影してからだ。新種発見なら有名人だぞ」
スマホを構えたその瞬間 クルーザーに衝撃、ドン、バリバリ
「キャーーー」全員よろめき、転げる、落ちる。船のライトが消える。
暗い海に光を失ったクルーザーが軋みながら異常な激しさで上下に揺れて
いる。
ドンドンと打撃音。バリバリ割れる音。
周りにハサミの付いた長い腕が海中から幾つももたげられている。
すべては暗い海に影絵のように。虹色の眼だけが異様に光っている。
そして阿鼻叫喚が聞こえる。
夜空 飛ぶ飛行機
機内 座席に桜井と翔が並んでいる。調べ物をしている桜井。翔、座席に
膝をついて後ろを向く。
2列後ろに浅黄が座っている。翔、手を振る。振り返す浅黄。
翔、安心して前を向く。うつらうつら。
ビキニ環礁 ビキニ島 午前 曇天
ジャケオの運転するモータボートが島に近づく。
破損した漂流物がそこここにある。
ジャケオ、急いでボートを接岸して上陸、岸辺へ。
浜辺には、一部破損した無人TVロボットや船の残骸が漂着している。
それを調べるジャケオ。ドンドンドンと地響き。ジャケオ、振り返る。
ヤシの林の向こうに灰色のゴジラの背びれが並んでユサユサ揺れている。
驚くジャケオ。
今度はそのジャケオの後ろのエメラルドグリーンの海から褐色の巨大ウ
ミサソリが盛り上がる。ジャケオ、振り返り絶叫。画面一杯に迫る虹色
に激しく輝くウミサソリの眼。
アイスランド レイキャビク夜景 空港 飛行機が着陸
空港から出てくる桜井、翔、浅黄。
レイキャビクのホテルの部屋
ベッドで眠る翔。布団をかける浅黄。
PCを見ている桜井。浅黄がくる。「翔くん、ぐっすり眠ってます」
桜井「20時間の旅ですからね」PC画面を見ながら
「該当地域は封鎖されてますが、さほど厳重な警戒線はしていないよ
うです。こっそり入り込むのは可能でしょう。
なにぶん今回は秘密調査、いわば、ゲリラ的ガメラ調査です。正式な
調査許可を何カ月も待っているわけにはいかないのでね」
浅黄「あの爆発がガメラによるものだと知っているのは私たちだけです。み
んなに知らせるべきではないですか?」
桜井「いや、私たちがいくらガメラが復活すると訴えても『富士山が爆発す
る!』あれと同じですよ。詐欺師か狂人扱いされる。ヘタをすれば
逮捕ですよ。国家としてガメラがいるなんて話は噂だけでも大変なマ
イナスですから、発言にはくれぐれもご注意ください。まずは証拠を
示さないと」
桜井、TVに目を移す。
室内のTV画面
アイスランドTVレポーター「調査団長のデュモント教授によると、溶岩湖
は急速に冷えており再爆発の可能性は低いということです。ただ原因に関し
てはいまの段階ではまだ不明であるとしています。
次のニュースです。8日南太平洋マーシャル諸島近海でアメリカ沿岸警備隊
の調査船が消息を絶ちました。この調査船は・・・」
アイスランドの広大な原野
一本道をレンタカーが走る。
車内 桜井が運転 後部に浅黄と翔。
翔ウキウキしている。
「パパはね、ガメラの事は何でも知ってるんだ」
浅黄「へー、すごいね、パパはガメラが大好きなんだね」
翔「そう、だからガメラに会いに来たんだよ。ガメラに会えるかなあ」
浅黄「会えるよ。ガメラは人間の味方だからね」
桜井「いや、ガメラとは凶暴で純粋で膨大なエネルギーです。味方も糞も
ありませんよ」
浅黄「そんなことはありません。私にはわかります。ガメラと交信しました
から」
桜井「交信したからといって友好的とは限らないじゃないですか」
浅黄「あなたも子供の時、ガメラに助けられたのでは?」
桜井「あれは偶然が生んだ行為です。ガメラの生態により理論的に説明でき
るはずです」
浅黄「先生がそんな事を仰るとは驚きです。良き理解者だと思ったのに」
桜井「実際にガメラが活動開始すれば、私たちも非常な危険に晒されますよ」
浅黄「いいえ、ガメラは必ず私たちを守ります」
桜井「まあ、議論は止しましょう。さあ、そろそろこのあたりです」
浅黄「・・・」納得していない様子。
桜井「ほら、あそこだ」顎で指す。
前方に封鎖されている道路。侵入禁止の柵。
数人の警備員が配置されている。TVクルーが柵の前で中継している。
警備員が桜井の車を見て、あっちへいけと指示している。
桜井「あの奥が溶岩湖か」
方向転換して走り去る。
車が大きな道路から細い横道に入る。
雑木林
細い道の行きどまり 車が来て止まる。
車から降りる桜井
桜井「あっちだ」どんどん林の中へ入っていく。
浅黄「翔君、行きましょう」浅黄と翔、桜井を追いかける。
雑木林を進む3人。
急に林が開け、広大な冷えた溶岩湖が目の前に広がる。
3人、固まった溶岩湖を眺める。
桜井「ここだ。ガメラがいるのは」
翔「ガメラいないよ」
浅黄「いるわ」勾玉をポケットから取り出す。光ってはいない。
浅黄「でも、今は深く眠っている」