三河雑兵心得:1 足軽仁義 | ギッコンガッタン 

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日々、気の趣くままに綴る雑記帳

 

 

 戦国時代後期の三河国での一足軽の立身出世物語の第一弾です。桶狭間の戦いから3年したある日故郷の村で、暴れん坊で鼻つまみの百姓の倅である茂兵衛は、愚鈍な弟の丑松がいじめられているのを助ける気持ちの余りに喧嘩で人殺しをしてしまいます。村におれなくなった茂兵衛は、弟を寺に預けて本人は、松平家康配下の夏目次郎左衛門の城に仕官します。

 

 仕官した喜兵衛を待っていたのは、三河の一向一揆で一揆側として主君・松平家康と対峙して戦にいきり立っている場内の空気でした。家は、禅宗の上に暴れん坊で信仰心とは、縁遠かった茂兵衛ですが、帰る故郷もなくして侍としての立身出世を願う茂兵衛は、一行門徒のふりをして戦に加わります。厳しい小頭・榊原にしごかれながら彼は、日々一生懸命に励みます。

 

 彼は、自分と組んでいる商人出身の一癖ある足軽仲間の辰造と段々と親しむようになります。そんな中、寺に預かっていたはずの丑松が侍として、茂兵衛のいる場内へと入ってきました。そして、丑松が頼った武将が寄りにもよって士官前に途中の道で襲撃され父の形見の槍と有り金全てを奪った乙部でした。複雑な心中で味方の上役として乙部に対する茂兵衛でした。

 

 一向一揆の戦で茂兵衛は、奮闘します。そして、手柄をあげていく彼を城主も場内の上役も目をかけていくことになります。そんな中、場内に敵に内通者がいることが疑われました。それを確かめて、捕らえる任務に夜目が利くことが唯一の長所である弟の丑松とともに茂兵衛は、付くことになりました。そして、茂兵衛がつかんだ真実とは、果たして結末や如何にです。

 

 武骨な茂兵衛の人柄がよく伝わります。また、()して茂兵衛の内心の呟きを書いている所がまるで脚本のト書きのようで臨場感を出している感じがいいです。また、所々に地理的にまた、歴史的にも考証している所が良いです。また、登場人物のセリフが三河弁で書かれている所も余計に親しみやすく思えてきます。これからの茂兵衛の活躍や史実との関わりや敵役の乙部との絡みなど読み所が多く楽しめそうなシリーズ物ですね。