デンマークに死す | ギッコンガッタン 

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日々、気の趣くままに綴る雑記帳

 

 

 本屋で面白そうだと思ったので買ってみました。コペンハーゲンの41歳の元警官である私立探偵ゲーブリエルは、元恋人の弁護士レイラから冤罪疑惑の調査を依頼されます。右派で知られる法務長官メルゴーの殺害事件で、犯人のイラク系移民は息子を強制送還され、ISに処刑されていました。


 息子の強制送還に絡んだことでメルゴーに対して容疑者が恨みを持っていたことが動機で証拠もあり有罪判決は決定的に思えましたが、調べを進めるうちメルゴーがナチスに関する本を極秘出版しようとしていた事が判明します。事件を追いかけるゲーブリエルと周囲の人もロシアンマフィアに危害を加えられます。

 

 また、過去のナチスがらみの件を調べにベルリンへと向かったゲーブリエルは、事件の手掛かりとなる資料の提供を承諾してもらえた学者が殺される事件にも遭遇します。このような妨害を受けながらもゲーブリエルは、真実に迫ってきます。そこで事件の裏に潜む闇を知るのですが、結末や如何にです。

 

 作者は、インド人女性です。デンマーク人と結婚して14年デンマークにいて現在は、アメリカ在住です。そんな経歴なのか登場人物も中近東の人がいて移民の多いヨーロッパらしい国際色を感じます。主人公がバンドのギタリストをしていて音楽とファッションに造詣が深い様子が見て取れる記述が印象的です。

 

 また、コペンハーゲンの町中にある色々な飲食店の名前とかも出てきて町の様子が分からなくてもスタイリッシュな雰囲気が伝わってきます。こんな人なので女性遍歴も派手な感じです。このような記述があるせいか事件の奥に潜む暗い巨悪を忘れてしまいそうになります。

 

 もちろん、アクションシーンや冒頭に出てきた戦前のデンマークで起きた陰惨な事件の事などのシリアスな場面の記述も見事です。特に事件の真相がグッと明らかになっていく終盤の展開も見事でのめりこめました。もし、これがシリーズ化されて行くならこれからも読みたいと燃えましたね。