読書感想になります。

 

「いじめは生存戦略だった!? 進化生物学で読み解く生き物たちの不可解な行動の原理」

 

一応、最初に書いておきますが・・・

いじめを正当化する話ではありません。

それに関しては、本書の最後にも載ってます。

 

何故、イジメが無くならないのか?

それを、人間が猿だった時代、いやもっと前の矮小な動物だった頃からの行動と適応戦略から紐解く話。

 

イジメに限らず、虐待や子殺し、兄弟殺しなど。

動物の世界で発生する行動に関し、生態学や進化の視点から説明していきます。

 

嘘に関しても、擬態や擬傷、カウンターイルミネーションなど色々。捕食者を欺く方法や、メスを横取りする方法など千差万別。

 

そんなわけで個々の動物種に関する事例も満載です。

 

逆に、利他行動は何故起こる?

自己犠牲的な行動は何故なのか?

それに関しても触れられてます。

 

それこそ小さな生き物で言えば、昆虫も出ますよ。蟻や蜂の社会の利他行動なんて典型的。

何故、働き蟻は繁殖せずに弟妹を育てるのか?

それこそ利己的な遺伝子の世界になってきます。

 

生物学関係の世界にいた私としては・・・

性善説やら性悪説よりも、こっちで説明された方がしっくりくるわ。

 

 

 

 

最後の章では・・・倫理と事実は別って話。

そして優生思想へ陥る危険性など。

 

例えば自然派が陥りやすいのが、「自然は〜である。」 = 「私たちも自然に倣い〜すべき」

 

「〜である」と「〜すべき」は別。

 

これをごっちゃにすると反ワクチンやら陰謀論へ落ちるわけで。

 

 

そうそう、危険かもしれないものには手を出さないって選択をするのは何故か? これ、ワクチンにも言えるかと思うんですけど。

蛇と棒切れに例えてましたが。

・棒切れだと思って手を出し蛇に噛まれる。

・蛇だと思って棒切れに触らない。

どっちが有効な戦略か?そりゃ後者ですね。ロシアンルーレットで当たってしまったら痛い。

 

しかし・・・では、人間は食べれるキノコを知ってるのは何故か? フグの毒抜き方法を知ってるのは何故か?

これは、あえて前者を選んだ人がいるからでしょ?

後者は、人間になる前段階から抜け出してないってことですよ。

いや、前者でも後者でもない。もう一つの選択肢。前者であることを前提として、手を出す。安全に蛇を捕まえるにはどうするか?

それを試行錯誤し前に進んできたのが人間だと思うんだよね。ワクチンも然りかと。

 

 

追記)

 

ここに書くのもなんだけど・・・

Xで慣行農家さんが某トンデモ系論破のための資料漁りをしてる時点で、トンデモ系からしたら時間が必要なこと自体が頭が悪い証であって直感こそ一番信頼できるもの!みたいなポストがありまして・・・・

それは要は、上記と同じやんね?

 

では・・・それこそ文字だって無駄になりますよ? 識字率を上げることだって然り。

確固たる証拠探しをすることが時間の無駄・・・

それはまさに野生動物と同じやん。言い掛かりを付けて、1分以内に論破できないなら、言いがかりをつけた方の勝ち!みたいな思考。

それじゃ、人間として進歩しませんよ。