お袋に差し入れの「対馬のかすまき」を
電話で注文していたところ
「今週は船が欠航になるかもしれません。すでに韓国便は明日から欠航が決まってます。九州行きの貨物は明日は出ますが明後日はわかりません。シケて来るということなので・・・どうしましょうか?」
と言われるので
「じゃあ、明日の便に乗せていただけますか?」
と「船の欠航」のために面会日を変更することになった
生まれてこのかた「地つづき」で暮らしてきた人は
この意識が無い
佐世保なんかも軍港だし、長崎県自体が「海の県」というイメージですが
佐世保の住民ですら生まれてこのかた佐世保市内で生きて来た人には頭がまったくありません
そもそも働かないのでしょうね
なんのハナシかというと
去年の1月に島の診療所からお袋を佐世保の病院へ転院の段取りが決まって
オレが佐世保の病院に打ち合わせを含め話をしに行った時のこと
病院担当者:「来週〇曜日には病床が空きます。何日がイイでしょうか?何時ごろに来れますか?」
と、日程だけでなく時間まで言って来た
オレ:「いや、それ今言わないとダメですか?」
病院担当者:「いや、別に今この場でお返事ってこともないですが、段取りもありますので、できるだけ早めに日取りを決めていただければ・・・」
オレ:「いや・・・島から連れて来るんですよ。佐世保市内の年寄りを家族が自家用車に乗せて病院まで連れてきて「お願いします」ではないんですよ。前もって日取りを決めても海がシケればその日には連れて来れません。それでもイイので決めてくれなんでしょうか?2~3日シケで船が出ないこともありますよ。そんなアテにならない日取りを「前の週」から決めるんですか?2~3日前ではダメなんでしょうか?2~3日前になれば予想気圧配置や天候なども目途が見えます。3日前ではダメなんですか?」
たしか、そんなようなことを話したと思う
すると、それを聞いてようやく「なるほど」って思うのでしょうね
担当者の顔にそういうふうに出てました
家族の自家用車に乗せて、ジーさんバーさんを連れて来る・・・くらいに思ってる
しかしね、佐世保で病院勤務やってりゃ
五島の島から通院や入院で来る者は珍しいことじゃない
日常的にあるハズだが
おそらく、あまり「自分ら側の説明」をする者も少なく、言われるがまま「はあ、そうですか。じゃあ、〇日にお願いします」くらい言って、あとは家族がどうにか連れて来ることが多いので病院の者は「知る機会」ってのが無いまま、かもしれません
オレ:「そして、ウチのお袋は昔から船に弱いんです。何日ってあらかじめ決めたら、その日が大シケでもかろうじてフェリーは出る・・・となったらその船にボケが入ってきてるお袋を3時間も乗せるんですか?あと船には「直行」や「回り」があるんです。直行でも2時間半。回りは他の島にも寄るので3時間半かかります。島の病院から船に乗るまでの時間、佐世保について船着場から病院まで連れて来る時間に少なくても1時間は必要です。4時間半や5時間をボケて何を言い出すかもわからない「帰る!」と船に乗せてからダダをこねて騒ぎ出すかもわからない、船に乗せたら逃げ場もありません。そうやって連れて来るのです、島の人たちは・・・。そして、もうひとつ、島の年寄りを「佐世保の病院へ」という時には、島の者(家族たち)は「もう生きて島に帰ることはないだろう」その覚悟で親などの年老いた者を佐世保へ連れてくるんです。だから私も今回、お袋を連れてきますが「島に帰る時には小さな骨壺に入って帰る」という覚悟で連れて来ます」
オレ:「そんな4~5時間、逃げ場のない船上で、ボケて何をどうするかもわからない者を連れて来るのは大変です。だからたとえば「凪」になれば、4~5時間という拘束時間じゃなく「高速船」ってので来れます。それならトータルでも2時間強なんとかおとなしく連れて来れば良くなるんです。だから「当日の天候」ってのが第一条件なんです。1週間や10日も前に「いつにしましょう?」と言われても予定なんか予定でしかありません。もし当日「ベタ凪」だったら拘束時間の少ない高速船に乗せたほうが断然ベターです。でも少しでも波があれば船に弱い人はすぐに酔います。ましてボケたお袋が酔ったらどうなることやらわかりません。少し波気があるんならフェリーになりますから、佐世保への到着時間も高速船に乗せるのかフェリーに乗せるのかで「病院到着時間」なんてまるっきり変わってしまいます。当然ですがシケが酷くなれば船は出ませんので来ることすらムリです」
オレ以外の島の者が同じようにこの病院に世話になることが今後ある時に
二度とトンチンカンな「何日?何時?」とか担当者が言わないようにと思って
余計な世話ですがpreachしてあげました
地続きで生きて来た者には
そんな「予定が潰れること」などそうそう無い
今回の「かすまき」だって注文してるお店は対馬です
玄界灘でちょっと行けば朝鮮半島です
気候だって日本海側気候に近いので冬場は海が荒れる日も多くなります
しかし、島の人はすぐにそんな意識があるし、ましてやお菓子屋さん
観光などにも絡んだ仕事なので
海の状況、フェリーや高速船の運行状況を気にする頭が常に働いていますので
「明日の船は出ますが、明後日はシケが酷くなるので出ないかもしれない」という言葉もアタリマエのように出て来るのです
そんなワケで本日の午前中に「かすまき」が届きました
ん!?この膨らみは・・・オマケの予感
やっぱ、オマケ入ってました。メッセージカードも・・・
まあ、特にマズイことは書いてないのでモザイク無しでイイでしょ
「120円」送料の差額が出たので、ってことで120円も入っていました
オンナ文字のメッセージカードに、たとえ社交辞令であってもお袋をいたわる言葉に
120円なんて言い出さなきゃ別にそんなの知らないし、たとえ知っても「あ~いいですよ。とっててください」でしかないんだが、その差額の120円を無造作にジャリ銭のまま入れるワケでもない
「オンナだな~」と思う
いや「オンナ」って言ったら、品が無く聞こえるな「女性らしいな」と感じる
ガムテープをうまく剥がしたら紙袋は使えないことも無いんですが
見た目も悪いでしょうし、ぶら下げていく紙袋も毎回「別」に入れていただいてくれてます
オレ何も言ってないっすよ、お店の女性の「よかれ」と思っての行動です
「上にモノをのせないで」ステッカーもたぶん店舗にあるんです、コレを貼らないと中のモナカが傷む・・・それにも気が回ってるということです(クロネコのドライバーなんかが気を利かせて貼るワケがない、上にオマケで乗せたのはモナカなんて知らないんだから)見えるだけの情報でいろんなものが見えますね
だから、キレイな紙袋に入れ直してお袋のトコへ持参
今日は「軽トラ」が足です
ほんと、フツーのクルマってのは「移動」が「ただの移動」になるし「やっつけ作業」になる
転がしてて「楽しい」と思わない、たとえ飛ばさなくたって「運転する楽しさ」ってのが無い・・・が、しかたない
軽トラで出発
フロントガラスにウチの河津桜の「桜ふたひら」
そういや先日の「桜ひとひら」のMISIAも対馬出身だ(出身って表現が合ってるのか知らんが)
仲間んトコの車屋のクルマは、売りもんでも手を加えて売るので
軽トラでもステアリングが替えてるのはモチロン
カーナビはもとより、ETCやドラレコ、セキュリティーまで付いている「誰がパクるねん!」って失礼やな・・・ゴメンゴメン
ドリカムのDVDまで入ってる
雨の中、施設に向かう
「カーブした陸橋」ってのは珍しいらしい松浦鉄道の陸橋
下は川じゃなく海です、塩水です
軽トラで到着
ココがパーテーションで仕切られた面会室
今日も、目を開けずじまい
もう1カ月ほどそんな感じ
確実に衰えている
確実に死に向かっている
口はずっと歯をカツカツカツと鳴らすし
「あ゛----っ!あ゛----っ!!」と大きな奇声をあげる
ホント、毎回思う
「なんのために生きているんだ?キツイだけだろ?」
目は開けずじまい、オレが声を掛けて「目を開けんばー」って言っても反応もしない
ただ歯をカツカツならし奇声をあげるだけのお袋
面会室に入る前に職員さんがお袋にマスクを着けてあげていたので
「あ~、もういいですよ。帰ります。マスクは息苦しいでしょうから。目も開けないし、声を掛けても反応しないので帰ります。また「かすまき」を持って来たのでコレを食べさせてやってください。そもそも最近は食べれてます?」と訊ねると
食べてはいるがだいぶ食が細くなって、ご飯の時も小さくカットして少しずつ食べてもらってます、とのこと
これが終末期に近づくとどんどん顕著になるんだな
いわゆるコレ
まだグラフが高い時ってのは、食も普通に食うがしだいに痩せていく(下りはじめる)
ようは食っても体が栄養として次第に吸収できなくなっていくからBMIは落ちていく(痩せてくる)
その先になると「食自体」も細くなっていく
ただでさえ体は食ったとしても吸収できない体になっていってるのに、食う量まで減って来たら・・・いきつくトコは目に見えてる
クルマだってガソリンを入れなきゃ、いつかは止まる
♪preach・・・がらみと言うことで