※このお話は33巻からの続き未来のお話だと思って下さい。本誌とはズレが出て来ます。
「…とても良い出来だったよキョーコ…!」
『いえ…短い間でしたけど…ご指導どうもありがとうございました!アーロン師匠』
私は今、スウェーデンにいます――…。
たった1週間だったけれど…ホームステイ先の方々はとても親切で、銀食器の作り方も丁寧に教えてくれて…。
そのおかげで、私はとても充実した日々を過ごす事が出来たわ。撮影も無事に撮り終えたし。
でもね…実はスウェーデンに来てから…私はずっとそわそわして落ち着かないの…。
だって…コーンが…コーンが私に会いに来てくれるって――…!
…まだ…会えていないけど……。
敦賀さんの事でとても落ち込んだりもしたけれど、コーンに会えるっていう事が…ここ最近の私の心の支えになっているの…。
「…それで…キョーコはこれからどうするんだい…?すぐ日本に帰るのか…?」
『いえ…アーロン師匠、実はこれから友達に会いに…』
コンコン…
コンコンコンコン…
師匠とお話をしている途中で、誰かが玄関のドアをノックしている音が響いた。
扉を開けてみると、とてもオシャレで可愛らしいメルヘンチックなキャンピングカーが停まっていて…!
使用人のような人が…私に話し掛けて来たの…!
「We're here to pick you up, Miss.Kyoko」
「The prince of the fairy world descended on Sweden...」
「And he is already waiting for you.....」
(お迎えに参りました。妖精界の王子はスウェーデンに降臨しました。そしてすでに貴女をお待ちしております――…。)
来た……!!本当に…?!私にお迎えが……?!!
ドクン…ドクン…
ドクン…ドクン…
…どっどうしようーーー!!何だかとても緊張して来たわ…!
まさか…あなたも妖精じゃないわよね…?!
そして…キャンピングカーに乗り込み、約3時間後…ある丘の上のオシャレな一軒家にたどり着いた。
山に囲まれた景色は最高に美しく、まるでおとぎ話に出て来そうな雰囲気の場所で……!!
『わぁ……!!…何て綺麗な景色なの……!!』
その上 夕暮れ時で…オレンジ色に…少しずつ景色が染まっていっている。
…使用人は私を降ろして家の鍵を渡すと、キャンピングカーに戻り…すぐに走らせて行ってしまった。
コーンが…このお家の中で…私を待ってくれているの…?
本当に…コーンに会えるの…??
私はポケットからコーンに貰った魔法の青い石を取り出して…ぎゅっと握り締めた。
玄関にインターホンは無く、コンコン…とドアをノックしてみる。
コンコン…
コンコンコン…
あぁ…!!
もう…緊張して…自分の心臓の音が聞こえて来るわ……!!
ドクン…ドクン…
ドクン…ドクン――…。
しかし…暫くそのまま待っていても何の反応も無かった。
『…どうしよう……?ドア…開けてみてもいいのかしら…?』
キョーコは深呼吸をして…ゴクリと唾を飲み込み、鍵を使って玄関の扉を開き…お邪魔します…と言いながら、静かに家の中へと入っていった。
家の中は北欧インテリアでとてもオシャレに空間になっていた。
そして…吹き抜けの階段から…金髪の男性が…ゆっくりと降りて来るのがキョーコの目に映った――…。
『・・・・・・・・・・・・・コーン!!』
私は…思わず感情が高ぶって…涙が溢れ出し…そして…そのままコーンに抱き付いてしまった。
「・・・・・・・・・・・・キョーコちゃん・・」
そうしたら…コーンも…ぎゅっと力強く私の事を抱き締め返してくれたの…。
涙が止まらなくて…しっかりとコーンの顔が見れない――…。
…コーン……。
私は今までずっと貴方に会える事を
心の支えにして生きてきたの――…。
コーンはもう空は飛べるようになったの…?
今回は…自分の話ばかりじゃなくて…
ちゃんと貴方の話も聞いてあげたい――…。
* * *
社長の協力もあって…俺はスウェーデンで丘の上に建っているオシャレな一軒家を、無事に借りる事が出来た。
そこの景色が…またとても美しくて――…。
ここなら星も綺麗に見えそうだし…メルヘン好きな最上さんなら、絶対に気に入ってくれる…そう感じた。
いよいよ最上さんがこの家にやって来る…!
そう思うと…急に緊張して来て…心臓がどうにかなってしまいそうな気がした。
たとえ…いくら彼女の気持ちが俺に向いてくれていると分かっても…今までの俺の過去をすべて曝け出すのはやはり勇気がいる…。
リックの事――…。
両親の事――…。
…そして…コーンの事――…。
全てを曝け出して…今まで俺が”敦賀蓮”をずっと演じていた事を知ったら…彼女は俺から離れて行ってしまうのではないだろうか…?
クオン・ヒズリを…彼女は受け入れてくれるのだろうか…?
この罪深い”本当の俺自身”を――…。
今更ながら…どんどんと…悪い方向へと考えていってしまう…。
…俺はリックの形見の腕時計をそっと触った。
大丈夫……。俺自身と…彼女を信じるんだ――…。
そして…瞳を閉じて…ゆっくりと深呼吸をしていると…
コンコン…
コンコンコン…
玄関の扉を少し遠慮がちにノックしている音が…聞こえて来た…。
一気に緊張が高まって…少しの間…ソファーから立ち上がる事が出来なかった…。
『…失礼します…』
その後…彼女の声が玄関の方から聞こえて来た。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
いよいよだ…!
心臓はドクドクいって…手には汗をかいているのが分かる…。
…俺は静かにゆっくりとソファーから立ち上がり…吹き抜けの階段を降り始めた。
すると…最上さんの姿が見えた…久しぶりの彼女の姿だ…。
『・・・・・・・・・・・・コーン!!』
そして…最上さんは…瞳に涙をたくさん浮かべながら…俺に抱き付いて来てくれた…。
「・・・・・・・・・・・・キョーコちゃん・・」
思わず俺は感激して…彼女を強く…抱き締めた――…。
…最上さん……。
今から…俺の全てを君に曝け出すよ…。
本当の俺自身は…
とても罪深い人間だけど…
どうか…どうか…受け入れて欲しい――…。
スキビ☆ランキング