読書感想になります。

 

「きのこの下には死体が眠る」

 

ちょっと古い本です。

東日本大震災より前の本。

 

そのため、きのこや生物学に関する情報も、やや古め。

最初の、きのこの基礎的な知識に関する紹介も、そんな感じです。古い科学本は今とは違うことを言ってることも多々ありますので、その辺は、この本を読んで鵜呑みにしないで、あ〜この頃は、こうだったんだね、という感じで読むと良いかも。

 

この本が出た頃に、ちょうど、明らかになった毒キノコの話題が載ってます。

スギヒラタケなんですけど、古い図鑑では食用になってます。

 

 

 

潜伏期間が長いんですよね。

それと脳症を報告するようになってから、どうも感染症による脳症ではないぞこれ?という事案が上がってきた結果、キノコだった!という話。

 

本では、他の本でも紹介されていた1核菌糸トラップに近い内容も。

キノコは見た目は似てても、実は別種というも多く、私が大学時代の頃からそういった報告が増えてきました。

胞子から発芽した菌系は単相(n)。その菌系を使って、交配実験をして複相(2n)になったら同種。交配できないなら別種ということになります。

今はDNAで調べれば1発ですけど、それより前は、地道な培養による研究が主体でした。

 

後半あたりからキノコ好きには面白い内容になっていきます。

菌従属栄養植物の出番もあり。

服菌類が、色々な分類群の寄せ集めなカオスグループと明らかになったのも、この頃。

 

最後の方は先生の研究の紹介。

それと、先生の疑問に思う視点が面白いな〜と思ったのが・・・

内生菌根はジャングルなど赤道付近、菌類の種類は少なく、それを利用する樹種は多い。

外生菌根は、赤道から遠い温帯より寒い地域、菌類の種類は多く、それを利用する樹種は少ない。種数は数ない一方で大森林を築く。

この内生菌根と外生菌根の逆転現象、どうしてそうなっているのか? 今も、明らかになっていないことは多いと思います。

 

 

死体とか物騒なタイトルですけど、要は、アンモニア菌やら、窒素肥料などのぶっかけ試験の話になります。

無論、動物の死体を置いた試験もあり。