Hidden Enemy23 | The Lilies And Roses

The Lilies And Roses

当ブログはスキップビートの二次小説ブログです。
作者様・出版社様には一切関係はございません。
また文章の無断転載等はご遠慮下さい。

自由にのんびりと書きたいお話を載せていきたいと思います。
Laylaの完全自己満足&文章力UPの為の修行場です(´∀`)

※このお話は33巻からの続き未来のお話だと思って下さい。本誌とはズレが出て来ます。


「…とても良い出来だったよキョーコ…!」

『いえ…短い間でしたけど…ご指導どうもありがとうございました!アーロン師匠』


私は今、スウェーデンにいます――…。

たった1週間だったけれど…ホームステイ先の方々はとても親切で、銀食器の作り方も丁寧に教えてくれて…。

そのおかげで、私はとても充実した日々を過ごす事が出来たわ。撮影も無事に撮り終えたし。

でもね…実はスウェーデンに来てから…私はずっとそわそわして落ち着かないの…。

だって…コーンが…コーンが私に会いに来てくれるって――…!

…まだ…会えていないけど……。

敦賀さんの事でとても落ち込んだりもしたけれど、コーンに会えるっていう事が…ここ最近の私の心の支えになっているの…。

「…それで…キョーコはこれからどうするんだい…?すぐ日本に帰るのか…?」

『いえ…アーロン師匠、実はこれから友達に会いに…』


コンコン…

コンコンコンコン…


師匠とお話をしている途中で、誰かが玄関のドアをノックしている音が響いた。

扉を開けてみると、とてもオシャレで可愛らしいメルヘンチックなキャンピングカーが停まっていて…!

使用人のような人が…私に話し掛けて来たの…!

「We're here to pick you up, Miss.Kyoko」

「The prince of the fairy world descended on Sweden...」

「And he is already waiting for you.....」

(お迎えに参りました。妖精界の王子はスウェーデンに降臨しました。そしてすでに貴女をお待ちしております――…。)

来た……!!本当に…?!私にお迎えが……?!!


ドクン…
ドクン…

ドクン…
ドクン…


…どっどうしようーーー!!何だかとても緊張して来たわ…!

まさか…あなたも妖精じゃないわよね…?!



そして…キャンピングカーに乗り込み、約3時間後…ある丘の上のオシャレな一軒家にたどり着いた。

山に囲まれた景色は最高に美しく、まるでおとぎ話に出て来そうな雰囲気の場所で……!!

『わぁ……!!…何て綺麗な景色なの……!!』

その上 夕暮れ時で…オレンジ色に…少しずつ景色が染まっていっている。

…使用人は私を降ろして家の鍵を渡すと、
キャンピングカーに戻りすぐに走らせて行ってしまった。

コーンが…このお家の中で…私を待ってくれているの…?

本当に…コーンに会えるの…??

私はポケットからコーンに貰った魔法の青い石を取り出して…ぎゅっと握り締めた。

玄関にインターホンは無く、コンコン…とドアをノックしてみる。


コンコン…

コンコンコン…


あぁ…!!

もう…緊張して…自分の心臓の音が聞こえて来るわ……!!


ドクン…ドクン…


ドクン…ドクン――…。


しかし…暫くそのまま待っていても何の反応も無かった。

『…どうしよう……?ドア…開けてみてもいいのかしら…?』

キョーコは深呼吸をして…ゴクリと唾を飲み込み、鍵を使って玄関の扉を開き…お邪魔します…と言いながら、静かに家の中へと入っていった。

家の中は北欧インテリアでとてもオシャレに空間になっていた。


そして…吹き抜けの階段から…金髪の男性が…ゆっくりと降りて来るのがキョーコの目に映った――…。

『・・・・・・・・・・・・・コーン!!』

私は…思わず感情が高ぶって…涙が溢れ出し…そして…そのままコーンに抱き付いてしまった。

「・・・・・・・・・・・・キョーコちゃん・・」

そうしたら…コーンも…ぎゅっと力強く私の事を抱き締め返してくれたの…。

涙が止まらなくて…しっかりとコーンの顔が見れない――…。



…コーン……。

私は今までずっと貴方に会える事を

心の支えにして生きてきたの――…。


コーンはもう空は飛べるようになったの…?

今回は…自分の話ばかりじゃなくて…

ちゃんと貴方の話も聞いてあげたい――…。



* * *


社長の協力もあって…俺はスウェーデンで丘の上に建っているオシャレな一軒家を、無事に借りる事が出来た。

そこの景色が…またとても美しくて――…。

ここなら星も綺麗に見えそうだし…メルヘン好きな最上さんなら、絶対に気に入ってくれる…そう感じた。

いよいよ最上さんがこの家にやって来る…!

そう思うと…急に緊張して来て…心臓がどうにかなってしまいそうな気がした。

たとえ…いくら彼女の気持ちが俺に向いてくれていると分かっても…今までの俺の過去をすべて曝け出すのはやはり勇気がいる…。


リックの事――…。

両親の事――…。

…そして…コーンの事――…。


全てを曝け出して…今まで俺が”敦賀蓮”をずっと演じていた事を知ったら…彼女は俺から離れて行ってしまうのではないだろうか…?

クオン・ヒズリを…彼女は受け入れてくれるのだろうか…?


この罪深い”本当の俺自身”を――…。


今更ながら…どんどんと…悪い方向へと考えていってしまう…。

…俺はリックの形見の腕時計をそっと触った。

大丈夫……。俺自身と…彼女を信じるんだ――…。


そして…瞳を閉じて…ゆっくりと深呼吸をしていると…



コンコン…

コンコンコン…


玄関の扉を少し遠慮がちにノックしている音が…聞こえて来た…。

一気に緊張が高まって…少しの間…ソファーから立ち上がる事が出来なかった…。

『…失礼します…』

その後…彼女の声が玄関の方から聞こえて来た。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

いよいよだ…!


心臓はドクドクいって…手には汗をかいているのが分かる…。

…俺は静かにゆっくりとソファーから立ち上がり…吹き抜けの階段を降り始めた。

すると…最上さんの姿が見えた…久しぶりの彼女の姿だ…。

『・・・・・・・・・・・・コーン!!』

そして…最上さんは…瞳に涙をたくさん浮かべながら…俺に抱き付いて来てくれた…。


「・・・・・・・・・・・・キョーコちゃん・・」

思わず俺は感激して…彼女を強く…抱き締めた――…。




…最上さん……。

今から…俺の全てを君に曝け出すよ…。


本当の俺自身は…

とても罪深い人間だけど…

どうか…どうか…受け入れて欲しい――…。




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