いつも「オーダーメイドは難しい」とか
「イージーオーダー」(マークシートごとき)でも難しいとか
書きますが、たぶんお客さんの中にはまだ「そんなことないだろ!?ただ指示するだけやん・ただマークシート塗るだけやん」とお思いの方もいらっしゃるでしょうが
そんな方は「まだ色んなものが見えていません」
だから、ウチも「注文書」を作るのは15案まで作ってみては改訂、吟味しては変更や削除などを繰り返して来ましたが
そんなにやっても「不完全」には変わりありません
いや、どこまでやっても所詮は「不完全」でしょう
いつも、この場で話す「注文する側に知が無いと」どんな注文書を作っても「不完全」でしかありません
その一例を挙げてみます
たとえば「ナイロンスレッド」
まあ、その意味もわからない方もいるかと思いますが、そこから説明していても更に長文になるので割愛いたしますが
イージーオーダーの注文書には「ナイロンスレッド」の選択肢がありません
「なんで?」と思う方と
「そうだよな」と思う方もいらっしゃるでしょう
なぜ、選択肢に挙げてないのでしょう
まあ、それは「ナイロンスレッド」に限ったことじゃありません
「NCPスレッド」でも「白」や「薄めのカラー」の選択肢は、「あったとしても下巻きだけ」上巻きにはありません
なぜでしょう?
理由は「ナイロンスレッド」と同じような理由です
一言で言うと「透けるからです」
注文する側(お客さん側)が解っていれば(知)、選択肢にあってイイのです
しかし、解ってないと、選択肢に挙げると、おかしな竿が出来上がってしまう・・・から挙げてないのです
ここまで書いて「なるほど」と解る方と、まだなんのことか解らない方もいるかと思います
まあ、まず、今回製作した「ARA-eve460H」の写真を見てみましょう
「あれ!?」と思われた方は、またスルドイ方です
イージーオーダーの注文書には「ナイロンスレッド」の選択肢は無いハズです
しかし、この竿は「下巻き&上巻き共にナイロンスレッド」で施工されてます
この写真が「ナイロンスレッドが選択肢に無い理由」です
わかりました?
注文書の中に選択肢にあると、お客さん側は「頭の中」でイメージしたものをそのまま注文書に反映する記入をします(まあ、当然っちゃ当然ですがね)
言ってる意味解りますか?
「頭の中で考えること」と「現実」は違う
これがオーダーメイドロッドの一番大事なことです
一例を挙げると
今年の初め頃の「慧眼505Hボロン」や「ARA-eve460H」のオーダー受付で何件も届いたので、また「注文書改訂」をしたのですが
たとえば、私の使ういわゆる影竿オーナーモデル
これが、あざやかな「黒/白」のモノクロームフル艶消しだったこともあって
「このデザインがカッコイイ」と思われた方も多かったんでしょうね
届いた注文書に「下巻き:白」「上巻き:黒」「フルピン無し」「フル艶消しブラック」という内容の注文書が何件も届きました
その方々全員に「それでイイですか?」と連絡しなければならないのです
なぜでしょう?
それでは
コレと同じにはならないからです
なぜでしょう?
この「白」は「スレッド」の「白」ではありません
わざわざその位置を「マスキング塗装(白)」でやって仕上げてるので「これほど白(鮮やかな白)」なのです
白のスレッドを巻いたって「こんな白」にはなりませんし、白スレッドは小さな綿埃などが付いても粗が目立ちやすく禁断の糸です
でも、それをお客さん側ってのは、知りませんよね(まあ、ブログには何度か書きましたが、常にブログを読んでる方ばかりではないですしね)
だから「そのオーダーでイイんですか?」と、一応の確認メールをしたのです
すると・・・
全員が「あ、オーナーモデルのようにはならないのですか、じゃあ下巻き黒に変更しますとか、下巻き無しに変更します」というふうにオーダー内容が変わったのです
いやね、ウチの側からしたら「注文書に書かれたまま」作ればイイハナシなのです(それでなんら落ち度はないハズです)
なにもそこにプラスアルファの確認をする必要も・・・本来なら不要なハズなのです(そのための注文書なハズですしね)
じゃあ今回のハナシ「ナイロンスレッド」が、もし選択肢に入っていたら、どんなことが起こるのでしょう?
何度も言いますが「注文書を記入する側(お客さん)は、基本的に無知です」「頭の中で思い描いたものがそのままと思ってます」
今回の「ARA-eve460H」はブランクカラーは「クリアレッド」です
基本的に赤い塗料ですがクリアレッドなので下地に影響を受けます、下地はカーボンなので黒色に近い上にクリアレッドを吹くと赤が発色せずに「透明感のある臙脂」色に見えます(もちろんサンドブランクも多少透けて見えます)
当然ながら「クリアレッド」なので、たとえ下地が黒の近いカーボン色でも、光の量などで「赤っぽく」見えたりはします
そして、ガイドラップのスレッドですが「下&上」共に「ナイロンスレッド(赤)」を巻いています
このスレッドも簡単に言えば「クリアレッド」なのです(正確に言うと「エポキシコートしたらクリアレッドになる」それまでは普通に赤なのですがね)
今回は、非常に勉強になることを書いてますよ(これまで何度も書きましたがね)
じゃあ、エポキシコーティングする前をお見せします
普通に「赤いスレッドを巻いてる」としか見えません
しかし、エポキシ樹脂で固めると
「透けた臙脂色」のような色になるのです
これを、無知の発注者にフリーの選択肢として渡すと
どんな「組み合わせをするか!?」わからなくなるのです
なんとなく、この先想像できてきた?
たとえば、お客さんが頭の中でイロイロ考える中で
人が作ってない竿、人がまだ持ってないような竿がイイな・・・これが一番オーダーロッド初心者が考えやすいこと
だから、製作例に無いものや、これまでのブログで見た覚えがないようなものを作りたがる
「ブランクは真っ白がイイな」
「下巻きは黒で引き締めたい」
「上巻きは今回見たような飴色に透けた臙脂色あたりにしたらカッコイイんじゃないか」
そう考えたとしましょう(選択肢にあればそんな組み合わせも有り得ますよね)
お客さんの「頭の中」ではキレイにカタチとして出来上がってることでしょう
「真っ白なブランク、節のようにガイド足間がブラック、ガイドを留める上巻きが透明感のあるレッド」
現実は・・・
もう言わずともわかりますよね
お客さんの「頭の中」のようには出来ません
だから「頭の中は所詮は頭の中」なのだといつも言うのです
ナイロンスレッドは「透ける」、言い換えると「下地の色の影響を受ける」、そりゃそうですよね「透けて」んですから
そんなスレッドで「上巻きを巻く」ということは
「下地」になる部分は「ブランクの白」・「下巻きの黒」(もっと言えばガイド足の上)・・・全部発色の仕方が異なります
「上巻きは飴色の臙脂色」にはならないということです(真っ赤な部分、臙脂に近い部分、赤とも臙脂とも言えない部分)
だから「ナイロンスレッド」を使うには、そのスレッドを選択する「側」も使用特性を理解してないと使えない・・・ということです
いつもブログで話す「オーダーメイドの世界はお客さん側も無知では成り立たない」というはこんなとこにも表れます(それ以外にもイロイロあるんですがね)
だから、どんなに「イージーオーダー注文書」を吟味して作っても「お客さんにまったく確認無しで作れる」ことはムズカシイとなります
いやね、選択肢を少なくして、どんな組み合わせを知らないで頼んでるお客さん側が選ぼうと「ノープロブレム」とさせようと思えば選択肢を3つ4つにすればイイハナシなのですが
製作してる私サイドとしても「せっかくオーダーするんだから選択肢は少しでも多いほうがお客さんのため」・・・コレを思い始めると厄介になってくるのです
いわば、その闘いばかり・・・という感じなのです
今回のご贔屓さんのケースも、スルーして注文書どおりに黙って作ればそれで良かったわけですが
「ひょっとして・・・」と思いメール連絡をしました
ブランクカラーを「クリアレッド」を選択してて
ガイドスレッドは下&上ともに「メタリックレッド」を選択されてました
なので「ナイロンスレッド」じゃなくてもイイですか?と一応連絡してみたのです
そしたら「コチラの気持ちを見透かされたようです、その通りです。実はナイロンスレッド希望だったんですが、選択肢に無かったので、しかたなくメタリックスレッド」を選びました、と返信が来ました
「ナイロンスレッド」の選択肢は、無いよりはあったほうがイイに決まってますが
じゃあ、選択肢に入れたら・・・なのです
理解しているお客さんばかりなら、ただ選択肢を10でも20でも網羅すればイイだけのこと
今回のような竿(かつてのNFTベイシスのような透明感のある臙脂色でまとめた竿)は、お客さんの中には「こんな感じで作りたい」と思われる方も居ると思いますので
今後のナイロンスレッドで頼みたい方の注文方法のあり方を考えないといけないな・・・とは思ってます
また、今回のような記事を書くと「マークシート以外は記入しないでください」と注意書きされたイージーオーダー注文書の欄外あたりに「ナイロン(赤)希望です」とか「ナイロン(青)希望です」とか「ナイロン(緑)希望です」とか来ると思うんですね
いやいやいや・・・なハナシになるのです
お客さん側にかなりの知識があれば、注文書なんてテキトーに作ったような注文書でも構わないのです
極論なら白紙1枚を渡して、お客さんが「こう作って」と指示を書いて出せるなら白紙でイイのです
「オーダーメイドはムズカシイ」といつも話すのは、注文する側(お客さん側)がほぼ無知・・・だから「ムズカシイ」ということです
でも、今回は、ご希望のようなデザインで仕上がって良かったです
やっぱ、念のため確認のメールして良かった