読書感想になります。

 

「アリの巣をめぐる冒険」

 

アリの巣に共生や寄生する生き物たちを研究する話です。

生態や分類の話も出ますが、研究者のエッセイ的な内容が強いかも。

 

アリの巣といっても、地下の巣を掘り返す研究よりも、軍隊アリの仲間に関する内容が半分を占めてる感じ。

また、アリと共生といえば、巣の中だけに限らず、アブラムシなど巣の外の生き物とアリの関係もあります。本の中ではツノゼミがその研究対象として取り上げられてました。

 

この本を読んで、今頃になって知った!という内容も多かったです。

アリに寄生するアリというと・・・サムライアリが有名どころですが、他にも色々とあるのね。

 

あと軍隊アリの引越。

これを最初から最後まで観察するためのコツ。これには根性を感じた。

引っ越す前に仮巣でアリたちは休憩するんですが、著者はそれを見つけて、引越が始まるのを待つという方法を取ってます。アリたちが、いつ引っ越すために動き出すのか、その辺も直感でピンとくるのかも?

フィールド研究者の本なので、DNAなどPCRを使うような内容は少ないです。そもそも本が10年前の本なのでやや内容が古く、これから分子系統解析をしたい!という段階。PCRが分類の世界に入ってくる前は、結局は研究者の直感なんですよね。

 

でも、どこかのブロガーがこれから日本はこうなる!直感だ!とか言ってましたが・・・素人の直感と研究者の直感を一緒くたにされると困るな〜とも思うわけで。

研究者がどれだけ本や文献を漁ってるか?場数を踏んでるか? その辺を素人などニワカな浅い人が直感と喚くのは、なんか違うんじゃないかな〜。それこそyoutubeの知識でギャーギャー言うのは全然違う!と思うわけで。あ、これ以上はサブ垢にしとこうか、この話は。

 

話はそれましたが・・・この人が若い頃だと、模式標本を貸してくれ!と海外の博物館に手紙を書くも、何度も断られた話など当時の若手研究者の苦労は大変だったのだな〜と。さらに貸してくれた標本から交尾器を観察する必要があり、虫を壊さず綺麗に交尾器だけを抜き出す技術。マジで凄いわ。アリの共生者とか5mm以下の世界ですよ?

あ、ちなみに、模式標本を貸してもらえない理由の一つに災害や戦災で焼失っていうケースもあったとか。

日本にある生物のタイプ標本(模式標本)の多くが海外にあるのは、「らんまん」を見てる人なら分かるとは思いますが・・・それこそ炭治郎の時代とかに日本の大学や博物館に模式標本を保管してたら、大震災や大空襲で失われた可能性もあったのよね。そう考えると、海外に日本の生物の模式標本があるのは、ある意味救われたとも言えるのかも?

 

ちなみにエッセイなので、研究とは別にフィールドワークの楽しい話や苦い話も載ってます。

嬉しい話などは学生時代に採集した虫が、未記載種だったため専門家に標本を送ったら新種記載されて自分の名前を種小名に載せてくれたことなど。

これ、この前の「らんまん」でも主人公が大喜びしてたよね! 自分が送った標本が新種記載してもらえた!って。

 

それと、話を戻しますけど、別種の軍隊アリの行進がクロスしても乱闘にならない。

これはビックリでした。何事もなく通り過ぎるだけ。この本を読まなきゃ知らないままでした。

 

 

この分野に関しては、センスと根性、そこから研ぎ澄まされる直感がものを言う研究ですね。

生態学など数理モデルとは異なります。

そういう意味では、イエシロアリの生態研究者、日本には優れた人がいらっしゃるんですが・・・全然、居候を見つけてくれない。標本を送ってくれることもないと著者は嘆いてました。

 

 

 

 

 

 

研究の枝葉を広げていくという意味では・・・私の小説に近いものはあるかも?

私の場合、ちょっと広げ過ぎて収拾つくのかこれ?とは思いますが(汗)。

 

 

ちなみに小説に出してる熊先輩のモチーフはこういった研究者に標本を送ってくるアマチュア研究者たちかな。

アマチュアも日本では減ってて、危惧してるとのこと。

恐竜の化石はアマチュアは増えてると思うんですが、昆虫は・・・

標本作成も模式標本にできるような、綺麗できちんとデータが揃ってるのが少ないとのこと。

 

可哀想だから逃すなら、それはそれで構いませんけど、捕まえて死んだからお墓を作って埋めるとかはどうなの?と、私は思うわけで。

標本にするのが供養じゃないかな? ゴミにポイは論外です。害虫ならともかく・・・

 

 

あ〜〜〜こんな虫関係の話を書いたら、カリムくんは来てくれないかも?ジャミルくんに追い払われちゃいますね(汗)。

 

 

 

追記)

 

 

このアリの巣(軍隊)の中にいる居候を探すのが、コツが必要で大変らしいのですが・・・

アリに擬態(化学擬態まで)して強い軍隊に守ってもらってる一方で、アリから餌をもらったりゴミ漁りしたり。さらには弱った蟻を食ったり。

そしてとにかく採集者からは見つけるのが大変。コロニーから数個体しか得られなかったりとか。

 

・・・マジで半天狗の本体か?(良い意味で)

 

1個体しか得られなかったけど新種記載したという話も。

 

 

あ、そうそうサブ垢の方に「電卓ババア」とか特攻してきた人から「海や山や川へ行ったことないのか?」とかコメントされたけど?

この著者ほど海外の自然をコンプリートはしてませんが日本の山はかなり行ったぞ? 海や川もそこそこ行ってるし、今も子供連れて行ってるわ!

 

 

追記2)

 

ちょっとグロい話もこの本に載ってたので、それに関する感想です。

苦手な方は回れ右してください!

 

 

そうそう、認知症に関するネタをサブ垢に載せてたんですよ。

 

 

コメント欄に希少種が迷い込んでるわ。

 

それはさておき、この本の著者のフィールドワークでビックリした出来事。まさにそれじゃん!?っていうのもありました。

朽木を割って中のアリの巣を探して居候を採集したりもあります。私もそれでアリヅカムシの1種を採集したことあります。それは愛好家の人に寄贈しちゃいました。

で、その著者、朽木に向けて手鍬を下ろしたら手応えが枯れ木じゃない?

・・・認知症で行方不明になり亡くなった高齢者だったという話(汗)。腐敗も進んでたようです。呆然としつつ警察を呼んだとか。

 

著者の方、家族から感謝されたそうですよ。見つけてくれてありがとう、と。

 

昔の認知症の人、森の中に迷い込んで帰ってこなかったとか、あったんじゃないかなあと。

鬼の餌ですな・・・