11/6(土)夜に、戯曲を読む集い定例会第39回γ日程を開催しました。参加者は4名、皆さん読み手として出ずっぱりの濃密な回になりました。

 

ヘトベロさん作「お問い合わせ番号」は、今回のお題「虫」からインスパイアされた蜂蜜をモチーフに、通販のコールセンターへのお問い合わせが、宇宙やあの世にまで繋がってしまうという、リアルとファンタジーが楽しく同居する作品でした。不条理な笑いを楽しむパートあり、ちょっと切なくなるような温かい良いセリフありで、読む役を変えると見える世界も変わってくるのが楽しかったです。

 

で・んかさん作「カフカの主題による変奏曲」は、ある日、目が覚めたら虫に変身してしまっていたというカフカ作品へのオマージュから始まります。β日程で読んだときには、異邦人となってしまった息子の悲哀を強く感じたのですが、今回読んだときには、息子を取り巻く家族たちのとぼけた可笑しみがじわじわと広がるように感じて、読み手や流れが変わると、こうも作品の見え方が変わるのかと驚きました。

 

β日程にご参加くださった吉川夏生さんご選出の泉鏡花「錦染滝白糸(もみじぞめたきのしらいと)」は、長い小説の一場面を戯曲化した作品で、謎めいた登場人物たちの関係に想像をめぐらしつつ、今回は七左衛門というおじさんの役のテンポの良さ、明るさに注目が集まりました。古い言葉や漢字が多くてやや難解にも感じますが、古風な言葉遣いの美しさも感じられる作品でした。

 

閉会後のアフタートークでは、創作戯曲を書き始めるときのひらめきについてや、手書きで書くのかワープロソフトを使って書くのかなど、書くことと読むことについて皆さんの知見を伺うことができて、興味深い時間になりました。私自身は戯曲を書かないのですが、書き手の方から見える世界はこんな感じかしら、と想像が膨らみます。自分が書いた作品が目の前で読まれたり、自分で読んでみたりする、双方向の創作活動の面白さを感じる話が聞けました。

 

ご参加くださった皆さま有り難うございました。次は、忘年会的な企画を十二月に開催できたら、とふんわり考えているところです。またご一緒できる日を楽しみにお待ちしています。