Hidden Enemy34 | The Lilies And Roses

The Lilies And Roses

当ブログはスキップビートの二次小説ブログです。
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また文章の無断転載等はご遠慮下さい。

自由にのんびりと書きたいお話を載せていきたいと思います。
Laylaの完全自己満足&文章力UPの為の修行場です(´∀`)

※このお話は33巻からの続き未来のお話だと思って下さい。本誌とはズレが出て来ます。



次の日の朝は…キョーコが包丁でトントン…と朝食の準備をしている音で目が覚めた。

そのリズミカルな音を耳にしながら…昨日の出来事は夢ではなかったんだな…と思うと安心して…口元が緩んでしまった。

―何だか…本当に新婚みたいで――…。

「…おはよう…キョーコ……」

『きゃぁっ…』

俺はキョーコが包丁や火を使っていない隙を見計らってから…そっと彼女を後ろから抱き締めた。

『つつ敦賀さん…?!料理中は危ないからやめて下さいって…セツカの時から何回も言ってるじゃないですか…!』

「うん…分かってるよ…だから今回は抱き締めても大丈夫そうな時まで…ちゃんと待ってたよ…」

俺はそう言うと…キョーコの髪に軽くそっとキスをした。同時に彼女の顔がほんのりと赤く染まって…。

『…もう………//////』

キョーコは照れながら…身体を俺の方に向け、胸元のシャツを掴み…ぷくっと頬を少し膨らませながら上目使いで俺の瞳を見つめた。

――”もう”はこっちもセリフだよ…本当に…。いつも無意識に俺を煽るんだから…。このまま……してしまいたくなるじゃないか――…。


「…どう…身体の調子は…?もう辛くない…?」

『あ…はい…それはもう…全然…大丈夫…です…/////』

「そう…なら良かった…。」

本当に…それはとても心配だったから良かった…。

けれど…大丈夫そうなら…と俺の中でまた欲が湧いて来そうで…それはそれで少し理性を保つのが大変かもしれないなぁ…とも思う。



「何作ってくれてるの?」

『サンドウィッチと…スープですけど…材料的に簡単な物しか作れなくて…』

「いや…それで十分だよ…キョーコ…ありがとう――…。」





その後…朝食を食べた2人はリビングのソファーで寛ぎながら…ゆったりとした時間を過ごしていた。

『…そう言えば私…昨日 コーンにしっかりと羽が生えていて、青空を飛び回っている夢を見たんです…!!』

「へぇ…やっぱりそうだったんだね…?」

『…へ…?』

蓮はソファーに座ったままキョーコを自分の膝の上に乗せ、お互い向き合いながら会話をしていた。

「昨日の夜中…君は寝言を言っていたから…。”コーンお空飛んでる”って――…。」

『…そうでしたか――…。』

キョーコは少し照れながら嬉しそうに微笑んだ。

『それであの…ちょっと久遠さんにお願い事があるんですが…聞いてもらえますか…?』

キョーコが少し甘えたようにそう言うと、蓮は心から嬉しさが込み上げて来た。思わず自然と口元が緩む。

「…え…?俺にキョーコからお願い事…?」

君の方からそんな風に甘えてくれるなんて――…。

「何…?何でも言って…?キョーコの言う”お願い事”なら…どんな事でも叶えてあげたい…。」

蓮はそう言うと…自分の膝の上に乗せていたキョーコを ぎゅっと力強く抱き締めた後に、軽くキスをした。

そして蓮のその行動に…キョーコの顔は真っ赤に染まった。

『あああありがとうございます…/////…それで…あの――…。』

「うん…何…?お願い事って…?」

『…コーンに代わってもらえますか――…?』

「え…?コーンに…??」

『はい…。夢の中では逢えましたけど…もう一度ちゃんとコーンとお話がしたいんです…。』

『…久遠さんが”神の寵児”で大変な事は分かっていますが――…。』

「………………………え…?」

”神のチョウジ”? そう言えば…昨日もオーロラの時にそんな様な事を言っていたな…。

「え…っと…。”チョウジ”って何…?キョーコ…?」

『あ…っ!いえいえ何でもないんです…!それは妖精界のトップシークレットでしたから…!今の言葉は忘れて頂けますか…?』

…………??

まぁ…よく分からないけど…またメルヘン的な事なのかな…?
”神のチョウジ”か…。日本に帰ったら意味を調べてみよう…。

そう思いながら…俺はキョーコを自分の膝から降ろした後、暫く目を閉じ…”妖精コーン”を憑けてゆっくりと目を開いた。





「……………………キョーコちゃん」

『…コーン!!』

ふふ…キラキラとした瞳で…本当に君は純粋だね…。何だか…11年前の…あの夏を思い出すよ――…。

『あのね…! 昨日…夢の中で…コーンがお空を飛んでいたの…!!』

「…うん…。キョーコちゃんのおかげだよ…。」

『……私の――…??』

「うん。…キョーコちゃんが…”コーンが空を飛べますように”って…心からそう願ってくれていたから――…。」

本当に…心から”コーン”の事を心配して…泣いてくれた事もあったよね…キョーコ…。どうもありがとう…。感謝してる――…。

「だから…これからはもっと自由に…何処まででも大空を飛んで行けるよ――…。」

『…本当に…?! コーン…??』

「…うん。ありがとう…キョーコちゃん――…。」

『……………良かったぁ――…。』

何て…嬉しそうな顔してくれるの…キョーコ…。

そんな顔で…ずっと君が俺の傍にいてくれたら…この先どんな試練が訪れたとしても 乗り越えて行ける気がする――…。

蓮は”妖精コーン”としてキョーコの頭を優しく撫でながら…話を続けた。

「だから…俺は妖精の国にいても…これからはいつでもキョーコちゃんに会いに行けるよ――…。」

『本当…?コーン…?それって…この”久遠”さんの身体を通じてだよね』

ん…?身体を通じて…?

『嬉しい…コーン…!!私…待ってるから――…。』

キョーコはそう言った後…瞳に涙を浮かべながらそっと”妖精コーン”に抱きついた。

『コーンなら絶対に大丈夫だって…私…信じてた――…。』

「…………………………………………。」

「…ありがとう…キョーコちゃん…俺を信じていてくれて…。」

蓮はキョーコの言葉にとても感激をして、彼女を ぎゅっと抱き締め返し…その後 2人は暫く京都で遊んだ頃の思い出を懐かしんだ――…。





「…あの小川には平べったい石がたくさんあって…”ハンバーグ王国”を作って遊んだよね」

『あー、うん!! 懐かしい…。王国を作っている途中でコーンがすっごく大きな平べったい石を見つけて…』

「そうそう…!」

「「ハンバーグ国王様!!」」

『ふふふ…ハモったね!コーン…今…!』

あの時…”ハンバーグ国王様”に礼儀正しく挨拶をした君は…とても可愛かったな…。

そして…本当にハンバーグが好きなんだなぁ…と思わず笑ってしまった――…。


『あ…!そういえば…”国王”といえば…コーンのお父様と…美しいお母様は元気にしてる…?』

「それなんだけど…俺は旅に出ていたから…暫く会ってないんだよね」

『へええ…?そうだったのコーン…?』

「うん…。実は…まだ旅の途中なんだ…。でもやっと大空を飛べるようになったから…もうそろそろ…旅も終わりに近付いて来ているかな…。」

「…旅が終わったら…キョーコちゃんにも会わせてあげるね…?俺の両親――…。」

まぁ俺がキョーコと恋人になれた事を知ったら…飛んで来そうな気もするけど…俺がアメリカに戻る前に。

『えええぇぇぇぇーーーー!!妖精の国王様と…王妃様を紹介してくれるのーーー?コーンーー!!』

ん…?何だかもの凄い喜び方だね…キョーコ…??

メルヘンが大好きな君は…まだ少し”コーンは演技”ではなくて…”本物の妖精”だと信じていたいのかな…?

相変わらず…そんな所も可愛いな――…。







…ねぇ…キョーコ……。

俺が10歳だったあの時――…。

もし京都で君に出会っていなかったら

俺は役者をやめてしまっていたかもしれない…。



それくらい…俺にとって

あの時 ”妖精コーン”を演じた事は

俺の人生の中で大きな分岐点だった――…。



君が心から純粋に…

”妖精コーン”の演技を喜んでくれたから

役者”敦賀蓮” そして”クオン・ヒズリ”も…

これから自由に大空を羽ばたいていけるんだ――…。










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